全体的にかなり良いのだが、どの観点でもとても良いにギリギリ届かないくらいの視聴感。イスラムの街を舞台とした衝撃的な導入は素晴らしく、主人公シタラの動機づけも十分ではあるのだが、モンゴルに連行された後は仕方ないとはいえ絵的にかなり退屈で、シタラ視点では煮えきらない展開が続く。シタラがモンゴルに溶け込んでいく部分では、そこまでモンゴルの文化が深く描かれるでもなく、やや間延びは感じた。ドレゲネの過去が描かれてからは政治劇が本格化し、ボラクチンとの対立軸が明確になって面白くはあるのだが、その中軸となる出来事が歴史と照らしても結構無理があると感じてしまう。政治劇のために歴史の隙間にねじ込んだという観点では頑張っていると思うのだが、別にこちらはこの時点でどうしても政治劇が見たいというわけでもないし…実際、ファーティマドレゲネ組が未熟すぎてこの時点でねじ込む必要はあったのだろうかという疑問がある。本来、この2人を主軸とした政治劇が本格化するのはもっと後だと思うのだが、そこまで伸ばすと物語が間延びするので、ここでファーティマとドレゲネに強い絆を結ばせ、ボラクチンとの対立構造を明確化し、オゴタイとの価値観の衝突も描きたいという作劇上の都合があったのだろう。それが違和感なく受け取れていれば文句は何もなかったのだが、私としては違和感が一定水準を超えていた。キャラクターの背後に繰糸が見えるだけでなく、歴史に対する不自然な改変にまで見えてしまうのがこの手のジャンルの難しいところ。
とはいえ十分面白いし、ここまででファーティマドレゲネは未熟な反逆者、ボラクチンオゴタイが思慮深く懐深い敵という構造は明確になって、次期以降でより面白くなりそうな気はしている。歴史を考慮するとそれも…までなので、どうするんだろうという思いもあるが…歴史題材の創作って難しい。