パリコレモデルを志望するヒロインの低身長を理由に周囲が
反対する、という本作の中核を成す設定について述べたい。
「低身長はモデルになれない」と思われがちであるが、
その理由を考えたことがあるひとはいるだろうか。
それは「ファッションモデルが、衣装やアクセサリーの
広告塔として扱われているから」である。それゆえに
「商品の見栄えを良くするには、モデルは長身が望ましいだろう」
という憶測に基づく、商業主義的な理由なのだ。
しかし、ジュニア向けのファッション誌が存在する以上、
この理屈は破綻している。
モデル事務所か出版社らしい面接で
千雪がすんなり受かったのは、そのことを示唆しているといえる。
(担当者が父親の人脈を利用しようと考えてのことである可能性もあるが)
パリコレはハードルが高いだろうが、モデルの道は可能だろうと思った。
(経験は積んでいるが人柄は難がある先輩というポジションの)綾野は
都村の家庭の生活水準を考慮せず、費用を惜しんだことを批判した。
コンクールの課題だから、精度が重要なのだろうが
商品化を目指すなら、コストは重要なファクターだろう。
綾野家のような、貴族然とした一族がファッション界に君臨しているなら
ユニクロのようにコスパ重視の業者の天下は、これからも続くのだろうなと思った。