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全体
とても良い
映像
とても良い
キャラクター
とても良い
ストーリー
とても良い
音楽
とても良い

スタジオバインドということで前評判は高かったが、終わってみたらここ数年で一番と言っていいぐらいの神of神of神アニメだった。見終わった後の満足感がすさまじく、とんでもない作品に出会えたともう感動しかない。

学問をテーマにした作品でこれ以上完璧なものはあるだろうか?一人の女の子が鉱物に興味を持ち、好奇心のままに進み、取った記録から考察を進め、さらなる深みへ興味を持っていく。最初は、綺麗な色の宝石を見つけていたら喜んでいた瑠璃が、いまや宝石が見つからないことにも喜んでいる(6話)。瑠璃が鉱物研究を行う動機は前からずっと同じ、"綺麗な石が好き"というもの。でも、石の先にあるものにたどり着いたら、同じ石が前よりもっと綺麗に見えた。今以上にもっともっと石を綺麗に見るために、これからも石のことを知り続けていきたいとなる。この成長に涙がこぼれてきた。一人の女の子が研究者になるまでの過程をここまで見事に描けるかと。お金では買えない研究の価値を説くのに、ここまで素晴らしい作品は無い。

しかもそれだけでなく、研究の不安についての描写もすごく良くできている。「調べたつもりになるって一番怖いこと」。今までなんとも思わず勢いのまま研究に突き進んでいたのに、急に不安になってくるこの気持ち。自分も学会前に痛いほど経験しているから、否が応でも刺さってしまった。そのほかにも、大学で研究活動をしている人ならグサグサ刺さるような研究の辛さ、そして楽しさ。それらをここまで巧く内包できるのかと感心しました。全員楽しめる作品であるとは思うが、研究活動をしていた人には特に心に残る作品になるのではないかな。実際、だからこそ自分にここまで刺さったのだと感じる。

話の構成としても素晴らしくて、なぜここにこの石があるのかという疑問を視聴者にも考えさせてくれる。そして、その前までに出てきたいろいろな記録から、最後答えにたどり着く。このプロセスがしっかりしているから、視聴者も一緒に研究に参加している気分にもなれ、発見の爽快感をともに味わえる。だからこそ見ごたえがすごくある。
凪先輩のセリフもいちいち良くて、ワクワクを高めてくれる。鉱物学は全くの専門外で、何をしているのかさっぱり知らなかったけど、一つの石から地球規模で何が起こっているのかを読み取ることができるとこのアニメで初めて知った。山から川に落ちて海に流れる、それで終わりでなく、プレートに潜ったら溶岩となり、空に舞う。もしかしたら隕石にもなるかもしれない。何十億もの地球の歴史が一つの石に込められていると凪先輩が語る。こんなんワクワクしないわけがない。最高のモチベーターになっていた。
採取した鉱物や水から情報を集め、仮説を立て、次のプロセスに進む。これは紛れもない科学。研究の地道さと、その面白さ。緻密な実験記録をとること、そして、疑問を疑問のまま残さないことの大切さ。これは義務教育で扱うべき。理系教育アニメとしてあまりにも素晴らしいため、本当に文部科学省には検討してほしい。

ここまではセリフや話の構成力といった脚本面を褒めてきたけど、アニメーションの出来も完璧。7話の視聴後感はいまだに忘れられない。瑠璃と硝子のその後の様子を、特殊EDとともにカット絵で挟んでくれる。EDでここまで感動したのは、シュタゲ、少女終末旅行、まどマギ、ケムリクサ、それ以来かもしれない。ほかにも、12話がアニオリだと知ったときはもうびっくりした。制作会社ガチャSSRなんてレベルじゃない。
作画力に関してはもう言葉にするほうが野暮だと思うので語りません。静止画の美しさが極まっていた。京アニ、ユーフォ、それらと肩を並べる。

というわけで、最高級の脚本、最高級の構成、最高級のアニメーションが合わさり、とんでもない神作品になってしまいました。ニコ動のコメントでは、フェティシズムを感じるエロティック描写に興奮している人も多かったが、ここまで話が面白いと正直ノイズに感じた。高校生の時にやっていたら、将来の進路が変わっていたかもしれない。それぐらい心に残る作品になりました。全人類に見てほしいが、特に、研究活動にいそしんだ経験のある人、そして、まだ無限の可能性を秘めている学生にこそ絶対に見てほしい作品です。本当に素晴らしかった。

以上をもって、最大級の賛辞の言葉と代えさせていただきます。



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