主人公・酒井戸の若々しい見た目と、津田健次郎さんの低音ボイスが醸し出す渋みとのギャップに一瞬で引き込まれます。その重厚な演技が作品のミステリアスな空気感と見事に噛み合っていました。
第1話として素晴らしい完成度です。冒頭から明らかな「違和感」を提示して引き込みつつ、世界観のルールや謎をテンポよく解消していくロジカルな展開が見事でした。
人の殺意を起点にする点は『PSYCHO-PASS サイコパス』に通じる部分もありますが、殺意を「イド」という空間でVR化し、直接捜査に介入するアイデアと演出が実に秀逸です。視覚的にも新しく、今後の展開への期待が膨らむ最高の導入でした。
主要キャラの再集結と新キャラの登場というワクワク感に満ちた最高の開幕です。オープニングであろう曲「fripSide - final phase」をエンディングに据える演出の格好よさや、一聴して本作とわかる象徴的なBGMの存在が胸を高鳴らせます。
魅力的なのは、超能力が科学的アプローチで描かれる点です。食蜂操祈の脳内水分を操る能力が、電気を介する御坂美琴には無力であるように、能力に理にかなったシステムや欠点が存在するため、視聴者も構造を理解して楽しめます。
前期ラストで怪我を負った白井黒子が入院中のスタートという不穏さを残しつつも、設定の説得力と洗練された演出が光る見事な第1話でした。
序盤からヒロインである栗田の振り回されっぷりが凄まじく、彼女の不憫な姿に可哀想だなと思わされつつも、同時にその健気な愛らしさが際立っています。
対する山岡の容赦ないデリカシーのなさは、一周まわって笑ってしまいます。しかし、そんな破天荒な変人に会社の命運を握る一大プロジェクトを任せてしまう大原社主の度胸と胆力も只者ではありません。それだけ「究極のメニュー」という途方もない構想に対する情熱と好奇心が強いことの裏返しとも言えるでしょう。
また、劇中で語られる「人間の手で強制的に作られたフォアグラよりも、自然の恵みである鮟肝(あんきも)の方が美味い」というアプローチにはハッとさせられます。一般的には高級食材の代名詞であるフォアグラに目が行きがちですが、食の本質や自然由来の味覚の凄みにスポットを当てる語り口は非常に刺激的です。
キャラクター同士の歪な噛み合いと、食に対する確固たる美学が炸裂しており、シリーズの幕開けとして申し分ない面白さを放っています。
第9話の過激な叱責やCTスキャンといった尖りきった言動を思うと、第129話における山岡士郎の変貌ぶりには驚かされます。あまりの角の取れようと呆けたようなコミカルさに「お前誰や!?」と思わず笑ってしまいました。
しかし、その見た目や態度の軟化とは裏腹に、作品の核である「食に偏見や無理解を抱く者に対し、料理そのものの真価でその目を覚まさせる」という構造はびくともしていません。傲慢な姿勢を叩き潰すのではなく、温かみのあるアプローチで相手の価値観を解きほぐしていくスタイルは、初期の鋭利な毒気が抜けたからこそ表現できる味わいです。
山岡のキャラクター性が親しみやすく変化しても、食を通じて人間関係や考え方を整えていく世界観がブレないからこそ、観ていて心地よい納得感が残ります。作品の持つ本質的な魅力を再確認できる一幕でした。