笑って感動できて、そしてとても心が温まる素晴らしい作品だった。おじいさんとおばあさんが金色のリンゴを食べたことで若返るというかなり独特な設定のもと始まった作品だったけど、じいさんとばあさん、そしてその息子や孫達との日常が楽しく、微笑ましく描かれてた。肉体が若返ったことにより周りの婆さん達からモテたり、体育祭で無双したりするじいさんや、同じく若返ったことにより昔の美貌でモテまくるばあさんとかギャクシーンも面白かったし、現代の発展した技術や文明に戸惑う様子も可愛かった。ギャクシーンだけでなく、何十年も共に生きてきた中で育まれてきたじいさんとばあさんの愛や信頼に感動するシーンもあった。また、この作品は若返りをテーマにしていて、それと関連して、老いることによって直面する病気や寿命に関する内容も描いていた。けど、それでも「老い」を否定的に描かず、歳を重ねたことによって得られたものや楽しさもしっかり扱われてた。基本的にはほのぼのコメディではあったけど、じいさんとばあさんを通じて、「若さ」と「老い」という対になる2つの要素について、若返ったからできたこと、歳を重ねたから得られたもの、それぞれが持つ唯一無二の価値についても学べる、深みのある作品だったと思う。また、じいさんとばあさんの孫である未乃とその友達の将太くんによるラブコメをこの作品の面白さの1つだった。最初の方は将太くんが意識している一方で未乃の方は普通の友達として接していたけど、じいさんばあさんの新婚旅行に2人で同行して一緒に過ごしたことをきっかけに未乃の方も少しずつ将太くんを意識するようになり、それ以降はラブコメっぽい場面と増えていった。2人を見守るじいさんばあさんも面白かったけど、未乃の将太のラブコメパートもドキドキして見てて楽しかった。最後に、この作品の結末はかなり踏み込んだ所まで描いたんじゃないかと思う。じいさんばあさんの夢に出てくる寿命を表す砂時計の描写から、じいさんばあさんが共に添い遂げてその命を終える所までを描くことはある程度は予想ができた。コメディ作品で、2人の最期までを描き切るのはかなり思い切ったと思う。けど2人の最期は本当に穏やかで優しくて、少し寂しさもあるけど温かいものだった。未乃と将太くんにりんご畑を任せ、家族や故郷の人達のことを考えながら、そして共に生きてこれたこと、これからも一緒にいることへの幸せを感じながら2人は眠ったんだと思う。じいさんとばあさんが互いのことを、そして家族や周りの人達のことも本当に大切にしている心優しい人物だったことは全話通じて描かれてきたし、2人もまた周りから慕われ、愛されていた。じいさんとばあさんは結婚する時も少し色々あったことは描かれたし、いろんなことがあった人生だったと思うけど、じいさんとばあさんはたくさんの愛を周りに与えて、与えられて幸せだっただろうなぁと思う。2人で一緒に、笑顔で迎えたその最期を描いたことには重要な意味がある。エピローグでは、結婚してじいさんばあさんとなった未乃と将太くんが金色のリンコを見つけた所で終わった。金色のリンゴは、じいさんばあさんが大切にリンゴ畑を守り育ててきたから実ったものだから、未乃と将太くんがじいさん達から任されてリンゴ畑を大切に守ってきたから、また金色のリンゴが現れたんだと思う。世代を超えて思いが繋がってることを感じられる終わり方だった。笑えるし心が温まる、そして深みのある素晴らしい作品だった。