初期設定はほぼ何もないに等しいのによくやっている。さざなみのような緩急がテンポ良く絶えることなく、じりじりと関係性が変化し、キャラクターがほんの少しだけ成長する。この独特のリズム感がきららアニメの一つの魅力であり、この作品もその例に漏れていない。そしてキャラクターがかわいい。昨今はつまらん現代人にアバターを被せたような、全く軸のない、キャラクターもどきが氾濫しているが、この作品はちゃんとキャラクターを描いていて好感が持てる。
舌を巻かずにはいられない。「抜きゲーをベースにしたうまいコメディ」くらいの印象だったのが180度変わった。抜きゲー的な世界観がマジョリティの暴力に対する風刺として極めて有効に機能している。これはマイノリティの苦しみと闘争という普遍的な主題を非常にエレガントに表現した作品だ。
尺の都合で話が詰め込まれているのも、通常は描写が雑だという評価になるのだろうが、むしろ密度があって良いと感じた。昨今は描写の丁寧さが重視されるあまり、物語的な密度のない、のっぺりとした、薄味の作品が多いので、特にそう感じるのだろう。