まずはタチコマたちが生きていて良かったと思った。やっぱりめちゃくちゃ可愛い。しかしまた最終的に死んでしまった。ぐぬぬ。とても悲しいけれど、それがタチコマたちの選択であるならば受け入れるしかない(前作のことを考えるとまた復活しそうだけど)。公安九課のメンバーでタチコマ以外だとバトーが結構好きな方だが、「素子!」と叫ぶシーンだけは精神年齢が下がっているようで嫌な部分がある。人間味を見せる良さもあると思うが、バトーにはかっこいい男でいてほしい。
電脳世界の描写は前作より進化していた。前作では電脳空間での謎のレスバぐらいしかなかったが、今回はきちんと電脳空間での通信やハッキングが描かれている。タチコマたちの会議も可愛い。
メインである「個別の11人事件」について。まず英雄を演出する影のフィクサーである合田一人の格が高い。前作までの四課の敵は単なる個別の作戦レベルに留まっている印象を受けたのだが、合田一人は国家戦略のレベルにまで関わっていて、物語のスケールが大きくなっている。出島の独立国家化、米軍による核の使用といった国家の次元までを操り、個人の次元では亡命によって自らの生命を保障する。そうした格の高い敵をねじ伏せる爽快感はありつつも、クゼは討たれるという絶妙な苦さを残した終わり方も良い。最高の作品だった。