原作では物凄い熱量で書かれていた三巻にあたる部分の内容で、当時久しぶりにライトノベルを読んで声を上げて泣いてしまったという経緯があるので、めちゃめちゃハードルが上がった状態でガチガチに緊張しながら視聴した結果、号泣。
年齢制限という壁が刻一刻と迫り、周りの友人たちは次々と歩みを進め、自分は停滞して焦っているその間にも新たな才能が次々と現れる。しかしそういった様々なプレッシャーの中であっても、それが勝負に負けていい理由には決してなり得ない。将棋の世界は、輝かしい栄光の裏側には厳格な弱肉強食の世界が存在している。
清滝桂香は、なぜ自分はこんなにも苦しくて惨めな思いをしてまでも将棋を指すのか。という自問に対して、自分よりも遥かに上回る才能を持つ雛鶴あいとの対局を経て、「どうしようもなく将棋が大好きだから」という当たり前であるはずだった感情を再び思い出す。
才能を持たざる者がその道を目指すということに、理由は一つしかない。ただただどうしようもなく「好き」だからである。こういったテーマを扱う作品は少なくないが、本作品はそれをしっかりと描き切っている作品だと思う。
自分へと宛てた手紙の締めの、"二十才のわたしへ。わたしの夢はかないましたか?"という文章で顔がグチャグチャになった。