・良かったところ
アクション、音楽、ミュージカルがすごく良かった。アクションはキレキレでしっかり動いてしっかり止まるし(ウマ娘で培った技術なのかな)、劇伴は重厚だし、うさぎとモモンガのラップ?ダンス?の演出は結構好みだった。基本的に変な画面が好き。あと「永遠の命」を単三電池で動く=生命から機械への転換として説明するのはわかりやすいし新鮮に感じられた。偶然、悲劇的にも永遠の命を得た、ということの描写として機械を取り入れる発想はありそうでなかったと思う(そんなことないか?)。定命の者とはもう根本的に違うという存在ということが視覚的に分かりやすいのも良い。
・気になったところ
完全に初見だったので『ちいかわ』世界に馴染めておらず、楽しみ方がちょっとよくわからなかった。可愛らしい絵柄で描かれながらも、ただ生きて生活する中でどうしようもなく発生する衝突や理不尽が差し挟まれるスタイルが受けているのかなと思っているのだが、その理不尽さだけが特色というわけではなさそうだ。たとえば、人魚を殴り殺す音は生々しく響くが、この場面を含め映画では血は一滴も流れない。島の原住民たちの強い悲しみや怒りは出てくるが、実際彼らが実際にセイレーンに復讐することはなく、また原住民が食べられる瞬間にはそこまでの悲壮感はない。さらに、最後にヒトハとフタハの二人の悲惨な末路を暗示するシーンは出てきたが、直接的に彼らの最期が描かれることはない。究極的な暴力までは描き切らずゆるいキャラクターデザインによって包容できる範囲に留められている。このバランスがこの作品の醍醐味なのかと思うのだが、残念ながら私には中途半端に感じられた。なぜこのお話をこの絵柄で描かなければいけないのかが不徹底に感じられ、どうしてもメインテーマ以外のアクのような作者の好み(キュートアグレッション・インターネット露悪ノリ)を強く感じてしまう。残念ならが私がこの二つをあまり楽しめる質ではなかったので、余計に邪魔くさく感じられた。ただこれは私がポケモンやクレヨンしんちゃんの映画みたいな、子供向けに理不尽の話を描いている作品をあまり知らないのが良くないからそういった作り方に慣れていないだけなのかもしれない。ただ、私にはアクの部分を減らしてもっと子供向けらしくするか、あるいはもっとアクを強くして作品を統一するかしたほうが良いと思った。
・その他
映画を見ただけの想像だけど、ちいかわ世界はほのぼのとしているものの社会の体制が脆弱であり、それゆえに物理世界の不条理さがダイレクトに襲いかかってくるんじゃないかと思った。彼ら個体ごとの能力の差異や種族間での物理的な力の差が統一的な支配を拒んでいる気がする。
あとナガノ先生脚本だけじゃなくて総作監までされてるんですね。どういうスキルセットなんだ。