0話から泣かされた……、かやのんの演技すごい
降ってきたシルフィ。そして、わけもわからないままに告げられる故郷の消滅は、シルフィーをたった一人何もないという孤独と頼れるものもない不安で覆っていた。
何よりも決定的だったのが、シルフィではなくフィッツとして名も姿も生まれ変わらなければならないことだったように思う。それは確かにアリエルによる配慮や庇護の結果ではあるが、その手から全てを失ってしまった今のシルフィにとっては、唯一縋ることのできる自分自身も失ってしまうことのように思えた。
でも、アリエルが自分を頼っても良いと言ってくれた。少なくともアリエル自身はフィッツを頼りにしているから、と。全てを失ってしまったシルフィにとって、その言葉は欠けてしまったものを埋めてくれるような安心感と自分自身の存在意義を与えてくれるものだったように思う。だから、鏡に映る白髪のフィッツになった自分を見て、シルフィが微笑むことができた姿は、その象徴として映った。
そして、さらにフィッツは一歩進む。アリエルを襲撃する暗殺者を返り討ちにしたことで、ここに居てもいいんだと、フィッツの中に確かな自分の存在意義を掴むことができた。アリエルの友だちとして彼女の力になりたいという決意の言葉は、まさにそんなフィッツの思いを表すようだった。そんな彼女の姿は、もういつまでも怯えてばかりのシルフィではなかった。それは、強く自信に満ちたフィッツという存在であり、その胸の内にルーデウスたちを探すという形でシルフィとしての根幹を携える新たな彼女となっていたように見えていた。