子供たちのためにオートマタと戦った鳴海。自分がゾナハ病の子供を救うための薬で助かってしまった後ろめたさ、更には記憶を失ってしまった自分が何者であるかを再定義するために戦ったという印象が強く前に出ているような戦闘だった。そこにあるのは鳴海の優しさなんだろうね。人間ではなくなってしまった自分がどうにかして自分に出来る行為で子供たちを助けてやりたいという
だというのにその行為によって子供たちからは怖がられてしまう。図らずも自身が口にした「デーモンになる」が実現されてしまう。だとしたら鳴海は記憶が無くとも子供たちに優しかった鳴海のままでは居られない。仮面をつけて別の存在にならなくてはいけない
トムに抱きつかれた時、仮面によって表情は見えないが仮面は笑っているように、流れる血は涙のように見える。正にピエロの表情だ
鳴海はこうして仮面をつけることで子供たちの笑顔を求める存在から子供たちを怖がらせる存在に変貌してしまった
以前は相手が敵かどうかだけを見ていたしろがね。それは誰も信用する相手が居なかったからだろうけど、勝を守り鳴海によって助けられた今のしろがねには信用する相手が出来た。
今回襲撃してきたヴィルマはしろがねを友だちに成れると思っていたと言うが、しろがねは襲撃者であるヴィルマを見た際に驚きはなく敵としてしか見なかった。それはそもそも誰も信用していないから。だからヴィルマが気絶した後も再度の襲撃を警戒して殺そうとする
勝が助けた後も変わらずヴィルマをターゲットだと言い、勝は自分の全てだと言う。その自分が信用する人間以外を排除しようとする姿勢は人間らしさを感じさせないモンスターだ。でも勝が助けたヴィルマを殺さなかった面には、少しだけ人間らしさも見えてくる
対して勝はしろがねを止めた。勝はヴィルマがナイフを外した時点で信用できる部分のある人物だと見抜いたんだろうね。だから再度ナイフを外した時点で勝の中でヴィルマはもう敵ではなく、助けるべき対象に変わる
しろがねは誰も殺さないと信じ、敵も自分を殺さないと信じる勝の姿勢は優しさに満ちているように見えるがある意味人間離れして。
だから強くなるためにとしろがねの血を飲むなんて非人道的行為も行える
人知れず人間を辞めてしまった鳴海と勝の下で少しずつ人間に近づくしろがね。彼らが今後どのように変貌を遂げていくのか気になってしまう