引き続きオリジナル回では有るんだけど、原作ではモブ寸前の男子部員二人の話をアニメで補完してくれたのは嬉しいな
去年のベスト4が相手となりいつもの明朗さが消えた葉山。試合も序盤は運が続いても時間が経てば、やはり相手を押し返すことは出来なくなる。対して学は他校の女子からも人気で実力も葉山より上でベスト4まで勝ち進んでしまう。
バドミントンを始めたのは葉山が先で最初は学に教える立場だったとしても、今の二人に有るのは確実に才能の差。第六話で海老名が綾乃と自身の実力差を「才能の差」と表現した際には、葉山は才能を持ち出すのは早いんじゃないかと提言した
葉山は自身と学の実力差には才能の差があると理解しながらも、海老名に告げた言葉通りに、諦めが悪いことを自分の才能とし部活後の自主練を欠かさない
そのように努力し続ける姿を知っている海老名としては、硬くなり周囲に頑張れなんて言われてしまう葉山の為に「頑張らなくても良いんです!」なんて言いたくもなるだろうね。ただ、そこには葉山を案じる気持ちだけでなくて、自分自身への想いもある。
葉山が努力する姿に才能ある者への劣等感、それでも足掻き続ける意味など自分にも通じる想いなどを海老名は無意識に見出してしまう
海老名から曖昧な告白を受けて驚いていただろうに、海老名の言葉から正しく海老名はバドミントンを好きであるという気持ちを汲み出せた葉山は偉いな
久しぶりに綾乃と再会しても有千夏が気にするのは学校の成績でも交友関係でもなく、バドミントンの実力
一緒に日本を出ないかとの突然の誘いも家族関係を回復させようなどの甘い考えではなく、綾乃の実力を更に伸ばすことが目的なんだろうね。それでも心揺らしてしまう綾乃はどんな答えを返すのだろう?
巨人を駆逐することに全力を掛け生きてきたエレンがあのように諦めの言葉を発してしまうのは衝撃的
エレンとヒストリア、どちらにも父親の罪が提示され、同時に父親から願いを押し付けられる
エレンの父親がレイス卿一家を殺し巨人の力を奪ってしまったことで、人類にとって地獄の世界が決定した。それでいて何らかの思惑でその力をエレンに託した。その日からエレンの復讐の日は始まった。
ヒストリアもレイス卿の身勝手で生まれた上で、母と名を奪われ孤独な日々が始まった。それが今になってレイス卿からエレンを喰って人類を導けと要求される。
どちらも本人の知らぬ所で運命が決まり、責任を押し付けられた。それが人類の命運にかかわる話なら拒絶なんて出来やしない。
特にエレンについては王家の血を引かない自分が巨人の力を持っていることで人類を救えず、更にヒストリアがエレンの目的である「この世から巨人を駆逐する」と言及する姿を眼の前にしてしまう。それはエレンが言うように「俺は要らなかったんだ」と諦めてしまうには充分すぎる現実。
同時にヒストリアはレイス卿から押し付けられた運命を「私の使命」と受け入れ、自らの手で注射針を腕に突き立てようとする。
その流れが変わったのはいつかのユミルの言葉であり、無抵抗で喰われようとしているエレンの姿。誰かから押し付けられる運命を良い子みたいに受け容れるなんてクリスタとして認められても、ヒストリアには認められない。
ここでエレンを喰わないのはどう考えても正しい選択ではない。けれど、ヒストリアは良い子みたいに誰かが求める自分になる道を拒んだ
鎖を解き、全部ぶっ壊してやると叫ぶヒストリアの姿はとても凛々しさに溢れている
ここまであまり主体性が見えてこなかった羊谷。彼はあそこまで紅華を想っていたんだねぇ
羊谷の兄が存在しない現実なら紅華の近くに自分の居場所を見つけられる。しかし、紅華が兄が存在する幸せな夢の世界に居るなら自分の居場所は無くなってしまう。それは世界の喪失と同義。だから世界の封印を積極的に進めようとするし、それに相応しい力も手に入ってしまう
宗矢は引き続きネガティブなまま。「封印されれば夢の中で幸せに暮らせるし、竜に殺されれば死んだ皆に会える」なんて呟いて部屋に閉じこもってしまう。羊谷と同じく世界を喪失した状態
戦うことを放棄した宗矢を突き動かしてくれるのはやっぱりのぞみの存在。彼女が言った「私は味方したい人の味方」は宗矢が龍造寺岳蔵に立ち向かう時に言い放った台詞と同じ。
その回ではのぞみが宗矢を受け入れ、街を守ってくれてありがとうと言ってくれた回。だから宗矢はその言葉を礎に「俺は味方したい人の味方」だと言い、竜から街を守った。
しかしその時は戦う燃料になっても、自分の町を失ったままの宗矢にとって自分の故郷でもない街を守るのは継続的な目的にはなり得ない
今回、以前の宗矢と同じセリフをのぞみが言い、眼の前で封印され動かなくなったのぞみ達を宗矢は目撃しまった。封印から逃れた宗矢からすればあの光景は擬似的な死だ。
宗矢からしたら再び大切なものを失いかねない状況であり、自分が何を守りたいかが明確になった瞬間でも有る。街とか平和とかそんな漠然としたものでなく、目の前にいる自分を守ろうとした人や助けてくれた人など、味方したい人達を守る味方になりたいと意思を固めた
自らの星は選択を間違え失われた。そんな宗矢が皆を助けたいと願い放った言葉だから幸せな夢の世界に落ちてしまった皆を引き上げることが出来たのだろうね
これまで戦闘の際はネビュラソルジャーと呼ばれて来た宗矢が仮面を脱ぎ捨て名乗り上げる。更に「帰る故郷が無いって現実が俺の居場所だ」と今の在り方を認めアイデンティティを確固たるものにした
ようやく主人公らしさを手に入れた宗矢が今後どのような戦いを見せるのか楽しみだ
そういやオリヴィアって最初は片言キャラを通してたんだっけ。華子と花純には早い段階でバレた嘘だったからすっかり忘れてたな
……まあ、それ以上に忘れられている設定は花純が罰ゲームのある遊びを嫌う設定とかだけど
個性の強いキャラが多い本作だけど、オリヴィア兄のインパクトはトップクラス。見た目や言動は昔懐かしいオタクキャラそのものなのに、目元だけは碧眼の超イケメン。そしてLINEでは丁寧な言葉遣いになり口説き文句まで。
それでいて「生中尊い」なんて問題発言を登場早々にこしらえてしまうのだから油断ならない人物である
Aパートは「One Room」と似た演出なのに受け取る印象は正反対。
やはり作品全体に漂う不穏な空気が違いすぎるのか
前回はさとうの生い立ちが説明され、今回はさとうが今の状態になる直前の話が描写された。と言ってもさとうとしおが出逢った瞬間の話はまだ描かれてないから、自分は満たされないと彷徨っていたさとうがどのようにして変化したのかは不明なまま
確かな事はさとうが元住人との触れ合いの中に何かしらを見出そうとしていた点か。
おそらく青年だろう相手にお礼すると提案しても性的なものを要求されなかったさとう。相手の欲望を受け容れることが愛だと叔母から教えられ、多くの男性と遊んできたさとうにとっては初めての関係性。自分から再びの訪問を約束し、報酬も要らないと言った。そして幼いしおを連れてきた際には「ここしか無いと思って」と元住人への確かな信頼を感じさせる言葉を放った。さとうにとって元住人との触れ合いが大きな意味を持とうとしていたことが察せられる。
しかし、元住人がさとうへの執着と独占欲を見せてしまったことで二人の関係はあっさり終了。結局は彼もこの作品に相応しい狂気を持った人間だったのだろうね
そして元住人を殺害したことでさとうの愛し方は振り切れてしまう。しおを連れてきた段階ではしおへの感情を理解していなかったのに、元住人を殺害した後にはその感情が何なのか判ったと主張する。
もし、ここでしおに出逢わずにこの住人と逢瀬を重ねていたら、元住民を殺害するような事態にならなかったら、さとうはどのような変化を見せたのだろうかと考えてしまう。
振り切れてしまったと言えばBパートで描かれた三星も。
夜間に飛び出してしまった自分や母からのメールを省みて、まともになるんだと決意する。だというのにOLに遭遇しトラウマが復活、しおの写真に縋り付いた事でまともになる意味が変わってしまう。更にさとうからしおの生靴下(!)を与えられたことでまともになる意志すら消え振り切れてしまう。
そんな危ういものばかり描かれた今回の話の中でしょうことあさひの触れ合いは心安らぐものだった。大切なものを守ろうとして何度も傷ついた二人が互いの頑張りを認め合い、傷を癒やす様子は尊いと思える
ただ、今のしょうこにとって勇気を取り戻すって非常に危険な道に繋がりかねないんだよなぁ……