「でも、そんな方法は、何者かに頼って築く平安は、脆い。それが骨身に染みてわかりました。
この十数年続いた我が国の繁栄、それは、百鬼丸ただ一人の犠牲でもたらされたもの。
わたくしたちは、親に餌をもらう雛鳥のようなもの。
ただ口を開け、食らっていただけに過ぎませぬ。
自らの手で掴まなかったものは、守ることもまた出来ない。わたくしにはもう…我が子を止めることさえ出来ません」
「自分の手で…か。
おいらたちはいつも、武士や戦に色んなもん持っていかれちまってた。
でも、それで戦や侍に文句言ってたって、ダメなんだよ。結局武士に何とかしてもらうしかねえってことだもんな。
守りたいもんがあるなら、欲しいもんが…あるなら、アニキみたいに 自分の手で… 地べた這いつくばったって掴まなきゃいけねーんだ。
そのためには強くなんなきゃ。力をつけるんだ。自分が」