1クールでカンペキに構成されている作品。
単に見て楽しむも良し、比喩やメッセージ性を考察するも良しのタイトルで、1期ラストも純粋に内容のチカラで原作の購買欲を掻き立てるものだと感じた。
1期通した感想としては、このシナリオはその人のおかれる環境や生い立ちによって、
多角的な視点から見られるのではないかという印象を持った。
その1つとして、始終出てくる「バケモノ」という表現があるが、この作品におけるバケモノは必ずしも排除の対象ではない。
例えば特定の人物に親しい存在や、友人や親族が、中身だけ別の存在になったとして、
恐怖はあれど、同時に嫌悪、忌避の対象になるかは別だ。
デカルトの有名な「我思う、ゆえに我在り」という自己の根拠をめぐる命題があるが、
その人をその人たらしめるものとは何か。
佳紀が光を受け入れるに至るまでの葛藤にまつわる描写は、
佳紀の思春期的な側面もうまく描かれていたと思う。
加えて、同じ記憶を持った存在が未知の体験をした時の反応について、
実際に経験したのではないかと思わせられるような描写の解像度の高さに驚かされた。
2期の映像化も期待。