ミズハの欠落に向き合い贖罪し見守っていく覚悟を見せる亡き母、それに対してミズハのまわりの人間関係は少し好転し、目を背けながら楽しく過ごす、その対照的な構図がグロテスク。
母の束縛がなくなって自由になったミズハ、そのおかげでちょっとした友情と恋が芽生えて…
「君のママ、きっと悲しむよ」 フシに指摘されるとミズハは露骨に不機嫌になった。
罪悪感の欠如を自覚したうえで逃避しているという不安定な精神状態だが、それを露呈させられるのは怖いという防衛反応に見える。
正直殺して良かったと思っているだろう。原因はわからないけど生き返ったし、家族仲も学校の人間関係も改善した。
ミズハは心が満たされていない。
学業や習い事では一番を取れても、本当に欲しい一番は取れていない。
フシには完全に脈なし、ハンナは自分を大切に思ってくれていないかもしれない。
ハンナが髪飾りをつけていなかったときに感じた焦り、フシが例の件について非難してきたときに感じた焦り、それらが攻撃的な形で現れる。
人間の執着と渇望の描写が生々しい。
今後、フシと母はどのように向き合っていくのだろうか?
ミズハと長年接してきて覚悟を決めている母に対して、フシは彼女の歪みと悪性を理解できていない様子。
フシはそもそも男でも女でもなく人間でもない。
「恋」という概念は客観的に認知しているものの、主観的には理解できていない。
ピュアな上位存在の彼が、いつかこういったドロドロとした闇を理解する日が来るのだろうか?