蒙驁、蒙武、蒙恬って三代の親子か。
総大将と三百人将が個人的に会うことはあり得ないだろうけど、蒙驁が歩兵に変装して陣中をうろつく徘徊癖があるせいで奇跡的に信と会って、異例の千人将への抜擢。
こういうの好き。
趙は王に恵まれなかった感がある。廉頗であれ、李牧であれ、王の暗愚の割りを食ったわけで。
飛信隊、結果的に武功を上げたけど、信の飛び出しはめちゃくちゃだw
下僕出身の千人将もいるのか……と思ったら、廉頗配下の糸目のあんちゃんに暗殺された。こいつは厄介だ。名のある将校を暗殺して回ってるのか。信が知ったらブチ切れる案件だ。
蒙恬は食えない奴だけど、視野が広くて洞察力がある。
信の信念は危うさがあるけど、人心に響くものではある。いつの時代も戦争での掠奪は付き物だけど、最も卑劣な悪徳であることに変わりはない。
咸陽の勢力争いも面白い。
李斯は呂不韋陣営の臣だけど、呂不韋失脚の後は政に仕えることを許されるほどの切れ者。
やはり、太后は呂不韋を陥れようとしているように思える。
王賁は攻城用の櫓を用意していたとは。隊の兵達も精鋭だが、東壁上に敵大軍が雪崩込めば孤立する。が、勝算はある様子。
飛信隊は遅れを取りまくりだけど、あそこまで財力と組織力の差を見せつけられると仕方ない……どうするか。
攻城戦は攻め手もダメージ受けるからなぁ。信は知略がないので参謀が必要だけど、河了貂が絡んでくるのはまだ先だろうし……王賁達はそれなりに読みが効くだけに出し抜いてくるか。
太后は呂不韋と不倫関係にあったとされているけど、この作品でのこの時点での太后の考えはいまいち分からない。政に対して何の理性も湧かなかったというのも本当かどうか。
太后が呂不韋に憎しみを抱きつつ近づくということは、呂不韋を騙して陥れることで政に味方をするという可能性もある。史記では、最終的に呂不韋はクーデターへの関与が露見して自害、太后は呂不韋との不倫や呂不韋が差し向けた嫪毐との不倫が露見したにも関わらず、許されている。とすれば、太后が呂不韋を秦から除くために身体を張ったという推理もできなくはない。
壮絶な政の幼少期。
陳舜臣によれば、趙に置き去りにされたこの頃の境遇が政を後の怜悧な秦王、始皇帝にならしめたのだろうとのこと。
紫夏、いいキャラだなぁ。
趙姫(政の母)と幼少期の政が趙に置き去りにされたのは史実らしく、趙は二人を探したが上手く潜伏したため見つけられなかったとされる。けれど、秦の昭王が崩御すると当時の国際信義上、趙は仕方なく趙姫と政を秦に返したとされているので、脱出劇があったわけではない。ただ、取り残された親子が潜伏していた時期もあるので、相当過酷な状況下に置かれていたことは確かだと思う。
趙側にしてみれば、長平の戦いの恨みが秦にあり、後に秦王となる政と太后となる趙姫にしてみれば、趙に対する因縁は深い。ので、趙と秦が融和することはまずあり得ないという戦国時代後期の状況が読み取れる。
このキングダムでは、闇商人を束ねる紫夏が政を逃がすというドラマティックな展開が作られていて、面白い。
太后(趙姫)は荘襄王(政の父)の妻だけど、その前は呂不韋の妾であり、呂不韋とは王妃、太后となった後も不倫関係にあったと史記には書かれている。ただ、この話は事実ではないという説がある。史記は前漢時代に編纂されているので、始皇帝の出自や親族を貶める意図が無いとは言えない。さらに史記には、呂不韋は太后との不倫関係を断ち切るために裏工作をして嫪毐(ろうあい)という巨根の男を宦官に仕立て上げて太后の寵愛を受けさせたという記述がある。これは見方によっては史記が始皇帝の出自や母親を貶めるように漢王朝の意向を汲んで記述された可能性があると捉えることもできる。
事実性を重視して編纂される正史と雖も、時の権力者の都合の影響を受けている蓋然性は高いので、裏を読む余地があり、そこをこのキングダムではどう解釈して作劇が成されるか、興味深く見てる。
うわー。いきなり鼻持ちならない士貴族の三百人隊が出てきた。正規兵としての訓練を受けてるから型のある武術っぽい技も持ってふ。でも、こいつらは1年前の趙国戦の死線を生き残れるほどの奴らとは思えないし、龐煖と対峙したら瞬殺されそう。
ちな、漢の高祖、劉邦は庶民の出だし、明の初代皇帝、朱元璋は貧民の出だ。
ちょっと作画の絵柄が変わった?
人物こ表情のつけ方が変わったような気がする。制作会社は変わってないけど。
李牧と信が話すシーンは面白かった。
河了貂とカイネの再会は敵同士なのにほっこりした。
確かに5年でかなりの成果を上げないと何もかも間に合わない……誰の人生にも大なり小なりそういう時期はありそう。
呂不韋、さすがに商人から秦王位継承の工作を行って丞相まで成り上がっただけのことはある。が、その権勢も政が成長して親政を行うようになるまでのことだけど。
李牧は重要な城一つを失ったけど、同盟に漕ぎ着けて人質を取り戻しただけでも利にはなったはず。
信も政も1年でちょっと成長して精悍な顔つきになった。羌瘣もちょっと女性らしくなった。河了貂の見た目があまり変わってない気がするけど、そもそも信より年下だったかも。
飛信隊も頼もしくなった。
王騎将軍の英傑に相応しい見事な最期。そして信は矛を託され、政は中華を。
李牧は王騎一人を倒すために伏兵含め16万の兵を動員して、有能な軍師や将を何人か犠牲にしたと。
その李牧は史記では英傑らしい最期ではなく、秦の調略によって起きた趙国内の権力争いに巻き込まれて誅殺されてしまうのだけど、それは趙国滅亡の3ヶ月前だから、もう国体は末期的だったのだろうと思う。正史において英傑が名に相応しい死に方をした記述はむしろ少ない(事実性が重視されている)。けど、秦の侵攻を退けた将は李牧と楚の項燕のみ。
300人隊長になった信、軍師を本格的に目指すことになった河了貂、それぞれの行く末が2期で見られるのが楽しみ。
王騎って、ちょっとオネエっぽい台詞回しだけど、小山力也さんなんだなと改めて。
背後からの弓を防ぐのに信が間に合っていれば王騎は勝っていた。けど、この手の物語における運命はこういう紙一重の悲劇で描かれるんだよなぁ。