本作は「女子高生四人が南極へ行く」と紹介される事が非常に多いし勿論間違っていない。主人公が女子高生である事に対し重きが置かれていない、一方で必要不可欠な設定であると思う。つまり本作は「日常系」「キャラ萌え」の要素を最小限に抑えた作品である(皆無とは言っていない)。ライトノベルより大衆小説に近い。とにかく絵はひっきりなしに動き、カットは小刻みに変わる。この素早さは快楽的ですらある。要するにテンポが素晴らしい。そして散々語り尽くされている通りの脚本の素晴らしさ。ランクが下の親友を見下しながら安心を得ている、その平穏が崩され自身も崩壊していくめぐっちゃん、これまで知る事のなかった友情という形のないものを形のあるものにしたい結月、息をするように名言を呟きながら、誰よりも大人に憧れる日向、史上最強に性格が悪いヒロイン・報瀬、そして何事にもアンテナを伸ばし、吸収し、みんなを導くコンパスの役割を担うキマリ…。各キャラが恐ろしい程に生き生きしている。そして彼女達が成長していく舞台に選ばれた南極は、「問題は2018年になると直のセカイ系は厳しいし、かといっていつまでも「終わりなき日常」に耐えるとかダルすぎる。その中で『宇宙よりも遠い場所』は南極=横=非日常を疑似セカイ的に描いている」という坂上秋成氏の指摘通り、まさに「宇宙よりも遠い場所」だった。最高最強のアニメーション。