個人的な日常アニメ論になるが、日常アニメというのは「中身がない」のが特徴だと思う。ストーリーに特別起伏はない。世界観が壮大でもない。現実世界や実写で実現・再現可能なもの。それが日常アニメのベースである。では、何が人を惹きつけるのか。
それは、中身を徹底的に抜いたベースにひとつまみ入っている「プラスアルファの魅力」だ。
例えば「ゆるキャン△」ならそれはキャンプ趣味のリアルな(体の)描写だし、「ご注文はうさぎですか?」ならキャラ萌えだろう。日常の尊さ云々ではなく、描くものを絞った引き算の美学が、オタクアニメという土壌で花開いた、それが日常アニメだ。
ではこの「お兄ちゃんはおしまい!」における「プラスアルファの魅力」とは何だろうか。1話見れば分かる。そう、アニメーションなのだ。
「映像を見る楽しさ」を「プラスアルファの魅力」として持ってきた点に、この作品の真価があると思う。
実際、見てて飽きない。映像が退屈しないよう作られているからだ。