ジャンプコミックス24巻収録分。
サービス回「破邪の洞窟」エピソードが、30年の沈黙をやぶって遂に地上波に。
破邪の洞窟編は言うまでもなく、「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」を元ネタとしたエピソード。連載当時、「シリーズの新作を早速ネタにするとはさすがだなw」と楽しませて頂いたことを思い出す。
以前の回の感想にも書いたけど、ダイ大は実は、言うほど「ドラクエ漫画」じゃない。自分がこう主張する根拠は、ダイ大の真に良いところはドラクエシリーズに由来しない部分にこそあるという点。企画色が強かった読み切りの頃ならともかく、最終的にダイ大は、ドラクエから独立したコンテンツになったというのが持論。ゲーム的な要素を再現することはありつつも、漫画的な表現を優先することの方がが多かった本作である。
そんな中にあってこの「破邪の洞窟」編だけは、ゲームそのままの様な遊び心に満ちたエピソード。
各階で呪文を契約できるシステムとか、制限時間とか、何より舞台が「ダンジョン」であるという設定。個々のネタで言えば、最初の敵はスライムとか、そのスライムを(グループ攻撃できる)鞭で一掃するとか、途中の宝箱や壺にはハズレが多いこととか。
今まで触れる機会のなかったかの様なドラクエあるあるが、ここぞとばかりに投入されているのが楽しい。
そして、ダイ大ガールズ4人パーティという、いかにも楽しげな探索も雰囲気によく合ってる。
「邪気を払うというカールの法衣」など、潜入するのが女性でなければいけない説明も一応なくはない。しかしそれも、ガールズパーティを実現する為の後付けと感じられ、これを踏まえてフローラの「女の子同士のピクニックじゃないのよ」という台詞には余計に吹き出してしまう。
今回の「とても良い」は、ダイ大ガールズたちに捧げる。だがこのエピソードの主役はレオナであり、その目的はガールズパーティという視聴者サービスばかりでなく、レオナへの掘り下げを行うこと。
レオナがパーティへの再合流を望んでいるのは、「(大魔王と)直接戦っていないあたしたちがどんなはげましを言っても、何の効果もない」という59話での台詞からもわかる。
レオナには「アバンの書」の教えから、あえて前線から退いて後方支援に徹した経緯がある。その行動は世界会議を通じて、諸国の王が勇者に協力することにもつながっている。とても大きな成果を挙げたのだから、離脱の結果「現場」のことがわからなくなってしまっていても、ある程度仕方のないことではあるのだけど。
彼女が何より自分を許せなかった本音は、常にダイの理解者でありたいと願っていたにも関わらず、ダイの戦意喪失に気付くことが出来なかったことなのかもしれない。彼女が現場に戻ることには、ダイの傍に居たいというだけでなく、もちろんこの戦いへの彼女自身の想いもある。
ポップやアバンストラッシュについて語るのは、次回に。