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全体
良い
映像
良い
キャラクター
良い
ストーリー
良い
音楽
良い

 Youtubeのアニメ紹介動画で知った。紹介動画やAnnictでは評価の高いアニメであるようだが、特に最終話あたりでの違和感が強かったので、そのあたりを言語化しながら、この作品に改めて向き合ってみたい。

 ストーリーとしては、兵器たる妖精兵が、その短い一生を戦闘に費やすという話。戦闘で特殊な力を使うことで、前世の人格が記憶を侵食してくる。また、彼女たちは生命に対する感覚が人間と異なり、自分の命を大切にしよう、という考えがとても希薄である。このような特殊な設定があり、ストーリーを見ていくうえで大きな要素になってくる
 最終回、意識の混濁したクトリが、自分のわずかな記憶を犠牲にして、ヴィレムを助けようとする(なお、このときのシーンが第一話冒頭であり、改めて最初から見たくなるトリガーになっているんだろうと思う)。その戦闘結果は明示されていないものの、その後日談のような話が続く。クトリを偲んでいたり、生まれ変わりのような妖精が生まれていたりする様子から、クトリはその戦闘で亡くなったと考えるのが妥当だろう。
 簡単にまとめると、人間に対して感情をあまり持つことがない妖精兵が、様々なきっかけを通して淡い恋心を持ち、その関係性を「世界一幸せな女の子だ」と感じながら、好きな人のために戦い死んでいくお話である。

 この最後の部分、「本来持つはずのない感情を抱きつつ、幸せの中で死んでいく」といのが一番の山場だと思われるが、ここをどう解釈するかが、このアニメ作品(のみ)を見た時の評価の分かれ目だろう。
 コメントの多くはこの点がプラスに評価されていることが多いようだ。人魚姫のような王道のストーリーでわかりやすく、感動を呼び起こすのだろう。また、髪の毛の色が少しずつ赤く変化してく様子も、徐々に記憶や人格が失われつつあるということを明示していて、その点でも共感を呼びうるものだった。
 ただ、自分の場合はあまりその点積極的な評価ができなかった。これは自分の好みの問題だが、単純に「バッドエンドは好きじゃない」ということなのだろう。どんどん見進めていき、どこかで救いを求めていた。だから、さきほどあげた評価の分かれ目で、幸せの中で死んでいくことをネガティブに感じたんだろうと思う。そのためか、悲しい結末を大泣きしながら見てまず思ったことは、「いわゆるお涙頂戴ストーリーだな」だった。

 とはいえ、これまで大泣きしたアニメ作品を振り返り、同じような感覚を抱いたのかどうかを考えてみた。『あの花』は、特殊な設定を含み、エンディングもそこまで明るくないけれども、そこまでネガティブな印象を抱かなかった。一作品との比較だけで考えるのは必ずしも客観的ではないとは思うが、「女性の自己犠牲」が大きく引っかかるのではないか、という結論に落ち着いた。
 アニメを見ている範囲が広いわけではないので一般化するのは恐れ多いが、女性が犠牲になる作品って多いって感じて、その逆って少ないんじゃないか、というジェンダー論を想起してしまう、からだろうか。今まで見てきた作品で、こういう考えを抱いたことは何度もあったが、やはりこのアニメでもジェンダー的な視点から見てしまうのだろう。
 とはいえ、特にこのアニメでジェンダーバランスが悪いといった指摘をしたいわけではない。あくまで最終回の違和感を突き詰めて考えていくと、実はそう感じてしまった、というお話である。



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