26話も、2クール目の締めとしてかなり良い出来だったと思います。
特に印象的だったのは、ふぶきが「1位」に強く固執していた中で、主人公が優勝の証であるマントとティアラを譲渡するシーンです。普通に考えれば、これはそれまで積み重ねてきた“アイドルNo.1決定戦”そのものを否定しかねない描写です。競争の果てに得た象徴を手放してしまうわけですから、場合によっては茶番にも見えかねない。
ですが、この作品はそこで「順位」という客観的・数値的な価値観を、ファンが抱く“応援したい気持ち”という主観的な価値観へと転換してみせました。
主人公が語る「アイドルに1位とかいらない」という言葉は、単なる綺麗事ではなく、この作品が描こうとしてきたアイドル像そのものだったのだと思います。つまりアイドルとは、誰が一番優れているかを決める存在ではなく、「誰かにとって特別な存在になれるか」という職業である、ということです。
だからこの回は、勝敗を否定したのではなく、“競争の先にあるもの”を描いた回なんですよね。
ふぶきは、順位という分かりやすい評価に執着していました。けれど主人公は、そもそもアイドルという存在を「勝ち負け」で捉えていない。その価値観の違いが、このマントとティアラの譲渡という形に凝縮されていたように感じます。
また、放送時期を考えると、ここには当時のSMAP『世界に一つだけの花』的な価値観もかなり色濃く反映されているように思いました。「ナンバーワンよりオンリーワン」というメッセージが社会全体に浸透していた時代性もあり、この回の思想はかなり象徴的です。
そして何より、このシーンによって「月島きらり」というキャラクターの本質がはっきり見えたのが良かったですね。
彼女は、トップアイドルになるために戦う主人公ではなく、“人を笑顔にしたい”という感情を最後まで優先する主人公なんだと、改めて実感させられました。