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リコたち三人のストーリーと並行して、黄金郷にある成れ果て村の成立が描かれる。
成れ果て村の第一印象は、色彩が明るくてポップなのに、臓物のようにグロテスク。これが成れ果て村の成立における伏線だった。成れ果て村の「価値」の仕組みは、普通に考えれば能力や技術にも価値があるという普遍的なことを言っているのだと思う。しかしリコの価値をやたら強調するマジカジャの説明に、私は児童ポルノを想起した。その次の回で、案の定リコが襲われるシーンがあり、期待を裏切らない作品だと感心した。
物語の中・終盤あたりは超展開についていけず、愛、絶望、使命、みたいな深くて哲学的な要素に思考がショートしてしまった。しかし最後に「さあ、一緒にアビスを冒険しよう!」というシンプルなこの物語の主題を描いているので、見やすく後味が良かった。
「温かい闇」という言葉がこの作品のテーマを端的に表している。アビスは深い闇であり死を超える絶望を与える場所ではあるが、リコにとっては母のぬくもり、ヴエコとイルミューイにとっては二人で生きることができる唯一の居場所、というように、彼女らにとっての温かさの象徴でもある。
アニメ化に際しての構成や作画はもちろん、配役も素敵だった。イルミューイ・ファプタの久野美咲さんは、リアルな子供の泣き声みたいな耳をつんざく絶叫が特徴だと思うのだが、この声と演技が世界観に合っていて作品に引き込まれた。
アニメの特徴として、強かな女の子の主人公と振り回される男の子というストーリーや、グニョグニョしたものが蠢くアニメーション、ゆがんだ性癖が垣間見れるのに割と大衆に受け入れられるという点に、宮崎駿作品っぽさを感じた。特に6話の呼び込みは、千と千尋の神隠しっぽい。
絵柄とグロ描写を調整すれば、さらに大ヒット作品になっていた気もするが、私はこの作品のすべてが大好きです。つくしあきひと先生は生きてこの作品を完結させてほしい。



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