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全体
とても良い
映像
とても良い
キャラクター
とても良い
ストーリー
とても良い
音楽
とても良い

ネタバレが入りまくり!

これまで描いてきたシンジは親からの抑圧によって歪んだ子供でそこからは抜け出せていなかったように思う。あくまでも子供のまま
本作で遂にシンジは成長を果たし親からの抑圧を対話によって解決。自分だけでなく親のしてきたことの落とし前もつけた
「子が親にできるのは肩を叩くか殺すか」という劇中の言葉を借りると肩を叩いた形になる
シンジがそうして子供を脱したその結果として最後のシーンが描かれたのかなと思った
キラキラしていてらしくないなとも少し感じたけど、作品として一つの落とし所だと思う

Qまでのシンジは自明に保護者を求めていて、父のゲンドウは論外、母はおらずそのクローンたる綾波との関係は更に歪んだものだった
期待できそうだったミサトさんも保護者になれそうだったが結局なりきれなかった
子供をやむを得ず初号機に乗せなければいけない立場もあったし、破で「行きなさい!シンジ君!誰かのためじゃない、あなた自身の願いのために!」って言ったもののその後Qで冷たかったのも象徴的
それが本作ではトウジやらケンスケやらの友達が友達であると同時に保護者としての役割も果たし
ミサトさんも最終的には贖罪込でそうした役割に立った(その時のシンジはもう強くなっていたけど)

一方でゲンドウは結局子供のまま、他者や社会、そして自分の子をも恐れたまま大人になってしまった
(とはいえ最後にシンジと対話したことで成長したとは思うけど)
ゲンドウの大人になっても変わらなかった精神構造はエヴァアニメ放送当時から社会問題とされていたオタク的な若者のそれそのものであるように思えた
個人的にはあまりにリアリティのあるあの独白のシーンを見た時にエヴァは旧ガイナックスもといオタクたちが創り上げた作品だと痛感した
同時に自分がその当事者の捻くれたオタクとして、当事者として視聴できたことはある意味では喜ばしいことなのかも...
逆に映画館に彼女連れでくるようなキラキラした青春を謳歌してきた人には真には伝わらないのかも?僕は正直伝わっていないほうが嬉しい
こういうこと書いてないで僕も成長すべきなんだろうけど
なんなら成長して抜け出した立場(≒シンジ)として視聴できていればよかった

社会現象を起こしたアニメの終劇として役割を果たした良いアニメだった
僕としてはここまで書いたように歪んだ子供とかそういう点の成り行きを楽しんで見てきたけど、宗教的な設定をそこに絡めてSF的な重厚さを纏わせているのは外連味込みでやっぱり庵野監督はすごい

他、雑多な感想

・序盤はそれこそ3.11を受けての内容?書きたいものがストレートに伝わったし、そこまで違和感なく本筋に接続していた
・親子関係を暴力じゃなくて対話で決着をつけたのはそうあるべきだというメッセージ?でも暴力で解決するのも物語として収まりが悪いよね
・シンジゲンドウの戦闘において出てきたLCLが構築した世界の中での市街戦のカットについて、あれはエヴァとして最後にもう一回あのシーンを書きたかったのでは?と思った
 ミサトさんの家の中での戦闘はまさに親子喧嘩といったところ
・クレジットに第三村のモーションキャプチャへの記載があった。稲作シーンとかはキャプチャ→部分トレスみたいなことしてったんだろうな(新しい時代)
・アスカがシンジにレーション食べさせるカットの作画というかカメラワークはキレすぎ
・綾波(綾波じゃない)(やっぱり綾波)がやたらかわいい。人間性の獲得がよかった
・マリとアスカの戦闘は『トップをねらえ』がやりたかった?
・ヒカリがQの高圧的な態度の内に秘めた申し訳無さを噴き出させるかのようなシーンは好きだけど急に朝ドラみたいになってた
・クレジットに僕の地元の天浜線!
・途中原画出してきたのは何の意図?アニメの向こうに製作者が存在することの示唆?
 撮影スタジオ風のところからカオルや綾波を送りだしていったところ含めて演出された世界であるということ?いや後者は内省的なシーンであることの表現か



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