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全体
普通
映像
良い
キャラクター
普通
ストーリー
良くない
音楽
普通

まとめ方が雑で総集編映画としての出来は悪い。内容も「infected」「spread」からほとんど変化がなく、新鮮味に欠ける。
なんとかして90分に収めたかったのか原作で重要であった部分もバリバリカットしており、基本設定(キャラクターの設定や背景、WIXOSSというカードゲームは少女たちの間で「勝てば勝者の願いを叶える」と噂されていること、3度カードバトルに負ければ願いが「反転」することなど)の解説もおざなりだ。僕はアニメ版を見ていたからいいものの、アニメ未見者にはさっぱりな内容であることは予想に難くない。
ちより・文緒関連のエピソードはともかく、「繭」関連の話が数分のダイジェストで処理された時は思わず唖然とした。
とにかく、物語のキーポイントをガンガンすっ飛ばしているので、一つの話としてまとまりがなく、わかりにくい。泣かせたり、燃えさせたりしようとしているシーンにも、全く感情移入できない。
「カットしてまとめた」というよりは、「とにかく90分に収まるように刻んで、最低限物語の体を成すように雑に詰め込んだ」というのがしっくり来る。タイトルの「Destructed(破壊された、爆発した)」ってそういう意味だったのか?と思ってしまうくらいだ。
そのくせアニメの「カードバトルの描写は最低限」という特徴は受け継いでいるので、「ストーリーは諦めてバトルだけ楽しむ」という逃げ道もない。

新規パートは、アニメでは「敗者の定め」と言わんばかりに問答無用で消滅してしまったウリスが掘り下げられている。新規パートの出来は基本いいが、ここにも問題がある。
ウリス(in伊緒奈)は中盤で新キャラであるハナレとセレクターバトルするのだが、ここでハナレが幸であることに気づかないのはちょっと不自然。ハナレには十分幸の面影があるし、何より劇中で一衣はルリグ化したユヅキに気づいているのだ。ウリスだけハナレに気づかないのは不自然だ。せめて「ハナレに幸の面影を感じる」ぐらいの描写はあっても良かったはずだ。

ここからは「良かった探し」。
まず、新規パートの出来は前述のように安定しており、ウリスの背景が掘り下げられ、ラストで救済がなされたことは評価ポイント。るう子の原作であまり生かされなかった「かつて両親と不和があった」という伏線を拾って、冒頭の幼少期の幸との出会いに繋げたのは「そうきたか」と関心した。
また、エピローグのるう子と人間に戻ったタマとの再会、緑子・花代の元ルリグ同士の会話にもグッと来るものがあった。こういうのはアニメでもっとやって欲しかった部分で、このシーンだけは「劇場で見てよかったな」と思う。
あと、入場者特典でカードとミニ色紙がもらえたので「1800円まるまる無駄にした!」と思わずに済んだ。少し強引ではあるが「追加パートを900円で見て、ついでに900円でカードと色紙を買った」という逃道を心の中に作れた(笑)。

総合すると、「雑な総集編」これにつきる。
その内容から原作未見者には全くお勧めできないし、原作ファンも無理に見に行く必要はない。「追加パート(+劇場の視聴環境と特典カード)に1000円以上の鑑賞代を払えるか?」というのが大きな判断基準になるだろう。



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