キービジュから『夏へのトンネル、さよならの出口』または『君は彼方』を想像したが、実態は『君の名は』に近かった。過去作を補助線にすると、序盤で先の展開が見え見えすぎる。
目を覚ました七緒に意味ありげに「西暦は?」と高津が問うシーンで、生まれた時代の違いを「どこよりも遠い」と言っているとわかり、実らない悲恋がオチになるであろうことが開始数分でわかってしまう。OP映像の便箋演出もかなり不自然な伏線で、お婆さんになった七緒がしたためる手紙が泣きどころなんだろうな、まで予想ついてしまい、あと100分以上どうやって集中を保つか困ってしまった。シュタゲの田村ゆかりじゃん。
ストーリーに言いたいことはいろいろあるが、まず何を伝えたい話なのかがうまく読み取れなかった。ひと夏の青春譚、というだけの消費でよかったのだろうか。
次いで構成も疑問で、2時間弱という尺に収めるには本筋が薄すぎて納得感がなく、その割に周辺の要素が多い。和希を取り巻く学校生活も、翼をくださいも、揚げシューも、高津の彫刻も、かなり深刻な性虐待も、この要素でなければ成立しないという強みが感じられなかった。
その割に、本筋の納得感に繋がる要素に欠ける。特になぜ七緒が帰る選択をしたのか、という点が特に印象に残っていて、現状から否定的に逃げ続けてきた自分を省みて新しく生き直すことに飛躍を感じてしまった。和希への想いを断ち切ってもう一度辛い現実と戦えるほどの勇気づけに、ふたりのひと夏は足るものだっただろうか?逃げるばかりの自分がかえって和希を危険に晒した罪悪感も、やはり飛躍があったと思う。
散りばめた周辺要素が次々に想像の斜め上の形で回収される怒涛の後半は、ギャグすぎて笑いを堪えるのに苦しかった。三島さんのサイコパス豹変も、叔父に危害を加えるために七緒が鎖を石で叩いたり学校から盗んだ薬品をかけたりする絵面も、なぜか鎖に腰掛けちゃう三島さんも、幹也の衝撃の過去も、校長の名前をまるで覚えてない高津も、余さず全部笑えた。もうちょっと絞ってもよかっただろ。
とは言いつつも、蓋を開ければ永瀬アンナさん演じる七緒が萌えヒロインすぎて中盤まではかなり楽しませてもらった。
映像はそこそこだった。でも長編映画のクオリティとしては見劣りするレベルで、TVシリーズの中の上くらいの印象。作画的にはピアノシーンのあたりだろうか。