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良い

中途半端に年を重ねた人間にとって学生時代に戻れるというのは魅力的な誘惑
けれど、前回にて年齢操作による手痛いしっぺ返しがあったように、美味しい話に反動が有るのは当たり前で
だとしてもトイレに長時間閉じ込められるというのは幾ら何でも可哀想だったけども(笑)

今回のオカルトはよだれと高熱なのかな。神隠しは次回以降?
まだ怪異の正体が判らないからこそ菫子は見える範囲の謎に向き合う事になる
それは乙の人柄であったり、本物の中学生の生態だったり
見栄を張りたいからと、中途半端な嘘によってドツボに嵌っていく菫子の姿はちょっと笑える

多数の学生が集う学校において、目立った問題が無いというのは外側からは良い話と思える
けれど内側に居る者からすると、その何も無さが違和感と思えてしまう事もあるようで
そう訴えていた少女が謂れなき罪によって昏倒する怪異、それを引き起こしただろう畦目はどのような謎を持った人物なのだろうね



良い

幾つもの問題を解決して安らぎの場所を手に入れたルディとシルフィが行うは披露宴か
自分達の幸福を披露するものであるのは当然として、二人を祝う側である参列者も想いを披露する場となっているのは印象的
結婚は人生の転機。同様に送り出す側にとっても転機となるわけか

買い出し等のシーンに現れるようにルディとシルフィは既に人生のパートナーとして結ばれている。なら、既知の間柄の参列者に意気込んで堅苦しい挨拶をする必要はないわけで
自分達は幸せに成ると宣言し祝う場とする。彼らにはそれできっと充分
それ以上はルディ達ではなく参列者が持ち込むもの

ルディ達が堅実なら祝う側の想いが爆発する。その筆頭格がエリナリーゼか
自身の業を自覚している故に秘匿しようとした想いはシルフィが幸福に成ると知れば抑えきれなくなる
子との縁を切る行為を繰り返してきた彼女にとって、孫の巣立ちを祝えるなんて幸福そのもの
また、彼女を支えるクリフの存在もあるし

アリエルとルークによる決闘も似たようなものか
ルディを試す場でありつつ、ルークよりも実力者であると示す事で託すに足る、つまりはシルフィを幸福に出来る人物と証明するようなもの
茨の道を歩むアリエルにとってシルフィをそのような人物に託せた点は1つの幸福と言えるのかな?
多くの幸福が交わされた披露宴、その分だけルディ達に捧げられた想いも重く感じられたよ



とても良い

転校生の真由が気にするのはバランスを崩さないかどうか
それは配慮が行き届いているようで、実はその姿勢がバランスを崩しかねないもの。奏は真由を気にするし、挟まれる久美子は気を揉む事になる
対立にバランスを求めるなら三角形が良いけれど、真の意味で三角形を作るのは難しい

考えてみれば、部長を含む幹部とは顧問・幹部・部員が織り成す三角の一角を成すような存在。でも、実態は顧問と部員の間に立つクッション役。バランスは取れていない
だから部長の久美子には釜屋姉妹の面倒な問題が持ち込まれるし、自由曲決めも求められる
疲労は溜まるばかり

というのに、幹部の中でも三角は微妙な形になっているね
塚本が久美子の元彼という点を意識して一線を引けば、麗奈がクッション役になる。けど、麗奈も彼に近付けば宜しくない影響が生じると危ぶむ
三角を成すにはバランスが求められる。バランスとは三角の芯で、それが自由曲に求めるイメージとなるわけか

1年時から全国を志してきた久美子達は誰よりも全国で勝つ方法を模索してきた。その芯は揺らがないから幹部の三角は全国を意識すればバランスが取れる
なら、幹部が掲げる一番の目標により顧問や部員との三角もバランスが取れる
責任の重い状況でも問題を1つずつ解決していく彼女らの様子には感動を覚えるよ



とても良い

原作既読
一目惚れ同士で始まる百合恋物語…なのだけど、ひまりと依の「惚れる」意味が擦れ違っている点がその恋への関心を引き立ててくれるね
今は一方通行の一目惚れ。不慣れな恋心や憧れの感情を向けるひまりに振り回されつつも、振り向かせてやろうと意気込む依の姿が良いね

一目惚れは恋の相性を運命的に感じてしまう瞬間の如きもので
ひまりと未希が小中高一緒なのも、亜季が依をバンドに誘うのも運命的な相性
でも、そこに恋は絡まないから一目惚れとは言わない
依も自分の人生に恋を絡めなかったから、一目惚れと無縁だった。ひまりに出逢うまでは

制御不能の恋心とどう付き合うか
相手が居ない状況で整理するだけなら歌に向かえば良い。でも、その歌がひまりを引き寄せてしまうから難儀な話。おまけに一目惚れの意味の勘違い
無縁だった筈の恋心が依を振り回す。でも今の依はそれを楽しんでいるようにも見える

依はひまりを振り向かせたい。その為には無縁だった恋心を相手に歌い付き合う
そうした姿勢がひまりから微かに感じ取れる恋の蕾をどう花開かせるのか?
恋とバンドが織り成す物語、恋が叶う瞬間が待ち遠しいと思える初回でしたよ



良い

一緒に居る事で生じる気苦労と、一緒に居ない事で生じる不安感がないまぜとなったEP
女の子との同棲が突如始まり心休まらない森太郎の気苦労を推し量るのは難しいが、それ以上にとわと共に過ごす事で得られる安らぎは彼を癒やしていると確信を持って思えるよ

布団が1つの状況に始まり、森太郎ととわの生活には足りない物だらけ
風呂とトイレを隔てる壁も生活のルールも足りない。あと、とわの倫理観も足りてない
改善点は多いけれど、一方で同棲解消したいと思う程ではない。森太郎もとわも2人暮らしに早くも充足感を覚えている

一緒に居ない事で2人の不足は別の面を見せるね
森太郎は食事が足りてないし、とわは幸福感が足りてない。解決策はやはり2人が一緒に居る事で
お弁当を食べるなんて変哲のない描写が2人の満ち足りた生活を体現しているよ
ただ、それが別の少女の気苦労に繋がるラストはラブコメとして美味しい展開ですよ



良い

原作既読
ラスト以外を見れば怪獣解体をしながら防衛隊員を目指す話に思えるし、ラストだけなら『進撃の巨人』の如く巨大な力を持つ者同士の戦いを描く話に思える
まだ本作は肚の内側を見せていない。それ故に評価も難しいけど、基礎部が手堅い為に期待を持てる作品になっているね

過去のミナと約束した頃のカフカは少年漫画のヒーロー然としているが今は清掃作業員。必要とされない仕事という話ではないが、ミナのしている事に比べれば隔絶を覚えてしまう。耐えるには諦めたのだと自分を納得させるしかない
その姿は中途半端、防衛隊を今目指しているレノには腹の内を誤魔化している人間に見える

でも面倒見の良さや怪獣から逃げず立ち向かう姿勢はレノの印象を変えるものだね
そこには隠し事の無いカフカの人間性が現れている。そのような人間が防衛隊員になれないとか許される筈がなく。また、カフカの為に戻ってきたレノとて同様

今は本物の防衛隊に守られる彼らだけど、意志を取り戻したならここから始まるのはヒーロー道の筈
…なのに怪獣退治を目指すカフカが怪獣になってしまうオチ。深刻な状況なのに、コミカルな作風だから悲惨さは感じないね(笑)
あのような身体になったカフカがミナの隣で戦える日は来るのかな?



とても良い

部活動にとってはラストシーズンとなる3年生期は特別な感慨を齎すもの
でも、感慨に浸って良い時期でもないし、時間は勝手に進んでしまう
久美子に託された部長の地位と部の方針。圧の強い環境で、けれど力の抜けた雑な感じとそれに反する芯の強さは彼女の魅力を充分に教えてくれる
だから久美子が部長となった吹部の躍進にも期待してしまう

上級生の初仕事は新入生の迎え入れ。全部員の実力が大会成績に直結する類の部活では特に重要な点
だから気が滅入るのだけど、「大変」と口にしつつ良い意味で力が抜けて見える久美子が居るから吹部も過度に追い込まれない
でも、そこには先輩達が培った部の雰囲気も残っていて。連綿と続く伝統を感じられる部分でも有ったよ

久美子が自分の芯を見せたのは麗奈と共有している悔しさの部分に関して。また、恋心も打ち明け合っている2人は特別な間柄
久美子と麗奈は吹部の中核を支える想いを知っている。吹部が目指すべき場所を心に掲げている
そんな2人が3年生として部に存在するなら、間接的にそれは部の方針として伝播していくもの

久美子が新入生含め部員に問う活動方針は先輩達から受け継いだ伝統でありつつ、彼女の願いそのものなのだろうね
これにて部は固まった。だというのに、そのタイミングで現れた少女はどのような波乱を齎すのだろうね?
あと、新入生相手でもいつものトーンを崩さない奏がどこまで暴れるかも気になったり



とても良い

第一話ラストにて自分のロックを確かな形にしたと見えた仁菜だったけど、それはあくまでもロックであり曲では無かったという事か
仁菜によって進む意志を取り戻した桃香は彼女とバンドをやりたい。でも仁菜の進む意志は反抗であってバンドには繋がらない。そんな彼女に眠る歌を優しく引き上げるEPとなったね

桃香の歌に呼ばれる形で東京を目指した仁菜は桃香にもっと歌って欲しかった
同じように、桃香は仁菜の歌に呼ばれてロックへと再び進み始めたから仁菜に歌って欲しい
彼女らの望みは似通っているが仁菜の目線上にバンドは無い。その意味で彼女はまだ家訓に縛られている

でも家訓を受け容れていたら彼女は進んだりしなかったわけで。縛りに反抗する形で進む彼女の在り方はやはりロックに近い
生き方がロックなら、仁菜はロックに成るべきで。桃香が誘うのも当然の話
面白いのは桃香は誘うのを諦めたように見えながら、最後には仁菜がバンドに辿り着くと判っていたように見える点か

すばるの登場は仁菜の鬱屈を刺激するもの
仁菜を追い詰め苦しめる感情の発露はロックそのもの。街中で叫んでしまうのも電灯を振り回してしまうのも余り在る後悔も全て彼女の反抗
一人では暗闇に堕ちるそれを桃香とすばるが歌へ昇華させるラストが素晴らしいね
欠けながらも輝く電灯は彼女らの在り方を体現しているようだったよ



普通


とても良い

背景美術が実写かと見間違うばかりに美麗……!
そんな空間だからこそ新しくキャンプを意識する綾乃や庭であっても楽しそうにキャンプする野クルの面々が”生きている”と感じられるし、尚更に彼女らの”楽しさ”も伝わってくるね

キャンプ慣れしていない綾乃がまず手を出すのはココアを温める道具だったりバイクで出来るキャンプだったり
こういった点に彼女の個性が出ているし、その個性がリンや野クルとは違ったキャンプ模様を見せてくれるのだろうと期待させてくれるよ

場所が庭であってもキャンプ模様となる野クルは集団だからこその楽しみやちょっとした挑戦をする事で生じるワイワイがポイント
千明が購入したアレなテントだって失敗であってもそれは良い思い出だし、リンとの繋がりも生んでいる
挑戦には本物の失敗は無いと言えるね

失敗しても楽しめるという意味ではソーセージも同様。味は酷くてもお手製ソーセージ体験は次なるお手製への期待を持たせるもの
というより、考えてみればキャンプという行為自体がお手製の塊。工夫を凝らしてキャンプする行為こそ彼女らの楽しみの源泉と言えるのかも

そうして次のキャンプが楽しみになれば、自ら進んでキャンプへ行きたいと思うもの
綾乃の誘いが有ればそれに乗りつつソロキャンも楽しもうとするなでしこはキャンプの様々を楽しめている
こうした寂しさと楽しさが良い塩梅で混ざり合う本作は本当に良い作品ですよ



普通


普通

配偶者に相談せずマイホーム購入ってどうなんだ?と思わなくもないけど、それだけルディとしてはシルフィに何かを返したいとの欲が強かったという事かな
あの病から解放され、愛しい人と添い遂げた。それによって得られる全能感はルディに大胆な跳躍をさせたようで
……それにしても、マイホーム購入って思い切った買い物だなぁ(笑)

病という問題が解決された事でルディは次なる目的を選ぶ必要に駆られたわけだけど、そこで家族や故郷の問題ではなくシルフィが優先されるのは彼の中で彼女が大切なのだと示しているね
だと云うのに、この回の殆どが男連中と一緒ってどういう展開なの…
いや、ルディとザノバ的には人形制作が大きく進むきっかけを得たと言えるんだけどさ(笑)

どんなに思い切った買い物でも彼女が喜んでくれないなら意味はない。シルフィの反応が良かった点は一安心と言えるか
結婚したからって2人のこれからが全て一緒になるわけではない。でも、そこに約束が重ねられるなら、一緒に居ようとする意志は固くなる
一度は離れ離れ担ってしまった2人がああも仲睦まじく触れ合う様子を見られるのはこちらも温かい気持ちに成れるね



普通

原作既読
『迷い込んだ天使様に駄目人間を直されていた件』と改題したくなる内容だけど、天使であるとわが一方的に温厚な性格をしているだけでなく、森太郎だってとわに引けを取らないくらい温厚な性格をしているからとわの不安定な部分を直してやれる
偶然出逢った2人がどのようなワンルームを形作っていくのか、その路線が見えるからこそ穏やかな気持ちで見られる作品となっているね

人間を勉強するは良いけれど不安を抱えていたとわにとって、一人暮らしにより他者の温もりが恋しくなっていた森太郎にとって
足りないものを埋めるという意味で2人の同棲開始は良い収まり具合となるね
人をすぐに信じてしまう天使のとわの信頼に応えてやれる森太郎とて天使的な性格をしている。突如舞い降りた同居人なんて迷惑を感じても可怪しくないのに、彼女の日用品を買ってやれる

でも、それは森太郎からの一方的なものでなく、まずとわが森太郎にお粥の形で温もりを与えていたから返したくなった温もりで
互いに温もりを与え会える素敵な関係、早くもそういった繋がりを作れたから、とわも森太郎を幸せにしたいと思えたのかな
森太郎ととわの優しく温かな二人暮らしを見守る作品として、合格点を挙げたくなる初回でしたよ



とても良い

高校辞めて東京目指すなんてかなりロックな生き方。でも、それは彼女の音楽性を体現してはなく、むしろ行き詰まっていたから別の場所を目指しただけかもしれなくて
マイクもギターも持たなかった仁菜が本物のロックに手を伸ばすまでを描いた初回、既に興奮度の高い内容になっているように思えましたよ

道を間違え時間に間に合わず人から逃げ。それは上京したと云うより追い詰められてしまった人の行動そのもの
何も頼れない彼女がそれでも拠り所としたのは初期衝動を模したかのような歌とその歌手
一方で追い詰められていた桃香も最後の夜に彼女を拠り所としたわけか

目指すもの無く行き止まりに居着けば進めないから帰り道しか選べない
桃香はそれに納得していた。納得せず反抗を初めたのが仁菜で、更に言えば仁菜はもっと前から反抗していた訳か
でも仁菜には居場所がないからその反抗を表現する場を持たなかった
そんな彼女に最後のトリガーを与えたのが諦めた桃香の言葉という流れが良いね

桃香の決断に納得せず、彼女が去るしか無い現実も己の負けも受け容れず。そうした彼女の反抗心が、天を衝く中指が桃香だけでなくロックという何かを呼び寄せるものになっていたかのよう
聞き届けてくれる誰かの為でなく、溢れ出る衝動を表現するように雑踏の中で歌い上げた彼女の姿には感銘を覚えてしまったよ



とても良い

まず、リンの原体験を描く事でキャンプの楽しみ方を改めて示した上で、今のリンが当時をどう感じたか。それを受けてなでしこがどのような活動を行っているかという3層構造になっているのが良いね
こうした影響関係が本作をより良い作品に仕立てているように感じられるよ

楽しみ方は人それぞれでも実体験が無いとその楽しさは判らない
ダムに興味があるなら見せてみる。キャンプに興味があるならやってみる。時にはちょい無理でも火熾しすら
そうした体験があるから今のリンは自らのキャンプを楽しめているのだろうと判る

楽しさが有れば寂しさがある。寂しさなんて普通は避けたい感情だけど、祖父が云うにはそれが次のキャンプを楽しみにしてくれるそうで
その感情はリンからなでしこへ伝えられつつ、より発展させられている。リンもなでしこと次のキャンプに行きたくなる

他方で野クルは新たな楽しみを
ここで鳥羽は本人的にはお薦めではないアルコールストーブをそれでも体験させているのは印象的
実体験は何よりも大切。細作途中の失敗も完成した成功も楽しみの一つ
それはやってみなければ得られない感情

そうして野クルは今回の楽しみを経て、次の楽しみへ向かうようで
それぞれの楽しみ方を尊重しつつ、それらが連鎖して新たな楽しみを生む本作。久方ぶりなTVシリーズを見る事で得られる楽しさは視聴者側にとっても良い体験になっていると再認識出来ましたよ



良い

自分より格上の野禅を倒す為に力を求めに求めた迅火が辿り着いてしまった果ては人ならざる領域
正体を無くした彼は闇に成るでもなく人と闇の中間に成るでもなく筆舌に尽くし難い何かに成り果てた。野禅を上回るだけを望むべきだった力が迅火を滅ぼしてしまう構図には因果なものを感じるね

野禅は精霊転化で九尾の力を使うけれど、力に呑まれること無く人の知恵も使う。だから山の神にも対抗できる
対して迅火は知恵も力も足りないから力だけを求めた。普通の手段で到達できない境地は人を喪失させるもの
そうなった迅火が結局己自身のコントロールすら失うのはその境地が過ぎた力の証明であるように思えるよ

他方で真介は己のままで野禅を斬ってみせたね。また、人を愛するたまも闇である己を受け容れている
そんな2人が己を肯定する帰結に辿り着いた描写があるだけに、迅火の行き着いた場所は己の否定だと感じてしまう
過ぎた己ではなく有りの儘の己を肯定するたまの愛を含めた言葉が迅火に届いていない点は哀しいね…

原作を知っているからこのような展開に成る事は知っていた筈なのに、それでも道を踏み外す迅火と道を定めるたまという対比には鮮烈な印象を覚えてしまったよ
でも、これは3部構成の1部目なわけで。新たな主人公が目覚める事で始まる2部以降の話も充分に期待できる、そう思える世直し姉弟編でしたよ



とても良い

ここまでやれば満足だろ?と言わんばかりの豪華絢爛てんこ盛りの内容には脱帽ですよ
今の時代からすると、ちょっと古いように感じられる勇気とロボを組み合わせたフォーマットをあれ程までの豪速球でやり切ってくれたのだから素晴らしい!

元々イサミはそれほど勇気のある人物ではなかった。ブレイバーンの乗り手に選ばれて暫くの彼はその現実を受け入れられなかった
そんな彼がヒーローに成れたのは、偏にスミスの存在があってこそ。逆に言えば彼もブレイバーンも居なくなればイサミが勇気を失うのは当然かもしれず
ヒーローらしからぬ情けない姿、そこに再びスミスが現れるという展開は本当に熱い

イサミの支えであるスミスとて最初からヒーローだったわけじゃない、でもイサミを支える事で彼もヒーローと成った
スミスがいるなら、勇気の向こう側へいける、勇気を爆発させられる。それが合身となるわけか

そこからの展開は本当に熱さしかないね。まあ、変な笑いもちょっと起きちゃったけど
最終回は全員集合というお約束に則り非戦闘員までやって来るとは思わなかったよ。でもその皆の勇気を融合したお陰で最後に姿を現すはブレイバーンの新たな姿。
皆で勇気爆発!それはとても本作らしい光景ですよ

必殺技も大判振る舞いでスペルビアとの合体技も有ったりして
その上で死んでしまった筈のスミスが生き返るという展開まで見せられたらこちらとしては文句なんて何も言えないわけで
今の時代には珍しいタイプの作品だけど、それを満足行く形で映像化してくれた大張監督には感謝しかないね



良い

夫婦漫才を経ても友崎はみみみを選ばなかった。風香が書いた脚本を通して友崎が見せられたのは舞台の形を採った想いの返答
明示はされていないけれど、彼女の想いを仮託した舞台は彼女の言葉を明確にする
風香の言葉を受けた友崎がどのような言葉を返すか?それと向き合った最終回となったね

友崎は振られたと消沈していたのに、それを以って人生をクソゲー呼ばわりしなかったのは印象深い
自分の想いが叶う事を最上とせず、数多の想いが交差する人生の良さを尊重出来ている
なら人生の主人公は友崎以外にも居る訳で。己の想いを他所に友崎を奮起させたみみみの言葉はとても素晴らしいね

風香が抱えるのは己という檻から抜けられない苦しみと作者として尊重したいキャラの幸福
みみみの言葉を受けてあの場に来た友崎だから風香の想いに向き合える。でも、その前から友崎は己自身の想いに向き合って生きてきた訳で
悩む風香を解き放つは想いを形にした言葉となるのか

友崎が言葉にした嘘偽り無い想いは風香の言葉を越えて想いを引き出すものになったようで
友崎としては大きな難関を越えた形。けれど彼の人生攻略はまだまだ続いていく訳で。その傍でみみみとて己の想いを越えて生きようとしているのは良いね
また、ラストにちょっとした我儘を見せた風香はあれはあれで人生を変える小さな飛躍を見せたのだと感じられたよ



良い

時期としては1年生編最後のEPという事もあってか、それぞれが己の学園生活を踏まえつつ、これからを志向する姿が見られたかな
それらは成功と失敗を経ての学習だから自然さがある。対して綾小路だけは成功も失敗もあるのに何処か機械的
現在の境地に至るのも全ては計算通りと言わんばかりの姿勢が彼の異質さを強調していたよ

これから始まる2年生に向け色々考える生徒達の中で不安に押し潰されそうになっていたのが一之瀬か
一度は心折れた事で立ち上がれたが、それは前に進める力ではないから別に動力が必要となる
あそこで約束を与えた綾小路は優しいというよりも、あれはあれで計略の一部ではないかと恐ろしい気持ちになってしまう

他にも龍園を焚き付け、堀北と賭けをしている様子は独特
これからの生活を意識しているようで居て、一之瀬の件を合わせ、各クラスリーダーの成長を導こうとしているかのよう
その意味では綾小路は学生離れしていて、だから理事長代理との勝負も様になる。むしろそちらの方が自然であるかのよう

綾小路は何処まで行っても普通じゃなくて
だから軽井沢相手に恋愛ごっこを始めても、そこには学生らしさは微塵もない
軽井沢が恋愛感情を表に出せば出すほど冷めて見える綾小路の表情。そんな彼の祈りを聞き届ける神様など居るのだろうかと歪さを覚える1年生編の締めでしたよ…



良い

極限の力を用いる戦いは相手を上回ればそれが果てとなる筈なのに、更に上の力が現れる為に結局は果てが無くなる
自らを壊す程の力を手にしても、上位の登場によって無意味となる力は果たして意味があるのかと問う内容と感じてしまったよ

道錬を上回る力を求めた迅火が辿り着いたのは人から逸脱する行い
尾が増えたのは強化の証。けれど際限が有った筈の強さに風穴を開けてしまったのは不吉
また真介は荒吹を使えるようになり強者の仲間入りを叶えたのに、見せられたのは空や死の絶対性

極めつけはやはり泰山を上回る山の闇の出現だろうね
強大な力も上位者の前では無力に等しい。力を求めた誰も彼もを嘲笑うかのよう
だとしたら迅火と同じ精霊天化を使う野禅の登場は力の在り方にどのような波紋を起こすのだろうね



とても良い

最初はただ同じ電車に乗り合わせただけで、そこで終わって可怪しくなかった2人が互いの世界を擦り合わせ繋がりを深めてきた
そうして描かれた最終回は本当に2人の世界を1つの世界にするかのような素晴らしいものとなりましたよ

雪発案のデートプランは、彼女の好きを逸臣に教えるものになったようで
それは間違いなく逸臣が更に雪を好きになるきっかけとなる
また、この段になっても2人に小さな擦れ違いが起きるのはそれはそれで逆に良いね
雪にとってはNGサインは逸臣にはOKサイン。そうした擦れ違いで不和が生じるのではなく、世界の違いを楽しむかのように触れ合う様子は本当に麗しい

逸見が語るは彼の世界が形成された経緯
最初からコミュ強だったのではなく、言葉が通じる喜びが最初に有ったから彼は会話を楽しむように世界を旅するようになった
こちらも雪が逸臣を更に好きになる話となっている
互いを知る事で二人はまだまだ好きになれる

2人の世界には幾つもの違いがあって、でもその違いは互いを切り離すのではなく好きを深めるものになっている
また雪達だけでなく、他の組み合わせでも世界を擦り合わせ恋の息吹を感じさせる描写が
異なる世界を擦り合わせて新たな世界を作る雪と逸臣を中心とした恋物語は様々なコミュニケーションが描かれたからこそ素晴らしい作品になったように思えますよ



良い


とても良い

全ての仕舞が描かれる最終回は同時に話の中心となった人物のひとりごとが描かれる回となったような
羅漢にとって鳳仙は過去のもう手に入らない華。だからまだ咲いている猫猫を引き取ろうとしたのだろうけど
その構図の上で梅梅が自身という華を隠しつつ別の華を提示する展開が本当になぁ……

壬氏を前にしていた頃の羅漢は何を考えているか判らない人物だった。けれど前回・今回のひとりごとを経た事で彼の人間性が判るようになった
でも彼以上に羅漢を知っていたのが梅梅で
羅漢の本当の想い人、無くなった筈の華の在り処。収まるべき二人姿には涙を禁じ得ない

やっと見つけた鳳仙は変わり果てた姿。でも、当の羅漢はそれを問題としない。華が欠けた鳳仙を美しいと言う
鳳仙の想いが口にされる事はないが、責めるような梅梅のひとりごとが代弁してくれるね
たった一人を相手に見ていた二人は、二人としてようやく収まるべき処に収まった

次に語られるひとりごとは猫猫。最後を仕組んだ彼女はある程度俯瞰して物事を見る
ここでも鳳仙の代弁が行われ、更に猫猫が羅漢に向ける嫌悪も話される。それにより以前見えていた構図に別の形が見えるようになり、より鳳仙や羅漢の解像度が上がる結果となっているね
また、高順の言葉が猫猫に見えてない構図があるとも教えてくれるが(笑)

猫猫の踊りの後に語られるのは全ての仕舞話
今回の猫猫はいわば両親を再縁させた形となるが、本人はどちらも親と思ってはいない。猫猫の在るべき場所は今は違って
だからこそ、しょうもない会話でいつもどおりへと回帰できた猫猫と壬氏の姿に安らぎを覚える
無茶振りをする壬氏とそれを解決する猫猫。本当に良い組み合わせですよ



良い

今回の話、どういうテンションで見るのが正しかったんだ…まるで判らない……
最終決戦の地にやって来たのに始まるのはキャンプの如き和気藹々。そして謎の敵は謎のまま死んでまさかのライバル対決…からの怒涛展開はこちらの心情をぶん回してくるよ…

イサミ・ブレイバーン、ルル・スペルビア。それぞれの組み合わせでは良い関係は築けているが、4人組として見た時にはまだ微妙な部分がある
最終決戦に挑むなら絆は盤石にしておきたい。…だからってあんなトンデモ展開が始まっちゃうのか……
私は一体何を見せられたんだ…

また、大物感を漂わせて登場したセグニティスが特に何もなく倒れるとか意味不明だし、その後に始まるライバル対決も唐突すぎてこちらの感情を置いてけぼりにしてくる
それでもブレイバーンとスペルビアがライバルのまま和解できた展開は良かったのだけどね……

ルルは悲劇を回避する為に戻ってきた。なのに起きたのはまた別の悲劇
けれどイサミはまだ生きているし、あの場にはスペルビアも居るわけで
試されるのはイサミの勇気。ブレイバーンに乗るからヒーローなのか、乗れなくてもヒーローに成れるのか
最終回では勇気が爆発するような展開を見たいものですよ



とても良い

フリーレン達は旅をしているから一つの街に留まる事はない。すると自然と増えるのは出会いと別れ。それは今になって始まった事じゃなく、勇者一行時代にもしていた行為
ヒンメルが旅した痕跡がそこかしこに残り、更にフリーレンの旅が新たな痕跡を残す。そこに生じる連綿とした繋がりを感じられる最終回となったね

合格となったデンケンとヴィアベルに共通するのは、ヒンメル一行の痕跡を持っている点かな
デンケンはフリーレンに憧れて魔法使いになった。ヴィアベルはヒンメルの逸話を尊敬し生き方を選んだ
そうしたヒンメル一行の痕跡が各地に在るのはそれだけヒンメルが人の記憶に残る旅をした証

ヒンメルが道中でした小さな人助けはそれそのもので世界を救う事はないし、勇者の振る舞いではないかもしれない。でもヒンメルがして、フリーレンに受け継がれた小さな痕跡が今に繋がっている。そしてその繋がった今が一級魔法使いを目指す者達の助けとなった
ヒンメルは別の意味で誰かを救っている

旅の痕跡が今に繋がるという意味ではフランメやゼーリエがした行為にも似ている
フランメなんて伝説上の人物だけど、彼女の痕跡・功績は各地に今なお残っていてゼーリエも覚え続けている
レルネンが自身の行き止まりを悟り突飛な行動に出たけど、きっと彼の痕跡もゼーリエの中に残り続ける。それは人を生かす人生の旅と呼ぶべきかもしれない

なら、フリーレンがしている旅も物理的な意味だけでなく、精神的な意味も含んでいる筈で
ヒンメルと再び話す為に『魂の眠る地』を目指す彼女の旅はヒンメルの痕跡を辿りつつ、自身の痕跡を残す旅。同時にヒンメル一行を覚えている人々との会話を楽しみつつ、自分達を覚えて貰う為の旅
新たな旅でありつつ懐かしい旅である彼女の道中を再び見られる日が待ち遠しくなってしまうよ



良い

堀北学の卒業によって描かれるのはあの学校での成長の記録かな
綾小路達はまだ1年間を過ごしただけ、少しの成長しか遂げられていない。けれど彼は3年間を過ごし、下級生を見守ってきた
そこから生じる視点の差が堀北鈴音だけでなく超人に思える綾小路をも未発達な人間とし、成長の余地を見せる展開へと繋がっているね

綾小路の実力は飛び抜けている。他の生徒達の成長を見守れる程に
けれど彼は自身の限界を見極めていて、それ以上を望めなくて
そんな諦観していた彼の考え方を変えられる堀北学がどれだけ偉大な存在であったか改めて示された形だね
卒業時にあのような言葉を残すのは彼自身、3年を尽くしても尽くし切れない想いがあるかのよう

思い残しが有るのは鈴音も同じで
クラスのリーダーとして成長できても堀北学の妹としてはまだまだ
成長できない理由を堀北学に追い付いていないからと定義してしまえば、年数の差があるのだから一生追いつける筈もなく
そうではなく、学の影響を振りほどき自分の姿で前に歩み出せた彼女はこれまでとは違う成長を見せられたという事かな?

堀北学の卒業、そして鈴音のこれまでを振り返る特殊ED
こういった部分を見ると本アニメシリーズの総括をしているかのよう。でも本作の主人公は綾小路なわけで
未来が決まっている彼があの学校に残す何か。それの一端が描かれるだろう最終回で綾小路が見せるのは成長かそれとも別の何かか。今から楽しみですよ



良い

理想に身を委ねようとした風香を変える友崎の言葉、あれは面白いね
友崎は自身の経験から作者ではなくキャラの素晴らしさを説く事だって出来た筈。でも彼は作者としての考え方を理解した上で言葉を使っている。だから友崎の言葉は風香に届いたのだろうね

結局、風香が抱えていたのは自身の否定だったのかな?今の自分は間違いだから理想的にならなければならない
でもそれこそ風香が好むアンディ作品にて描かれた理想と異なる立場となってしまうわけで
世界にとって理想の存在なる者は居るかもしれないけれど、理想の世界にとって要らない存在はない

風香が思うが儘に炎人の世界で生きて行くのが正しいなら。友崎だってそのような選択は出来る筈で
みみみとの漫才はまあまあの出来と2人の息が合っている点が現れた良い舞台になったようで
でもそれが果たして友崎という人間が望んだ舞台だったかというと、少し疑問を覚えてしまう

みみみももその点を理解していたような気がしてしまうね
思うが儘に世界を変える友崎を見てきた。ならみみみが友崎を引き止めるには「夫婦」という言葉を使うしか無くて。彼女の舞台が終わってしまえばその言葉はもう使えない
そして上がるは風香の舞台。彼女が自身を仮託して作り上げた演劇はどのような言葉が飛び交うのだろうね



普通

山での修業を経て奇跡の体現者となった3人だけど、その後の受け止め方が3人の方向性を変えたような気がしてしまうね
迅火は全能感に満ち更なる高みを目指し、たまは不安感に襲われるものの迅火を否定できず追従の姿勢。真介は失ったものばかりを重視
3人の見ているものは異なる

だからか、断怪衆を前にしても3人が心に掲げるものは何処か異なるね
成長した迅火は眼の前の勝利どころかたまとの未来すら夢見る。でもたまはこの断怪衆襲撃に関し出来る事は何もないから迅火を見守るだけ
真介は更に失わないように見えない筈の死角からの攻撃を防いだ
違いが交わる事はなさそう

迅火はその全能感のまま道錬と武の極みに向かう
真介は復讐心を抱えたままバリーと地獄の底へと墜ちていく
奇跡が彼らを強くした筈なのに、身についた強さがそれぞれの目指す方向を変えてしまった
先を見通せない限界バトルは彼らにどのような結末を用意しているのだろうね



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