「3つの自分の中にどれか一つ正解があると思っている。
その正解を見つけてその自分になるべきなんだ。」
誰かの仮面をつけたいと思っている。
誰かを見つけてその自分になるべきなんだ。
「様々な過去の自分の像の証拠を見つけて最後は答えとして恋人といることを選ぶ。
でもそれは今の主人公の意思ではない。」
お姉ちゃんの仮面が揺らいだ。だから何になれば良いのかを探している。
「昔の自分を基準に決めただけで今の彼女の選択じゃない。」
昔の誰かの影に隠れているしかなかった自分を基準に今も誰かの影に隠れなければいけないと思っている。
これは今の彼女の選択じゃない。
「舞台の幕が上がって下りるまでの間、観客が見てきたのは今の主人公。
記憶があったころの彼女ではない。
なのに過去を基準にして結末を導くんじゃ、
まるで今までの時間に意味がなかったみたいじゃないか。」
彼女に出会って今までの間、侑が見てきたのは今の彼女。
誰かの影に隠れていた頃の彼女じゃない。
なのに自分は誰かの影に隠れることを基準として何になれば良いかを探すんじゃ、
まるで今までの侑と彼女の時間に意味がなかったみたいじゃないか。
今の彼女自身を肯定し、好きになって欲しい。本人はそれを望んでいないとしても。
「劇の中で起きたことや得たことで主人公は答えを出さなければならない。
なのにこの主人公は過去の中から何かを選んでいるにすぎない。」
今の時間の中で彼女は答えを出さなければならない。
なのに彼女は過去の自分を基準にして自分を探しているにすぎない。
最後の侑のセリフにすべてが詰まっていたと思う。