遂に牙を剥いた堕姫。善逸は居なくなるし、鯉夏にも毒牙が迫る。上弦の鬼を相手にしては普通の人も階級の低い隊士も敵わないから、口を噤むしか無い、逃げるしか無い
それでも立ち向かおうとする炭治郎達は格好良いね
炭治郎達に帰れと促す天元の判断は間違っていない
けれど、炭治郎達は杏寿郎を助けられなかった悔いがある。猗窩座に手も足も出なかった悔しさが有る。だから逃げるなんて言葉は出ず、むしろ自分達はどう動くか?鬼に迫るかという話以外出てこないのだろうね
そうして邂逅した堕姫はやはり簡単な相手では無いようで。初撃による怯えや痺れの理由を正しく解釈できたなら、まだ立ち向かえる
ただ、それでも力量差を覆すのは簡単ではないのだろうけど。炭治郎はどこまでやれるのかな?
それにしても堕姫は凄い格好してますね……
モルフォとの再戦、少人数で限界に近い戦闘を行えばそりゃ損耗は激しくなる。独りで敵に立ち向かう事になる
それでもシンエイを支えようとしたのが仲間達の言葉であり、連邦の援護射撃であり。それによりシンエイは残された独りではなく、託された一人だと思えたのかな
アンジュもセオトもクレナもライデンもシンエイをモルフォに届ける為に踏み留まった。シンエイが生きてモルフォまで到達しなければ勝ち筋など無いから
生きているから先へ繋がる。シンエイがフレデリカを置いていこうとしたのもそういう理由だね。例え自分が失敗したとしてもフレデリカが生きていればキリヤを救う道が残る
キリヤが行き詰まってしまったのも同じ理由。フレデリカが死んだと思ったから、彼は更に狂いレギオンに取り込まれるしか無くなった
逆に言えば、フレデリカが生き残ればキリヤは救われる。死んだと思っていたフレデリカが目の前に居て、銃を自身に突き付けている。フレデリカと自身を救うにはフレデリカの望みを叶えなければならない
キリヤとシンエイが並び、ショーレイが二人を仲裁する有り得ない光景。それを夢見たのは果たしてフレデリカだけだったのだろうかと考えてしまう…
何はともあれ、生き残ったシンエイとフレデリカは置いていかれた。果たして二人は爆発を生き残れるのか、という点がどうしても気になる状態で3月を待つことになろうとは……
ディアを救出する算段になって現れたセタンタ。彼の倒し方はルーグがこれまでに辿った道を考えると面白いね
セタンタは騎士として決闘を望んだ。けれど、暗殺者であるルーグにそれは出来ない。かといって暗殺技術のみで戦うわけでもない姿には彼の変化を感じてしまう
セタンタをルーグは騙し打ったわけだけど、それを成立させたのはセタンタの正面に出てまるで決闘を受けるような姿勢を見せたため。また、問答の最中には余計な被害を厭う騎士道精神じみたものまで見せている
これらはルーグが暗殺者としての人生だけでなく、他の生き方も手にした為であるように思える
ディアの暗殺偽装は失敗と呼んでも仕方ない事態。でも、今度の失敗はルーグに後悔をさせなかったようで
ディアを家族に加え、大切な人が平和で居られる平和を手に入れたという意味ではルーグは任務の成功以上の報酬を手にしたと言えるのだろうね
タクトとザーガンからは音楽への向き合い方の大きな対立が見えてくるね
悲鳴を聞き過ぎ音楽を失い絶望したザーガン、悲鳴を堪え音楽を保ち続け希望に繋げたタクト
それは生き方の違いでも有るね
ムジカートにも対立が見られるね
過去ばかり見て壊れたザーガンの最後の望みを叶えるため滅びに向かわせるオルフェ、命少ないタクトをそれでも望む未来のため先に進ませた運命
運命は誰よりもタクトの語る未来を見たいと思うからタクトと共に戦っている
そんなタクトや運命が絶望ばかり見る者に負けるわけがない
タクトはザーガンを打ち倒すけど、世界を救う方法は提示しない。心のままに音楽が人を救う世界だけを望んでいる
そんな純粋なタクトを前にするからザーガンは喜劇役者としてステージを降りる事になってしまう
結局タクトの曲は完成しないまま。けど、命は運命が消える事によりかろうじて残ったのか…。そして運命が残した願いや姿はアンナが引き継ぐと……
意外な形でゲーム前日譚を見せてくれた本作には予想外に楽しませて貰いましたよ
吉原の暗部に迫るエピソード。でも、真の闇に迫れているわけではないから鬼の本性は見えてこない
けれど、近づいているのは事実だから、炭治郎達は気配や音、匂いによって鬼の存在を感じ取れる。それが余計に堕姫の恐ろしさを感じてしまうね
伊之助も善逸も堕姫のすぐ近くまで迫りながらもその本性を露わに出来ないのは彼女が闇に隠れているから
女将は堕姫の悪事を露わにしようとして殺された。逆に旦那は悪事に目を瞑ったから見逃された
堕姫は超えていはいけない一線に注意つつ狡猾に蠢いているのだと判るね
それでも伊之助と善逸は一時的に堕姫に迫れた。その事実が一つの手がかりになる……と思いきや、まさかの鬼の方から迫ってくるという展開は緊迫感があって良いね
転生してから恵まれた繋がり、環境、能力により道を切り開いてきたルディ
それがルイジェルドと別れ、エリスに捨てられた事で改めて自分の弱さと向き合う事になったようで
前世の男はずっと差し伸べられる手を求めていた。でも、今は……
ルディと別れたルイジェルドとエリスは明るい表情。別れは辛いものであっても、それぞれルディから受け取った大切なものを手に持っている
ルイジェルドは自分からスペルト族と明かせるようになり、愛を知ったエリスはルディを守る目標を持った
久しぶりに登場したザノバやギース、ロキシーにアイシャ、パウロやリーリャ達もルディから受け取った何かしらを持っている。それが今の旅や心を明るいものにさせている
そこから判るのは、暗い部屋で差し伸べてくれる手を求めていた前世の男は、今や多くの人と関わり手を差し伸べるルディとなった点
だからルディは自力で部屋を出なければならないが、弱いままのルディにその力は無い。それを変えるきっかけとなったのが母の愛であったのは良い展開
転生した自分を産んだ母、手助けするのは家族だから当然と胸を張った自分。なら今も助けるのは当たり前。力は無くても理由があるなら部屋を出られる
そうして歩き出したルディは新しい旅へ。というタイミングで第二期は終了ですか
普段はこういう事思わないようにしているんだけど、流石にこれだけクオリティの高い作品だと是非にでも続きが見たくなる。どうにか続編を作って貰えないものですか……?
これまでは86とそれ以外という分断が描かれてきたけど、今回はシンエイとそれ以外の分断が描かれていたね
ライデン達とシンエイは一蓮托生。でも、死神と死神になれない者という断絶が有る。ライデンはシンエイの深い空虚に寄り添いきれないし、シンエイもライデン達ほど生を考えられない
兄を討ち、レーナとも死に別れ、フレデリカの騎士にもなれない
今のシンエイに寄る辺はない。けれど、本来はライデン達が同じ命運を懐く者として寄り添えたはず
でも、ライデン達とシンエイの間には大きな差が存在する。ライデン達ではシンエイのように死者の名を抱え戦い続ける事はできないのだろうね
クレナ達はいつか海に行きたいと思える。戦争が終わればという、これまで存在しなかった戦後の未来を語れるようになった
でも、シンエイはそれすら思えない。死者を死国へ連れて行くシンエイは既に死国に片足を突っ込んでいるから、それ以外の場所を思えないのかもしれない
シンエイからすれば、ライデン達も死ねばその名を忘れない対象の一部
海を前にしたライデン達との間には光の帯による断絶、彼らの死を語る際には墓標を思わせる石に喩え……
シンエイは深い孤独の中にいるかのよう。でもフレデリカに言わせれば、そうして苦悩する事こそ正しく先を見据えようとしているからだという
なら戦争が終わった時、シンエイは何を手に出来るのだろう……
せめてレーナと再会できないものかと思ってしまうが……
奇策を重ね、出来る事は何でもやると言わんばかりの気勢を見せる八虎。何が何でも自分の作品を評価させるという全身全霊の本気を感じさせるね
そこまで行くともはや合格よりも上の目的が出来上がるのかもしれない。そういった領域に八虎は辿り着けたのかも
絵画で強い人とはどのような人か?
八虎は自信を持ってる人が一番強いと、自分以外を強いと考えるけれど、世田介は八虎の方こそ自信が有るように見えると返しているね
結局この二人が合格したわけだけど、二人だけを見ても合格できる程の強さが何であるかは見えてこない
才能面で言えば桑名が抜け出ていた筈なのに、彼女は不合格
だから才能とか自信ではなく、自分の武器を持っている人が一番強いのではないかと思えてしまう
世田介なら絵の巧さを事実と捉えられる武器
自信が無い八虎はそれを補う努力と戦略を遂に自分の武器だと思えるようになれた。それが合格に繋がったのではないかと思えた
八虎は試験の感想で受かるかどうかよりも、やりきれなかった点を反省している。自分が描く絵を完成させられなかった悔しさや絵を継続させようという意思の現れ。それは合格をゴールと、行き止まりと考えていない何よりの証と言えるのだろうね
合格は八虎の絵が評価された証。でも八虎はすぐに喜ばず、世田介に会い入学手続きを見て初めて喜びの感情が湧く。それは自分が世田介と同じくらい評価されたと判ったから
もう一つの喜びは八虎に知られない形で。八虎を絵の道に引き込んだ森がぽつりと漏らした言葉。それこそが八虎の絵を最大限に評価し、物語を締める言葉だと感じられたね
ディアの暗殺依頼、実態は救出でしたか
それは他国への干渉を意味し、更には暗殺者の本分から外れるもの
前世のような道具であれば引き受けない仕事。けれど、人間としてどう生きるかを定めた今のルーグだからこそ、この依頼を引き受けられるのだろうね
タルトはルーグを愛しているからこそルーグが掲げる目的の為に道具であろうとするのか
でも、誰かの為に限界まで力を振り絞ろうと奮闘する存在が道具なわけ無くて…。そもそも道具であったら涙を流すわけがない
ルーグの為にと決めつつも、それに染まりきれないタルトの涙が辛い……
暗殺者の本分を越えて、更には家族やタルトに支えられる形でディアと再会できたのは良いものの、何やら雲行きが怪しくなってきたようで
もし危機的事態が起きるというなら、そろそろ4人全員揃って戦闘するシーンを見たかったりするのだけれど、描かれたりしないものだろうか?
ボロボロの状態でも、命が残り少ないと知っても騒動の中心へ向かうタクト
タクトはザーガンと因縁が有るわけではないし、正義感を持っているわけでもない
それでも音楽のある世界を取り戻したいという想いで戦っている。それを理由にここまで来てしまった
タクトも運命はいつだって自分勝手。それに振り回される方は堪ったものじゃない
二人の安全を考えるタイタンも、二人の為に出来る事を模索するアンナも。
この状況になっても、周囲を振り回す理由が誰かの為じゃなくて自分の為だなんて、可愛くないを通り越していっそ清々しい
アンナでも制御できない自分勝手なタクトを唯一振り回せるのが運命でも有るのは良いコンビであると感じさせる。いつの間にか二人は最良のコンビになっていたようで
そんな二人の前に現れたのは地獄のオルフェ。いよいよラスボス登場で最終回が楽しみになる引きでしたよ
久しぶりに登場して戦闘にも参加したのに、「煩い」なんて理由で昏倒させられたワルキューレが可哀想だけど可愛い(笑)
盃から零れ落ちる赤ワインは今回のエピソードにおいて印象深いモチーフとなっていたね
冒頭においては血や侵食を思わせ、ルディが失い壊してしまった諸々を想起させた
それが終盤には全く意味を変えてルディに降り掛かる構図は見事
故郷に辿り着いたルディ。けれど、そこは空っぽだから零れ落ちるものもない
だから代わりに満たすのはルイジェルドの言葉。ルディから多くを教えられたと語り、エリスに今後の道を示した
言いたい事は有っても今は言わない。心に満ちるものを零すのは再び会った時でいい。その考え方は素敵なもの
エリスの故郷にも有るべきものが無く、むしろエリスに求めるばかり
だからエリスが欲したのは自分を満たす何か、家族か
でも、最後の言葉に有るように今のエリスに満ちていたのは釣り合わないという感情ばかりだったのだろうね
特にオルステッドとの邂逅はエリスにそれを強く抱かせるものになったように思う
ルイジェルドはエリスに龍神に遭った意味を問う。様子を見るにエリスの中には龍神への恐怖が巣食っていたのかな?
エリスがそんな心境なのに、死にかけた筈のルディは再び遭遇する事態を想像し、更には対策まで練っていた。それは自身との差を感じる最大のポイントとなったのかもしれない
ルディとエリスの行為を思わせた赤ワインは一方で零れ落ちる様々を直喩していたかのよう
ルイジェルド、エリスの離脱。何もない故郷、見つからない大切な人。そしてルディの心から零れ落ちた涙や悲しみの大きさにこちらまで胸を締め付けられる
果たしてルディはここからやり直す事ができるのだろうか……?
鬼の住まう遊郭にやってきて緊迫した展開になるかと思いきや、随分とコミカルな展開が目白押し。前回の覚悟完了シーンは何だったんだ(笑)
一方で、華やかな吉原の奥の奥に闇があるのだとも感じられる構図になっていたね
賑やかで自信満々な天元、遊郭を照らすまばゆい光。どちらも昼のような明るさを感じさせる、鬼とは対極の存在
だからそこで鬼を探そうと思えば、光が届かない奥深くへ潜らなければならないのだろうね
だからってあんな酷い顔にならなくてもと思うけれど……(笑)
女将さんの墜落死、奇妙な足抜けの噂、そしてまきをの不審な病欠
コミカルな入りから、鬼の姿は見えないままに気味悪さが増していく展開
今の処は視聴者からの好感度が低めな天元の印象がどう変わっていくのかを含めて今回のエピソードも楽しめるものになりそうだ
八虎から体力と時間と視野を奪う体調不良。
でも、結果的に不良が解消された時の解放感が八虎に天啓を授ける構図になっているね
1日目が殆ど潰れたのは事実。でも、遅れ慣れている八虎にとって、それは不利とならないわけだ
それでもヌードモデルを課題として何をテーマにするかという点には悩まされたようだけど
『ありのまま』はすぐに思いつく。そのテーマを深める為には自分や他人を深める必要がある。それが体調不良からの回復に拠って、視界が開くように深まっていく構成は好み
どれだけ体調が悪くてもこの試験は誰かに変わって貰う事は出来ない。だから体調も精神も追い詰められる
自分しかできない。森のテーマ性も龍二の信条も自分のものではない。だから逆にそこに自分のテーマを籠められる
四角形の中に自分の世界を見た八虎。果たしてどのような絵を描き上げるのかな?そしてラストの行動の意味は?
ディアとのデート回。でも、ルーグにとって本来の目的はディアの亡命だったはず。それは主題にならず、デートで茶を濁される
二人共貴族として領民を率いる立場、我儘のような望みを優先できない。それが結果的にデートの形として落ち着いたという事なんだろうなぁ……
タルトやマーハは水着で無人島。けれど、そういった雰囲気にはならず
対してディアとのデートでは何もかも特別な空気感。それだけルーグにとってディアが別格の存在なのだと判るね
そんなディアを暗殺しなければならない事態。任務に従うか人間として抗うか。ルーグにとって決断の時だね
ああ、凄い回を見てしまった……
冒頭からレニーの回想で始まるように今回は何から何までレニーとタイタンの想いで締められていた。でも独り善がりなストーリーにならず、タクトを見守った一人の音楽家として最高のストーリーになっていたように思う
タイタンと出会ったばかりの頃のレニーが全く笑えなかったのは意外な姿。でも、タイタンの振る舞いが徐々にレニーを癒やしたと判るね
「一緒に戦ってくれる?」と戦いの光景を意識したレニーに対し、タイタンは笑顔の光景と約束を提示した
一方だけが笑顔になるのではなく互いが笑顔になれる約束
タクトに様々な道を示したレニーは師匠みたいなもの。一方でレニーはケンジの弟子であり師匠だった。教え教わる関係
レニーとケンジがそのようなものであったなら、レニーに教わってきたタクトはレニーに何を教えられたのかと言えば、それは新しい音楽だったのだろうなぁ……
肉体的な死は絶対的なもの。それに対して、タクトは自身の音楽に彼を含むと言った。それによってレニーを含む音楽は死なないと言った
だからレニーの死は描かれない。その代わり……
一人の音楽家がステージを去る姿には思わず涙が溢れてしまった
つい先週まで「無限列車編」をやっていたけど、ストーリーが進むという意味では長い間待ってました!という気分になってしまう。
けど、遊郭へ行くのは次回のようで。今回は「無限列車編」での悔しい思いを受けて炭治郎達がどう感じているかをとても丁寧に描いていたね
乗客を守り魘夢を倒せても、猗窩座に逃げられ杏寿郎が斃れたなら負けも同様。だから炭治郎達にあるのは悔しい思いばかり。でも善逸が言うように蹲っていたって仕方ないから我が身を叩いて進むしか無い
炭治郎が痛む身体に鞭打ち煉獄家に遺言を届けに行ったのはそういった意味があったと言えるのだろうね
そこで出会った煉獄の父はいわば蹲って止まったままの人物と言える
息子への暴言を巻き散らし、日の呼吸への劣等感まで喚き散らす。それはまるで炭治郎の中にある不甲斐なさを具現化したような存在
だから炭治郎は逆上するまでに逃げてはならないと怒り、元柱だろうと構わず攻撃したのかな
千寿郎も別のベクトルで蹲って止まっていた人物。でも、自分の不甲斐なさに気づいている。だから炭治郎も彼に話す言葉は改めて気付いた自分の不甲斐なさを語る言葉になる
でも、それは会話の中で為されるから千寿郎にも影響する。兄のような剣士にはなれずとも彼は進むと決めたようだね
時が経ち再び鬼退治に戻った炭治郎達。でも、それは元通りではなく進展を意味しているのだろうね
杏寿郎の時は彼の戦いに付いていけなかった。それが悔しい思いへ繋がった。今度はアオイを庇う形で天元に同行する形へ
新たな戦場で見せるだろう彼らの成長に期待してしまうね
オルステッドと邂逅したものの、結局は何事もなく済んでめでたしめでたし…というわけじゃないんだろうなぁ……
以前のターニングポイントと違って今回は目に見える判りやすい変化はほぼ無い。だからこそ、裏に秘められた分岐点に今後への恐ろしさを感じてしまう
ヒトガミを知っていると言っただけで全滅しかけたルディ一行。それは正しく理不尽であり抗いようのない暴力そのもの。いわば出会ってしまった時点で不幸であり、命を失っても仕方ないと言える類
つまり理不尽な暴力で命を落とすのが当然であるならば、生き残ったルディには当然以外の理由が有るのだろうね
異世界人は呪いの影響を受けない。それを踏まえてナナホシがオルステッドを恐れない理由……。ルディに助言を授け続けるヒトガミの正体……
そうした諸々の意味を思うと今回のターニングポイントはじわじわと意味を持ってくる恐ろしいタイプであるような……
今回は生き残った。でも次は?
一瞬の油断が命取りとなる戦場、あまりに大き過ぎるモルフォ。それらは戦いが人の限界に近い領域で展開されているのだと感じさせる
だからこそ、ノルトリヒト戦隊が壊滅したと思われた際には堂々巡りの議論や自滅論が議論されてしまう
そういった戦場では86の戦う理由の不明瞭さが際立つね
エルンストは連邦の理想、兵士達は故郷を守るため、グレーテは復讐。それぞれに戦う理由があり、引けない背景が有る
けれど、祖国でもなく敵への恨みも無い状況で戦場から引かない86は改めて他と異なるのだと感じさせるね
中でもレギオンの声が聞こえるシンエイはとびきりに異質
ただ、それらが恐れではなく信頼に繋がるのはこれまでと違う部分か。
モルフォに辿り着ける力を持っているから、どんな戦場でも怯えずに進むから、仲間達は86に自分達の命を迷いなく託す。
けれど、当人たちはそれをどう受け取っていいか戸惑っているようだけど…
勝手に付いてきたフレデリカはそんな86を変えるかもしれない異物
今の処シンエイ達に帰る理由なんて無い。けれど、フレデリカを無事に送り返す為には自分達も生きなければならない
ただ、生への人質フレデリカに死への人質たる拳銃を軽々に預けたシンエイはもう自らの役目を重荷に思うようになってしまったのだろうか…
自宅ではなく、画材も満足になく、海の音しか聞こえない、広い部屋でもない
そんな場所では話すしか出来ないし、お互いの見えていなかった諸々が見えてしまう
飛び込むつもりでやってきた海。けれど、飛び込んだ先は相手の懐になってしまったようで
蕁麻疹や部屋が空になった話。それらは今抱えた苦しみであるのは本当だけど、あの部屋では意味を成さない。二人が明かしたくなるのは別の件
自殺の件で引き合いに出したように龍二はまだ裸になれない。八虎もまた優等生の服を纏ったまま
そんな二人が裸になるなんて普通はない。でも、美術部として自分の裸を描くなら有り得る話
互いの裸は見えぬまま語る二人。龍二は小さい頃からの自分や家族との在り方、八虎は他者からの評価と自己評価の乖離と劣等感。それらは普段であれば明かす事のないような話
普段は見せない裸に潜り込むように互いの心情に潜り合う二人。中でも龍二の最深部に有った秘密は好きな女の子の話か。それを語る時の龍二は震えているかのように見えた
龍二にとって家族よりも進路よりも自分の姿よりも深い場所にあった別の好きの話
龍二は自己矛盾として抱えていたそれを八虎に語る事で、自分が判りやすい形に拘っていた、カテゴライズしていたという点が判ったのだろうね
また、八虎も自分を理解していくように龍二への理解も深まったのかな。それは他の場所では決して出来なかっただろう飛び込み
最後に龍二の認識を改めさせた八虎の受験への向き合い方。受かるも落ちるも自分のせい
なら突如訪れた身体の不調はやはり八虎の責任になってしまうのだろうか?それとも神様による意地悪なのだろうか。まだ本当の受験は始まったばかりだというのに……
初仕事。それを依頼されたからとすぐに引き受けるのではなく、自分で暗殺すべき対象か見極めるルーグの暗殺は前世と別物だね
ターゲットが非道か悪影響は?そういったものを見極めようとするから、悪以外の部分も見えてしまったのかもしれない
今のルーグは多数の愛に囲まれて生きている。母からの家族愛、タルトやマーハからの恋愛、他にも数多の愛を知っている
だから他者へ向けるべき愛も知っている。ルーグが麻薬に人生を乱された親子を助けたのもそれが理由だし、疲弊する領民等を見て暗殺の理由としたのもそういった背景があるから
ルーグは自分の意志で暗殺すべしと判断した。それは前世のような機械的な暗殺者とは異なるもの
だからこそ、ターゲットが有していた夫婦愛にも気付いてしまうのだろうけど
それを自分は正義だからとか、任務だからと流さずに受け止めると決めたルーグ。彼の流儀が見える暗殺になったね
穏やかで賑やかなニューヨークで戯れる運命達。それは別の道を選べば、それこそ別の人生を選べると如実に示しているかのよう
けど、音楽を愛するタクトにとって生きるとはただ穏やかに生き延びるを意味しないのだろうね。だからロッテの諭しに従わない
ロッテが示した運命とタクトの関係性は特異なもの。喰らい合っているのに支え合っている。正に共同体。
運命がD2を倒す、タクトは音楽を取り戻す。その目的の為には互いが協力する必要があるけれど、それによって両者とも大切なものを失う可能性に直面している
タクトは命を、運命はタクトの音を
その真実が明かされた後のお出かけ風景は有り得るかもしれない未来、手に入るかもしれない日常
でも、気を遣われて二人っきりになったのに二人が話すのは音楽の事ばかり。二人にとって音楽は生きる意味そのもの。それを語るということは自分がどう生きるかを語るようなもの
昔のタクトにとって、音楽の無い世界なんて想像できないものだった。今はそれを取り戻そうとしている。でも、運命を介せば自分はその世界に辿り着けないかもしれない
運命も音楽を取り戻した世界での約束に辿り着く為にはタクトの命を使うしか無いが、それでは約束は果たされないかもしれない
二人の目的は喰らい合っているのに支え合っている
偉大なミュージシャンの記念碑。それは音楽も、それを奏でた彼も生き続けていると示しているね。それをタクトと運命が訪れたということはまるでタクトの未来を暗示しているかのようだけど……
タクトが書き連ねている五線譜。それが完成する時が二人にとって未来を決定する時になるかもしれないな……