1クールと2クールを一気見したので、こっちにレビューします。原作は読んでません。
ここでの評価はほとんどが高評価ですが、ネットでは大絶賛の人か、全然受け付けない人に分かれていて、そこはなるほどという感じでした。
前世で失敗したおっさんがチート美少年に転生して失敗を繰り返すまいと奮起する点は1クールに引き続いて軸となっているものの、2クール目は右も左も分からない地でいろんな人たちと衝突や協力をしながら互いに成長し、信頼を得ていくストーリーなので、感情移入は2クール目の方ができるかも。
作画がめちゃくちゃ綺麗なのはもちろん、2クール目から増えたバトル描写も他作品とは違うというか、攻撃の重さとか緩急のメリハリなんかの見せ方が本当にうまい。エリスの俊敏さを活かした戦い方も、ルイジェルドのパワーと技術も、ちゃんと差別化されて描かれてるので釘付けになる。戦闘が少ないのが惜しいですが、人間ドラマに重きを置いてるのもこの作品の魅力。
オープニングをあえて作らず、毎回プロローグ的な演出をしていたのは新鮮で、毎回違う映像が見れて得した気分でした。原作未読でもギリギリついていけるテンポのいい脚本も絶妙でした。それでいて必要なシーンではちゃんと「間」も持たせる演出を入れる余裕もある。2クールで本当に良かった。
前世のヒキオタクズニート設定と、転生しても治らない変態っぷり、露骨というか作者の性癖が剥き出しのような性描写、パウロの正気を疑う貞操観念などで断念した人がいるのも分かるし、自分も正直そこは嫌悪感がありました。(自分が潔癖症なんだと認識を改めました)まぁ、ロキシーの自慰行為は演出的にもストーリー的にも特に意味はないので、なくても良いと思いましたが。ロキシーは2クール目で純粋な恋愛観を描かれてたりするので、かえってそれが違和感になってました。(純粋な人はそういうことしない!とかいう子供っぽい理由ではなく、あくまでも演出として必要なかったという話)
でも、主人公の設定は最終話まで見て一応腹落ちしました。性的描写についても、そういう汚い部分もひっくるめて人間を描いている作品なんだと解釈する必要があるんだと思います。それに、舞台が現代ほど倫理観の高くない中世で、性に対してオープンな欧米系の文化圏、さらに文化も怪しい異世界だと考えれば、実際はこんなもんかもね、とも思うし。もちろん、そういうのを受け付けない人も当然います。
最近は、なろう系テンプレだからダメ、という人が多いし、なろう系と聞くとそれだけで「またかよ」と思う気持ちはわかります。自分もなろう系が好きなわけじゃないです。でも、ちゃんと見てみれば面白い作品はあるし、この作品はなろう系に真正面から挑んで、良くも悪くも差別化できてる作品だと思います。
そういうバイアスをなるべく気にせず、あくまでも中立的に全体を通して観れば、割とよくできた作品だと思います。家族愛をメインのテーマに据えつつ、真面目でシリアスなストーリー(だと自分は思っている)。余計に感じる主人公の変態さ、幼稚さ、工口描写はあるものの、良い話、泣ける話も適度にあり、登場人物はみんな魅力的(主人公は除く)。劇伴の音楽も雰囲気に合ってるし、声優の演技も良い。
最終回まで見終わった正直な感想は、「全体的にはいい話だったし面白かったけど、無駄に多い工口シーンと変態描写のせいで全肯定できないのが惜しい」でした。特に22話で13歳のルーデウスと15歳のエリスがヤる話は、異世界とはいえ違和感。エリスはともかくルーデウスはこないだまで小学生だったし、中身も童貞なので。単に両思いになってチューするくらいじゃダメだったの?段階を踏まずに中学生がいきなり行くとこまで行く必要あった?というのが率直な感想。とはいえ、それを差し引いても、この1期は★4以上の評価をされるに相応しい作品です。それは変わらない。
いいと思った人、いいと思わなかった人、それぞれの感じ方、意見があって当然の作品なので、それを寛大なに認め合えばいいんじゃないでしょうか。そういうのもこの作品が伝えたかったことの1つだと思いますし。