ウォーゲームの後だから生まれた、作家性の強すぎる作品。
初めて見たとき、まず『幼い頃テレビで見た、外国の気だるい映画みたいだ』と思いました。
確かにその感想は外れておらず、Wikipediaにもプロデューサー曰く目指したのはフランス映画だと語られています。
物語として見ると、『不慮の事故で離れ離れになっていたチョコモンが主人である男の子と再会するが、男の子は既に少年として成長しており、チョコモン自身も怪物と化していた』という筋になっております。
テーマもよく、ラストの一枚絵にはグッときました。
しかしこの作品の失敗点は子ども向け映画でありながら、子どもを無視しすぎた点でしょう。
感情を小道具で表現する演出は、大人が見ればなるほどと納得できます。
でも果たしてターゲット層の子どもが理解できるかというと、それは限りなく無理に近いでしょう。
前にネットで見た言葉ですが、子ども向けの作品で子どもだましを作るのは最悪の手です。
大人がおもしろいと思う作品を子どもがわかるように翻訳して作る、これが正しい子ども向け作品の作り方です。
しかしこの作品はその翻訳をおざなりにしたことで、子どもには分かりづらい作品になった――それがこの作品が失敗した最大の理由でしょう。
もう一つ言及すると、キャラの感情の運びがわかりづらいのも、この作品の欠点でしょう。
いきなりヒカリに『デジモンが泣いてる』なんて泣かれてもドン引きですし、主人公が泣くシーンもそれまでのキャラと違い過ぎてア然としました。
こういった感情の流れをもっと丁寧に描いてくれれば、より取っ付き安い映画になったと思います。
感情がわかりづらいせいで、終盤の展開に緊張感がないのも同じく問題。
ただ泣き叫べば緊張感が出るわけではない、ということです。
太一達の扱いをセリフだけで終わらせたり、主役デジモンの格好いいシーンがほとんどなかったり、BGMが感傷的過ぎてイマイチ盛り上がらなかったりと、不満点は他にもあります。
ただ作品のテーマ自体はとてもよかっただけに、とても惜しい作品でした。