原作を読み込んだ人間として書けることは書いていこうと思う。
映像美があり、百合要素が原作よりも多めにあり、音楽も申し分ない。
原作の小説の特徴であるタグを表現しようとしていたところは
十二分に評価することが出来ると思う。
ただ、省かれたエピソードとラストの展開には、思うところがある。
まず、ミァハとトァンの象徴的なエピソードの1つである、
ジャングルジムが描かれなかったことについて。
ハーモニーの世界の異常さを一発で表現できる
あのグニャグニャジャングルジムを出さなかったのは
ものすごく残念な気持ちになった。
原作を読んだ人はあのジャングルジムを見たいと思って
劇場版ハーモニーを観に行ったかもしれないのに。
そして、ラストの展開について。
あまりにも百合側に作品を倒しすぎたきらいがある。
原作ではディストピアSF作品らしくシステムによって
全てが変わってしまう寸前にトァンが
父やキアンの仇として本懐を遂げるエンドで、
非常にトァンにとって個人的で人間らしい選択をしている。
しかし、劇場アニメだとトァンが
クレイジーサイコレズになってしまい、
私は置いてけぼりになってしまった。
序盤のキアンのシーンで台詞の追加があったような気がするので
意図的な改変だったように思う。
さらに、劇場アニメではエンディング前のラストシーンの後に
原作ではトァンとミァハの2人のシーンがあるのだが、
個人的にはあのシーンが静かな雰囲気が最高で
重要なシーンでもあったのでカットされているのは残念だった。
どうしても原作ファンとしては手を加えるなら
原作を超えて欲しい欲求はあるのでこのような評価になってしまった。
見れる作品ではあるので、別物として観れば
もう少し評価を高くつけたと思うというのが本音だ。
P.S.
個人的には完全に枝葉の部分なのでカットも仕方ないと思うが
原作のヌァザのコーヒー討論会のシーンはなぜか好きなので
あのシーンの影も形もないのも至極残念だった。