徳子に子が生まれ、法皇は側近を失い、清盛の増長は留まる処を知らず…
支配者が明確に成りつつ有る中で被支配者に出来る事は人事を尽くして天命を待つのみ。自分の見える範囲で精一杯になる人々の一方で人より多くを見てしまう重盛とびわの悲嘆があまりに哀しい……
目前の運命を変える為には自分に出来る事を積み重ねるしかない
出産の為には供養や赦し、赦される為には卒塔婆を浮かべ、相手に振り向いて貰う為に別の相手と……
出来る事すら無い者はもう運命など変えられない。清盛に見捨てられた形の盛子や市井の人々は救われない
権力者の傍にいて過去や未来が見える重盛とびわは見えるからこそ、救われずに終わりを迎える者達に対して忸怩たる思いを抱くのだろうね。
過去が見えたとて、未来が見えたとて、運命を回避できないなら何も出来ないも同じ
それでも何かをしようとするならば……
変わらないものが変わらないなら命を燃やし尽くすのみか…。自力で出来る事が無くなった重盛に残されたのは後事を託すのみ。息子に刀、そしてびわに……
見えるのに何も出来ないと嘆くびわに託されてしまった眼。そこに居ても歴史に関われない彼女の悲しみが更に増す未来しか見えないよ…
変えてはならないという絶対ルールが存在している筈の過去へのダイブ。それを裏切る試合結果から、最後に明かされる絶対的な分岐点
いや、そもそも「メッセージを伝える」行為をヒカルが改変されないと受け入れた時点で気付くべきだったか……
元々の時間軸では試合に負けた事で決定づけられた陳瀟の最悪な一日。試合は別口として当時は伝えられなかった言葉を全て伝えられて最高の1日に変わった
トキが「順調過ぎる」というのはあまりに依頼人の望みが叶いすぎて未来が変わるのでは?という懸念が有ったのか……
でも、最高になった日が何も意味を為さないのであれば、未来は変わらない
視聴者には伝えられないメッセージの内容。それは大切なものだから明かされないのか、明かした所で意味が無いからか
トキにとっては変えたくなる過去。それをどう変えずに過ごすのだろう……
ダイナミックなバトルシーンが目を引く一方で物語の核心に迫るような要素が目立ってきたのも気になるね
それでいて全体的にはコミカルなノリを失わない話の作り方には尊敬してしまうよ
シリアスな舞台背景がコミカルな冒険描写に紛れ込んでいたように、他にも様々な要素が姿を変えて紛れていたね
ユウキの過去は記憶喪失に拠って、シャドウから生じたキーリはカスミの姿を模す事で。そして最大の罠はキャルへのプレゼントの形を取る事でごく自然に紛れ込んでいるね
ただ、キーリの全てが悪い存在とも思えないけど。カスミを模した彼女は異なる髪型を得た事で自警団に紛れず新たな存在になったような……
一方、城はカイザーインサイトの手に拠って全く別の存在へ模されてしまった。この帰郷はペコリーヌに何を齎すのだろう?