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全体
良い
映像
良い
キャラクター
とても良い
ストーリー
とても良い
音楽
良い

焦げ付くような熱気と、まとわりつくような暴力の匂い。
この作品は、そんな世界の底で生きる人間たちを描いたガンアクションだ。

一見するとアウトローたちが粋な会話を交わしながらドンパチする、スタイリッシュな作品。
その雰囲気はどこかカウボーイビバップを思わせるカッコよさがある。
けれど見進めるほどに気づくのは、この作品の本質が“カッコよさ”ではなく、人間の価値観の衝突にあるということだ。

中心にいるのは、ロックとレヴィという真逆の人間。

人の想いや意味を大事にするロックと、
生きるために全てを割り切ってきたレヴィ。

同じように過去を背負っていながら、二人の見ている世界はあまりにも違う。

例えば遺物を巡るエピソード。
ロックはそこに込められた想いを尊重しようとするが、レヴィにとってはただの換金対象でしかない。
どちらも間違っていない。だからこそ、このすれ違いが妙にリアルで、少し苦しい。

でも、この物語で変わっていくのはロックではなく、むしろレヴィの方だ。

パトカーの中で、火を分け合うあのシーン。
あれはただの演出じゃない。
あの瞬間、レヴィはほんの少しだけ“誰かと繋がること”を受け入れたんだと思う。

そして物語が進むにつれて、この作品はどんどん重くなっていく。

双子編は、その象徴だった。
生きるために人を殺すしかなかった子供たち。
あれは「可哀想」で済ませていい話じゃない。むしろ、ああなるしかなかった現実を突きつけられている。

見ている側はロックのように救いを願いながら、どこかで分かっている。
この世界には、救いなんてほとんど存在しないということを。

だからこそ、あの結末にどこか“安堵”してしまう自分がいるのが怖い。

日本編もまた印象的だった。
正しさでは割り切れない選択、背負わざるを得ない立場。
ここで描かれていたのは、「人は本当に自由に選べるのか」という問いだったと思う。

ジャン=ポール・サルトルの言うように、人は選択する存在なのかもしれない。
でもこの作品を見ていると、その選択すら環境に縛られているように感じてしまう。

そんな中でロックという存在は、あまりにも異質だ。

銃を持たず、暴力に染まりきらず、それでもこの世界に居続ける。
彼の武器は知識と交渉、そして何よりも“良心”だ。

正直に言えば、この作品の世界では浮いている存在だと思う。
でも、だからこそ必要だった。

ロックがいるから、この物語はただの救いのないアウトロー譚で終わらない。

レヴィにとっても、そして視聴者にとっても、
「それでも人は変われるかもしれない」と思わせてくれる存在だった。

一方で、気になる点もある。

アクションは爽快だが、結末が“死”で終わることが多く、どうしても後味は重い。
また、洒落た会話も最初は魅力的だったが、続くと少し“作っている感”が気になった。

それでも、この作品が心に残る理由は明確だ。

これはただのガンアクションではない。
人は環境でどこまで変わるのか。
それでも、自分で何かを選ぶことはできるのか。

その問いを、暴力と現実の中で突きつけてくる物語だった。

そして何よりこんな世界でも、誰かと火を分け合うことはできるのかもしれないと、ほんの少しだけ思わせてくる作品だった。



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