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とても良い

足利尊氏も数奇な運命の下に生きた武将。初めから室町幕府を作ろうと思っていた節はなく、最初は後醍醐天皇に着いたが、建武の新政期に決裂して離反、北朝を擁立、郎党の離散も集合もありつつ、成り行きのようでここぞと言うときには武士団をまとめ上げ、リーダーシップを発揮した、不思議な魅力がある人物。南北朝が統一されたのは3代義満の時代なので、尊氏は最期まで武家の勢力を統合出来なかったが、太平記にあるように、後醍醐天皇に最後まで殉じた新田氏や楠木氏を追い詰めた傑物ではある。

小笠原貞宗がこの作品では悪人のように描かれているのは、北条時行と後々まで因縁があるからだろう。
貞宗は幾多の戦いで武功を上げ、武士の礼式である小笠原流礼法の中興の祖とされる。信濃の守護職となり、戦乱を生き抜いて年老いてからは所領を後継に譲り、京で隠居したとされる。諏訪氏と同様、小笠原氏も現代まで残る。

犬追物は鎌倉時代に関東武士の間で流行し、建武期には京にも持ち込まれた。建武二年に二条川原に掲示された落書には「弓も引きえぬ犬追物」とある。元は武士が弓馬術を養うための行事だが、京の周辺では紛い物の武士もどきが横行したため、質の低い犬追物や小傘駆けなどが催されたと考えられる。
この作品のこの回では、武勇名高い小笠原宗貞を参加させ、諏訪の公式行事なので、格式も質も相当高い犬追物が描写されている。

さて、若君の命運やいかに。



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