バディダディ11話、一晩寝かせて改めて考えたら筋書き的には良かったのかもしれない。
この作品の良いところの一つは、旧来の形に縛られない家族観を(ファンタジーとして)展開しながら、子育てに必要なことであったり、苦労話が垣間見える面白さ。
一方でミリに目を向ければ、彼女自体は「輪るピングドラム」的に言えば、親の真っ当な愛情を受けてこなかった「運命」に選ばれなかった子供。(ここの母親の描写が中途半端だったのも上手く伝わらなかった理由だと思う)
ただ思えば、この母親の子を引き取りに戻ってきた動機も「死ぬ前になって大事なものに気づいた」という極めてエゴイスティックなものだったなと。(お前が死んだ後の子はどうなる?) これらを踏まえた上で、母親の死は一度育児放棄した者(関係することを諦めた者)に対する厳しい姿勢であり、それと同時に母-子という関係に縛られない別のかたちを提示したという解釈もできる。ただここは難しいところで、ミリが何を望んでいるかという問題もある。理想はミリに関わったもの全員が「関わり続ける」ことだが、それはあくまで理想の話。殺し屋側も母親側も元を辿れば、「まともな」関係ではない。
最初観た時に、ここ数話で変わろうとする母親の描写があったので、その母親を殺すなんてなんと報われないのだろう、と考えたが、そもそもそうした想定自体が何よりも「子供は血の繋がった『母親』に育てられるべき」という価値観に「私が」固執している証拠であった。
まとめると、筋書き自体は至って真っ当でリアリスティックであるが、殺し屋側の(血の繋がりのある母親を差し置いてまで)関わろうとする決意の描写が個人的にうまくいってないと思うという感想である。
12話が楽しみだ。