絞りがまだ全然だけど、視野の広さの片鱗を見せた葦人。絞って中央を固めるのは失点リスクが最も低くなるから。ディフェンス理論の基本中の基本。
ユースが高校よりメンタルが弱いというのはよく言われるけど、まあ、青森山田高校の試合とか見てると、組織的にメンタル強化してそうな雰囲気は感じるし、部員数多いし。阿久津は葦人にとっては燃料みたいなキャラだなと。何くそ!と闘争心を掻き立てる。
葦人にはトップ下もMFも無理。トップ下にはアジリティが必要、MFのボランチには相手プレスの激しい場所でタメを作れる足元の技術が必要。これらはユースから練習してどうにかなるものじゃない。正直、視野の広さだけならどのポジションでも活かせる。葦人の場合は、DFの司令塔が最も可能性のあるポジションになり得る。
左サイドバックが司令塔になるというのは最新のサッカー戦略で、マンチェスターシティのジンチェンコ(元MF)などの例がある。斜め後ろから全体を見渡せる視野の広さを活かして攻撃をビルドアップ、相手ゴール前へのロングパス、スペースへのサイドチェンジ、近距離のショートパス、前線での攻撃起点、など様々なオプションで攻守に渡って活躍できる。アジリティが低くてもパスとボールコントロールの技術を磨くことができる。
現在の司令塔の主流はDMF(守備的中盤)で数多くの名プレイヤー(遠藤保仁、柏木陽介、アンドレア・ピルロなど)がいる。昔はラモスや中田英寿、ベッカムなどOMF(攻撃的中盤、トップ下)の司令塔が主流だったけど、もっと昔はベッケンバウアーなどDFの司令塔もいた。そして今、最新のパターンとしてサイドバックの司令塔がトップクラブにちらほら出現、という状況。年々、陣形や戦術は多様化してきている。ゼロトップも珍しくなくなった。
この作品ではサッカーを広く本格的に見せるアイディアと知見が散りばめられていると思う。