第15話は、物語の裏側に隠されていた行舟愛理の切ない真相に深く切り込む、屈指のエピソードでした。
これまで賑やかで愛らしかった愛理という存在のルーツが、コールドスリープ状態で眠り続ける本物の少女「行舟愛理」にあったという衝撃。君島コウの策謀や病を避けるために眠りにつかざるを得なかった背景を知るほど、画面越しに見せていた彼女の無邪気な言動が急に切なさを帯びて胸に迫ってきます。
とりわけ心をつかまれたのが、AR空間の中だけで降り注ぐ「雪」の描写です。
南国の種子島という絶対に雪が降らないロケーションで、神代フラウが作った降雪プラグインによって再現されるホワイトクリスマス。現実の風景には何一つ存在しないのに、ポケコンの画面(居ル夫。)を通した視界の中だけにしんしんと降り積もる雪の描写は、美しくもどこか儚い虚構性を完璧に表現していました。
画面上の幻影だと分かっていても、愛理のために用意されたその優しい空間に、観ている側も一気に引き込まれます。最後におでこへキスを交わし、システムのアップデートによって静かに消えていくアイリの姿は、ARというテクノロジーを演出として最大限に活かした素晴らしい名シーンでした。
SF的な仕掛けや陰謀の恐ろしさを魅せつつも、一人の少女の願いに寄り添うドラマ性を丁寧に描き切った、非常に情緒あふれる一話です。