少々下ネタが多いかというくらいでほぼ全方向に質の高い名作。
バトルシーンはどれも気合の入ったものだが、特に第7話の冒頭は圧倒的な迫力がありかつ何が起こっているかは分かりやすく、またエリスの感情の乗った戦闘スタイルも明瞭に描かれており傑出している。これを神作画と呼ばずして何としようか、リミテッドアニメーションの神髄である。
キャラクターについても、特別手の込んだエピソードをやっていなくとも非常に豊かな芝居を付ける事でその魅力を引き出している様に思う。例えば第2話でロキシーがスペルド族の話をする場面でも、ただ話をするだけだが「ちっちゃくありません」と言った後に一旦改めてむくれてから話を戻す、髪を弄る所作、椅子越しに頭の上から圧を掛ける構図、といった部分で子供っぽくも教師の立場を意識した姿勢が現れているだろう。またエリスで言えば第5話の「大声を出さない」という約束を必死に守ろうとするところだとか、第6話でも贈り物については事前にお金の使い方の話をしているので思いやりを持って選んだ事が窺われる。思いっきり暴力女という印象だったエリスが剣術の腕を上げ、冒険好きという方向に発展していくのはギャップを使うのとはまた違った(オタク的には珍しい正道の?)キャラの深め方で面白い。
昔魔族との戦争があって~等と言うのはよくある設定だが、そこでのスペルド族の行いが警句を残したり今のルイジェルドを苦しめたり、とこの作品では地に足のついた歴史として織り込まれている。