一話の感想でも書いたけど、さとちゃんの行動に正当性はなかったけれども、最後まで異常ではなかった。
心のビンを甘い幸福で満たしてくれる、しおちゃんという存在に出会って、しおちゃんへの愛を貫いたに過ぎない。
結果としては残忍な部分もあったけれども、しおちゃんとの二人の世界を守るという一点において、最初から最後までずっと変わらなかった。
そう考えだすと、むしろそれ以外の人物はみな自分中心的な発言と行動で、どこまでいっても二人の世界を邪魔する存在でしかなかったように思えてならない。偏った目線かもしれないけど。
母親の心境とか回想とかどんな背景があろうとも、しおちゃんにとってあの時に捨てられたという記憶は、しおちゃんの心のビンへのヒビ割れであり、修復しようがないんだよ。結局、あさひもしおちゃんの気持ちは考えていなかった。
総じて思うに、各人が自分にとっての幸せを満たそうと行動したけれども、その中心たるしおちゃんという存在に対して「愛を見つけた」のか、その先の「愛を育んだ」のかの違いが、さとうとそれ以外の差だったのかな。
「死ぬときは共犯者でいさせて」(10話)のしおちゃんのセリフ、あの時、確かにさとちゃんとしおちゃんは向き合った。あそこで明確に二人の間に愛が育まれたように私は思う。
物語の結末については、心の整理がつかないくらい、何も言葉にできない。
否定的な意味じゃなくて、本当にこれが幸せなのかどうか、私には分からないから。