話自体は特別奇をてらったものではなく、宝塚ものとして見れば比較的ありふれた内容だと思う。しかし、田端若菜の視点を通して物語の軸である伊吹桂子を捉える構成になっており、今回は明確に魅せる回だったため評価は高め。一方で、これまで何度も述べているように、本作はオムニバス形式で扱う題材を広げすぎている印象がある。テーマを3つ程度に絞り込み、最終的に太い一本の軸として伊吹桂子を描けていれば、作品全体の評価はかなり上がっていたのではないかと思うだけに、その点は惜しい。田端若菜についても在学中のエピソードはほとんど描かれておらず、伊吹桂子が恩師であるという関係性の説得力もやや弱くなってしまっている。そうした点を踏まえると、作品としては高評価には至らない。そこを想像だけで埋めるには少々難しさを感じた。