令和のハウス世界名作劇場。
異世界転生モノではおそらく最も誠実で真面目で勉強になって、それでいてしっかり面白いアニメ。NHKでやっていいレベル。(NHKは一応褒め言葉)
本が好きだからって紙から作る発想になる主人公の行動力と情熱はなかなかの狂人っぷりで好感が持てる。文明レベルが未熟な世界で現代知識をフル活用する展開は珍しくないけど、付け焼き刃でなく割とちゃんとしてて、実用的なものが多い。
異世界転生モノでお約束のチート能力はあるものの、役に立つどころか逆に苦しめられる展開は意外に盲点(少なくとも当時は)で、「その手があったか!」と思った人も多そう。
自分の秘密を隠すどころか積極的にひけらかす迂闊さは見ているこっちが心配になるけど、周りの人たちに理解ある人が多くて全体的に優しい世界。だけど意地悪な悪人も適度に登場して、ハードな展開もそれなりにある点も名作劇場っぽくていい。でも派手さはないので、今どきのアニメファンには物足りなく感じる人は多そう。
作画は普通だけど、かえってそれがいい。内容が十分面白いのと、割とのんびりした日常系寄りの内容なので、綺麗にされすぎるとたぶんブレてしまうと思う。作画より別のところにリソースと予算を割くべきで、実際にそうしているクレバーな作品。
原作ファンとしてはマインの声がちょっとイメージと違ったけど、元が成人女性だということを考えると、幼さの中に大人っぽさがある井口裕香の起用は当たりかも。
客観的に見てもすごくいいアニメだと思うんだけど、教育テレビのアニメみたいで優等生すきるかもしれない。だからこそ見ていて心地よく、飽きがこない、永遠に見てられるタイプのアニメ。めちゃくちゃ好きです。