主人公がいつも賢くて正しいのである意味無双系みたいな感じだが、そんなことより極めて言語的なのがこの作品の特質だと思う。私はこういう価値判断をするというのを各キャラクターがこの上なく明確に発言する。これほど思弁的なアニメはなかなか無い。
個人的には春埼美空の心理が最も印象深い。世界に目をやる共感的倫理の帰結とは必然的に春埼のようになると思われるからだ。
それにしても「二番目で納得してもらう」、これだ。誰にでも優しくてモテる主人公は必然的にこうなって破綻する。やはりヒロインとは主人公に都合が悪いくらいが丁度良いのではないか。
ちょっとED治療編で無になりすぎてしばらく置いていたが、終わってみるとちゃんと家族とかに向き合う話で良かった。パウロは死亡フラグ立ちすぎだったが。
しかしシルフィがあまり刺さらず、最初からロキシーと結婚すればよかったのにという気持ちが大きい。やっぱEDってのが、誤解と最初から示されていたので茶番感があったのも良くなかったかもしれない。
ま不満をどう書いたところでドラマも画も並のアニメでは太刀打ちできないので「とても良い」(とりあえず見ておけレベル)には変わりない。
単純にタコピーが絶望を知っていく描写も素晴らしいが、これは「寄り添い」の実践でもある。絶望の当事者にとって我々は、掛け値無しにタコピーと同じに見えていることを肝に銘じなければならない。「お話」はそこからしか始まらないのだから。