アンドロイドを総称して「アミクス」と呼ぶ世界。
ヒロインのエチカ・ヒエダは、「ユア・フォルマ」と呼ばれる脳に埋め込むタイプの情報端末を使い事件の捜査を行う、特別捜査官「捜査官」。
相棒のアミクスであるハロルドが傷害事件の容疑者として取り調べを受けるところから物語が始まる。
攻殻機動隊や、電脳コイル、サイコパス、ゼーガペイン、イヴの時間など、この手の作品は(真実は別としても)世界観が1話から分かりやすいものが多い印象がある。
この作品は、どういったメッセージなのだろうと見た時に、個人的な印象としては、設定よりも、社会性、心理寄りの印象を受けた。
あえて1話でこの辺りを予測して最終話まで見たときにカン違いがあれば、再解釈してみようと思うが、
そう考えた理由として主記憶装置の名称を「メモリ」と呼ぶなど、やや違和感のある表現ではあるものの、
より一般に馴染み深いものを選んでいる印象があり、随所にもそうした工夫を感じたためだ。
逆に気になった点としては、取調室の「ずっとここに居たのか」といった一幕で、
その質問に意味はあるのか、という点。
常にオンライン接続しているであろうアンドロイドにとって身体は単なるハードウェアであり、
別の場所の身体を動かすなども可能と考えられる。
だとすれば、取調室は完全に電波遮断されている前提なのだろうか、
でもヒエダにブラウンからビデオ通話がかかってきているな、
などが気になってしまったので、そうした細かいことは気にしない前提か、
あるいは、何らかの設定や意図によるものなのかもしれない。
別途、製造元スタッフへの調査シーンでは、
製造元の主張として「AIは、あくまでプログラミングにより人の感情を模倣しているものであり、世代に関係なく、製造元に予測不可能なアクションを起こすことはない」と否定をしているが、
調査官側が、「過去に製造モデルがホログラムに発砲した事例」について言及した際の製造元のアンサーとして、「改ざんによるシステムエラーによる可能性」という推測をしており、
エンジニア側は、仕様と運用上の不確実性を切り離した会話をしているのだが、
捜査官側は「それって要するに、あるってことじゃん」という主張をしていて、
この辺りの責任分界点の定義と攻防は逆に妙にリアルだな、と感じた。
テクノロジー的な演出としては、攻殻機動隊やターミネーターで馴染み深い首の裏の有線接続で電脳疎通を行うタイプの演出で、すっと入って来やすい。
ひとまずこのまま、続きも観ていきたい。