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良い

2人だけの秘密として祖父と兄から始まったものが、時を超えて兄と妹のものになった構図が心温まる情景となっているね
秘密は隠されているから知らない者にはちんぷんかんぷん。勇の存在を知らなかった学友達には彼氏に見えたように
大切な人が持つ秘密をどうやって知るのか、明かすのかという点が優しさを伴って描かれていたように思えるよ

多軌にとって帰ってきた勇は秘密の塊。外食の理由も散歩の理由も判らない。おまけに相性が良くないと思っているから突っ込んで聞く事も出来ない
ここで多軌が夏目を頼る展開は良いね。夏目と多軌は妖が見える秘密を共有してる為か別の秘密へ迫る多岐の相方は夏目となる
そして多軌が夏目を「大事な友人」と言ったから勇も信頼のきっかけを得る

勇は2つの秘密を持っていたタイプかな
でも彼は体調と縁起石どちらの正体も知らないから多軌に明かせない。けど多岐に隠し事をしたいわけじゃないから、別の事情として鍵穴を教えて一緒に探し始める
この行動からは勇が多岐を大事に想っている事が見えてくる。だから秘密の正体が家族想いの証である点にすんなり納得できる

最初は祖父と兄だけの秘密。だから祖父との接触が減り、無くなれば秘密は継続できない。そこへ妹を想う気持ちが改めて伝わる事で思い遣りが籠もった秘密も蘇る構図は良いね
また、そのような秘密の遣り取りを通して、勇から夏目へと新たな秘密が言い渡されるのは茶目っ気溢れる可愛さを感じてしまったよ



良い

これまでが精神面で雪の普通を目指すEPだったなら、今回は見た目や好みでの普通を探る話と成ったのかな
家や街に溶け込み過ごす雪の日常は普通そのもの。でもやはりメイド服を着こなした女性なんて普通はお目にかけない訳で
なら雪は普通で無いのか?という点を描いていたね

李恋やグレイスが最初に選んだ服はアレだったけど、以降の服はお似合い
けれど既製品の服って上手く選ばないと個性は出ず無個性と成ってしまう。普通の服を似合うからと着ても、そこに雪らしさはない
だからか、彼女にとって最大の自分らしさであるナイフはどんな服でも手放せない

ゾンビに怯える雪は可愛らしいけど、ここにも暗殺者ならではが現れるね
映画は暗殺に格好の場、ゾンビは殺しても死なないから怖い。その感性は普通でないけれど、一方で雪らしさに溢れている
となれば、雪が目指すは無個性な普通さではなく、雪らしい普通さと言えるのかもしれない

雪が明かすメイド服の来歴には彼女の想いや人生が詰まっているね。もち太のタオルも同様。そこにアイデンティティが在る
ならメイド服を普通でないと定義するのでなく、雪が好むメイド服を着る普通の女の子を目指せば良い
暗殺者だけどメイドだけど普通を目指す雪の理想が見えた気がしたよ



普通

クルミより先にユズが古代魔法使うとは思わなかった、マジで思わなかった……
ただ、それは手帳を持たない者でも魔法を使える、魔法使いに成れる証。可能性は誰にでもあるからこそ、この局面で問題となるのはクルミ自身の心、彼女が自分の可能性を信じられるかという話になってくるのか

クルミは魔法を使えず、魔法使いに成れるとも思えていない。おまけにユズが魔法を使う姿を見てしまえば、より自分は魔法使いに不適格と悩んでしまう
今のクルミは自分で自分を狭めている
それだけに魔法使いとなった後から使命感が湧いたキョウは良いお手本かな。夢を信じたから可能性が付いて来るとも限らない

だからこそ、ユズが古代魔法を使ったシーンを再現するようなピンチは彼女の可能性を試すシーンとなった筈なんだけど、どうしてあんな展開に…?
クルミは自己実現できないまま。それでも手帳をユズが受け取らなかった事は彼女の夢がまだ終わらないと言えるかもしれないが…

あと、恋愛脳が酷くなるユズやアニクは何なの……



とても良い

前回にて雛が勝負の舞台に乗った印象があったけど、今回は千夏の勝負師な面が描かれた印象
千夏はインターハイへ行く為に他人の家に居候するなんて道を選んだ。その時点で彼女がどれだけ勝利に本気か判るというものだけど、今回は彼女が勝負に対してどれだけ強いこだわりを持っているかを確認できたよ

籠原からの低評価にチームメイトは怒りを見せるけど、千夏は落ち着いた表情。それは悔しいと思ってないわけじゃなく、彼女にとって勝負すべきはコート上だと判っているからあの場面では怒りを見せないという話
それは逆に彼女の負けず嫌い精神を示すね。相手が自分を敵でないと思うならその思い上がりをぶん殴ってやれば良い

その精神性は大喜に伝播するね
冒頭、針生へ願ったリベンジは負けて当然の扱いをされて却下。大喜は戦う舞台へ上がらせて貰えない
なら、お願いして再び戦わせるのではなく、相手との勝負で実力を示す事で再び戦いの舞台を整えるわけだ。そうすれば本気の針生との打ち合える
勝負に本気な千夏との同居によって大喜は良い影響を受けている

大喜は様々な勝負の果てに千夏に近付きたいと思う。それも一つの勝負師な一面
同様に頑張り始めた雛が皆の前で大喜にちょっかい掛ける場面は良かったし、それを見た千夏も雛と同様の行動を取るのは印象的
前回ラストでは「邪魔者?」なんて考えたのに、それでも羨ましい雛と同じ近づき方をした千夏とて見えない勝負をしているのだろうと感じられたよ



とても良い

この最終局面で描かれたのは道錬と神雲の友情。同じ村で育った2人は似た運命を辿ってもおかしくない筈だった。けれど己の武を極める中で見つけたものが2人は異なる故に道が分かれた
でも道を違えた事が2人が納得できる己の在り方を見つけられる終わりへと辿り着けたのだと思えたよ

道錬と同じように武を求めていた神雲が変わったのは武と関わり無い女性と出会ったから
神雲は平和や武を捨て己の人生を歩み出した。置いてかれた道錬は何の為に武を高めるのか、新たな人生を探し求めるしかない
そんな2人が同じタイミングで己の生き方を全くの別方向で定めるのは何とも運命的な話

道錬は神雲の人生を哀しいと思うから涙を流したが、武を極めたわけでもなく神雲に打ち勝つ強さもないから彼の生き方を否定できない。出来るのは彼が弱い己を否定するかのように捨てた雲蔵という名前にこだわり続ける事だけ
失わないよう力を求めた神雲。得られたままで居られるよう力を極めた道錬。2人の道は違うが故に相手にないものを生きる中で得られる

そうして決戦場で再会した二人が交わすのは拳だけでなく互いの生き方の総決算だね
大切な友を守る為の道錬の拳が届いた時に神雲が見せた涙。彼が妻を失い絶望した時には差し伸べられなかった拳がようやく神雲に涙を流させた
唯一最高の友だけが成し得る極みはとても心晴れ晴れとするものでしたよ



良い

本作にしては珍しい傾向の話が描かれたような
的場という存在が妖の力を安易に求めた果てに妖から襲われるようになった出自である為か、力の扱い方…というより力との付き合い方が主題と成った印象を受けたかな
妖が持つ力をどのように扱うか。それは日常的に妖と接する夏目や的場だからこそ問われる話かもしれない

禁術の人形は最たる例。力を求めるあまり禁術に手を出して、しかも逃がしてしまうなんて。道を誤っているという他ない
けれども的場を狙うあの妖や廃線の妖のように力強い者が存在する世であれば力に頼って己の安全を図りたいと思う者も居るかもしれない。でもそれは安易な考え方だから力によってしっぺ返しを食らう事だってある

的場を狙う妖は強大。けれど単純であるが故に利用方法が存在するというのは印象的
襲撃を避ける為には備えが必要。しかし、相手の力の範囲を熟知していれば他の強大な人形を退けられる
似たような事は廃線の妖相手でも行っているね。的場は力に狙われているからこそ力の使い方を知っている

だとしたら夏目の在り方は面白い
夏目が連れる斑は強大ながら利用関係ではなく友人関係に近い。なのに斑の力を自在に借りられる
それは力に悩む者にとって羨ましい在り方。逆にそのような夏目だから的場に心許せないのかも
妖に全く別の見方をしている二人の相容れなさを改めて感じたEPでしたよ



良い

暗殺者モードに近い雪を見て、恐怖より興奮を覚える人好ってヤバい奴なんじゃ…
という疑念は有りつつ戻った普通の日常はコメディ調が強い為かどこか普通じゃない。その代表がグレイスから新田になった事で学校に舞い戻った彼女の存在
でもグレイスの目的は最早暗殺でなく、趣味のような観察であるとはね。それだけ人好と雪の在り方は面白いという事か

グレイスの参入により変化したのは雪の表情
表情豊かとは言えなかった彼女は人好に出会って勝田ソースを味わい表情が増えた。けれど彼女の人間関係は人好や李恋だけで完結していた普通じゃないもの
彼女が普通の学校に溶け込もうとすれば自然と人間関係も広がる、人好に絡む女の姿も目に入る。それは人好が察したように雪に新たな普通を齎すものだね

日常に溶け込んでいく雪が洗濯を覚え、店の軒先に釘付けになる様はちょっとアレだが、それは昔の人好とも通じるもの
それは彼女が普通じゃない程に勝田ソースに入れ込んでいるから。でもそうした姿は却って普通の少女らしさも感じられる
これは人好と出会わなければ得られなかった感情だろうね
ところで勝田夫妻の声優が凄い人達だったんだけど、あれは一体……

普通に近づく雪を前に人好が気にするは雪の普通でない過去。だけど聞けやしないのは自分とて容易に話せない過去があるから
けど雪が話してくれたのは人好が自分の事を話していたから。相手が話した分だけ自分も話して良いと思える。それは互いに信頼と安心を覚えているからかな
つまり2人が手にした普通は温もりに満ちたものなのだと思えたよ



普通

強歩大会で皆を驚かせる成果を示し、テストでも普通科の多くが自分の夢を描けるようになった。その渦中で唯一夢に背を向けているのがクルミか…
魔法使いに成る以外の未来を夢描いてなかったから、辿り着けないかもとなれば進めなくなる。けれど普通科で最も魔法使いに近いのは彼女の筈で
ここがクルミの正念場かな

マ組に入れば魔法使いには手堅く成れるかと思いきやクラス落ちなんて有るのか
それは間接的に今の組分けが絶対でないと示すものになるのかな?クルミがマ組に入る可能性がまだ残されているように思えてしまう
そもそも普通科でも夢の書き換えは自由。特に魔法使いに成りたかったユズが別の道を探ろうとしているのは象徴的

普通科で新たな夢を模索するユズ、マ組から弾かれたアニク
それを踏まえればクルミにはまだ様々な可能性があると考えると、むしろ魔法使いを諦めると決めてしまう方が間違い
今の彼女が思い違いを治すには実際に魔法を使うのが一番だろうけど、そのきっかけを今回の魔素探索で手に出来るのだろうか?
と云うか、ミナミはいつになったら戻って来るの?



とても良い

理由の見えないショックに襲われた雛がまさか自分から声を掛けるなんて思わなかったな
今回はそんな雛の戦いや頑張りが描かれていた印象。自身が覚えたショックを単純に恋愛感情と結びつけはしないが、受け止めきれない衝撃と折り合いも付けられなかった
だからこそ原因である大喜と話す事で復調できたのだろうな

ショックから逃げずに向き合った彼女が知ったのは大喜と千夏が同居している事実。けど、雛は理解を示すね。その姿は普段通り
でも無用な想像まで膨らませ表情が沈む姿は普段と異なるもの。彼女の不調は現われ始める
一度生じた不調は連鎖する。ミサンガに気付き、千夏の視線を恐れ…
彼女は新体操選手として期待されているけど普通の高校生。あまりに多くの不調が舞い込めば押し潰されてしまう

だからこそバカ真っ直ぐな大喜が彼女を立たせてくれるわけだ
雛が気にしている事を全然気にしてない大喜の言葉は雛を却って落ち着かせるもの
気付きたくないけど、気付いてしまった想いに対して雛はどうするかといえば、やはり戦う道を選んだのか
大喜に「頑張れ」と言われた際に彼女が覚えたであろう気持ち良いショックはきっと戦意に通じるもの

立て直した雛があっという間にトロフィーを手にするのは彼女が生来持つ強さが見えるね。戦う意志を固めた彼女は新体操だけでなく、大喜を巡る千夏との戦いも遠慮しないのだろうと感じさせる
一方でそうした状況を察しつつもバスケの為に引かない覚悟を固めた千夏の姿も強い印象を覚える
これからアカとアオの戦いがどうなっていくのか見ものですよ



とても良い

当初は力有る者から虐げられない為に力有る武士に成ろうとしていた真介が武の力ではなく相手を思い遣る力によって灼岩を助け出す構図が本当に美しくて感無量
彼の長く果てが見えなかった旅はこの時の為に有ったのだと迷いなく確信できる回でしたよ……

幽界にて虐げられる芍薬、断怪衆の坊主に縛られる火岩
両者から同様に感じ取れる生きる苦しみ、身を苛む鎖。本来は一度乗り越えた筈の罪に再び苛まれたのは一心同体である筈の2人が分け隔てられたから
一人だけじゃ一人前と言えなくなった二人は灼岩として二魂一身となる事で初めて苦を乗り越えられる

でもやはり自分だけじゃ灼岩には戻れない。その為に必要だったのは真介のような居場所となってくれる優しい人だったのかもしれない
灼岩が守った双子が母親と一緒に明るく育っている様に、抱き留めてくれる者が居れば苦しみが続く世の中でも灼岩は幸福を掴める
芍薬には火岩が、火岩には芍薬が必要で。灼岩には真介が、真介には灼岩が必要だったのだろうとそう感じられたよ

灼岩の話から温度差が有り過ぎる千夜のパートを挟んで始まるのは活躍の機会が奪われていた者達の反撃
月湖もムドも蚊帳の外に置かれていたのが間違いかのような素晴らしい戦いぶり。でも蚊帳の外にいたのはもう一人いて
彼こそが無の民の切り札、強者の出現により一変する戦場がどのように描写されるか楽しみで仕方ないよ



良い

前回の古本屋とはまた違った形の探し物。探している時は見つからなくて、探してない時に見つかる
滅多に見られないからこその吉兆。けれど夏目がちょびに渡す櫛の素材に相応しいと思ったのは別の掛け替えのない理由からであり、それがちょびの受け取る理由になっていたのは良いね

最初に見かけた時は珍しさ、ニャンコ先生と見られれば良いな程度の好奇心
探す理由が変わるのはちょびの探し物を知ってから。夏目は龍を珍しいからではなく美しいから探し始める。それは代替が効く理由ではないね
ちょびが新たな櫛を探すのも同様。櫛なら何でも良いのではなく、美しさを見出せつつ長く愛せる物を探している。そのような代替品が見つからないから彼を悩ませる

夏目が友人の為に動き出すのはいつもの流れだけど、そんな彼に妖達が協力するのは彼の人徳の為せる業。また、この状況はちょびの人徳も示している
人徳は一朝一夕で手に入るものではないから、その人の持つ価値を代替するもの。だから夏目の前にばかり龍が現れるのは、彼が龍と出会うに相応しいから
ちょびは知らずして友人の探し物を応援していたわけだ

苦心の果てに手にした鱗、オチとしてはちょびの捨てた物だから彼が探していた愛せる物ではない筈。けれど、友人達が探し求めた鱗は美しさを超越した尊さを備えた
捨て物を大事にしたくなる精神、そこに籠められた友への想いに温かい気持ちになると同時に、友人達が捧げた櫛によって龍の美しさが顕現する良い回でしたよ



普通

雪が幾つもの温もりを手にした日常や普通をぶち壊すグレイスの存在。この状況に相対するのが雪だけであれば彼女は難なくやり過ごせる
でも守るべき日常の象徴が居ると思うようにいかなくなる。一方で守るべきものが有る状況は雪にとって何を意味するのかという点が描かれた回となったかな

グレイスという脅威が現れても眼の前に居なければ添い寝シーンに代表されるように雪は様々な表情を見せる。暗殺者の存在がすぐに雪を暗殺者に戻すわけじゃない
彼女が暗殺者の顔に戻るのは人好の身に危険が迫ったから。彼女は殺す為ではなく守る為に暗殺者に戻された訳だ

そんな雪を見た筈の人好は何処か呑気というか普段通りだね
グレイスが普通じゃないと評すけど、むしろ人好の場合は普通が過ぎる普通なのか、グレイスに理解できない人柄を醸し出す。つまり今の暗殺者らしからぬ雪を形成するのに一役も二役も買っていると言える
だからグレイスは何故雪が人好を取り戻そうとするかを理解できない

暗殺者の顔に戻った雪だけど、見せる行為は暗殺ではなく救援。グレイスを殺すより人好を助ける為の技を使う
そんな贅沢な遣り口は雪の人柄を示し、そうまでされて助け出される人好の価値もしめすもの
全てを殺すのではなく、全てを欲す彼女が取り戻した彼の尊さを改めて感じられたEPでしたよ



良くない

なんて酷いイベントなんだ……
さておき、マ組と普通科で埋めようのない格差が横たわる強歩大会。普通科が普通にやっても勝てやしない。だから普通科にしかない強みで戦うしか無い
ミナミが突然去った環境で誰がクラスを団結させるのか。それが見える話となったかな

担任も居ないし勝機も無いしやる気もない。その状況で彼らを突き動かしたのはユズが掲げたマ組に負けたくないという対抗心か
マ組は魔法を使えるけど、普通科だって普通科にしか無い特技が有る。そうして一人一人が諦めない事で掴んだ勝利は奇跡的ながら貴重な体験となったようで
ただ、肝心の魔法使いになるという点が進展せず、ミナミが居ない状況でクルミは魔法使いへの夢を諦めずに居られるのだろうかと疑問を覚えてしまうな



とても良い

優しくて可愛くてスポーツ上手くて、応援してくれて同じ家に住む千夏は大喜にとって甘い罪かのように知らずして大喜を誘惑する危うい存在
けれど彼女に惑わされずバドに打ち込む姿は大喜の誠実さを示している。一方でそんな姿は千夏にとって罪な姿と映っていそうな点は面白い
そして関係性を深める二人を見る雛が遂に……!

勝ったご褒美に水族館デートなんて多感な男子高校生にとって誘惑が多すぎるというもの。期待してしまうし期待を振り払うのも一苦労。おまけに相手が願った姿で来てくれた上に楽しそうに過ごしてくれるなら尚更
けれど、そこで千夏が口にしたのは意外な言葉だったね。あの謝罪は彼女が己の罪を認め、許して貰う為の言葉

千夏は大喜と同じ家に住まう中で幾つもの遠慮や申し訳なさを抱いている。だから大喜はそれすらも許す為に彼女に踏み込む必要があったわけだ
大喜と千夏の間でだけ通じる秘密のスタンプ。それは大喜の優しさを象徴し、きっと千夏にとって罪のような甘い優しさと感じ取れたのかもしれないね

そしてここまで力を溜めに溜めてきた雛のターンですよ!
デートの件を聞いた後に見せた表情や、ニヤける大喜を前にしたモヤモヤ等から彼女に芽吹きつつある想いについては想像可能。それはきっと他人から見ても充分に感じ取れるもの
雛としては大喜の優しさを自慢する為に話した過去話だけれど、千夏はむしろ雛の姿から別の感情を見たのだろうね

千夏には見えるが雛には見えないその感情。千夏が敢えて追求しなかったように見ないフリをしてしまえば、それは何も成らなかった筈。けれど雛は見てしまうわけだ。千夏がどこへ帰ったのか、大喜がどのように迎え入れたか
気付かなかった想いは罪だったのか、気付いたから想いは罪となるのか
やはり三角関係はこうでなくちゃという展開に罪なワクワクが止まらないよ



とても良い

私はこの回を見る為に『戦国妖狐』を好きで居続けたのかもしれないと思える程に満足感を得られる回でしたよ
人か闇か曖昧な己を生きて、時には人間と認められ時には化け物と恐れられ。多くの迷いを内包する千夜が辿り着いた境地は作品のテーマ性を表したものであるように思えるだけにこの感動はひとしお

人や闇が共存する世界である為に登場人物は己が何者かを問い続けてきた
道錬は霊力も無いのに神雲に勝つ為に化け物のような姿まで登り詰めた。断怪衆の僧侶達は戦線に加勢する為に何か変な兵器まで持ち出した
他の者達もこの決戦場に辿り着く為に己を高め続けた
それらは己の在り方を突き詰めた究極の姿

千夜は己が何者であるかを問い続け、時には多くの人から差し伸べられた手によって救われてきた
救われた彼だからこそ命すら危うい戦場で多くの命を救おうとする。でも、対象の闇達は彼に害意を向ける
戦っているのか救っているのか曖昧な戦場にて血を流しつつ、笑う彼はもはや戦鬼の如き

でも衆生を救うのは鬼ではなく仏のような存在となる筈で
千夜の本願を体現する在り方は彼の究極の姿であり、この作品が辿り着いた境地だね
一方でそれは千夜一人だけが無理をしている姿である事に変わりはない。だから千夜へと必死に手を差し伸べようとする者がいるのもまた良い展開

あれだけ力を求めたムドが猩々の酒という力で計れない物に敵わないと無力な彼等を助けようとする光景は目頭が熱くなるもの
彼とて自身の在り方の究極系に辿り着いたと判る

そして間違った在り方へ行き着いてしまった灼岩に手を差し伸べるのはやはりかつての仲間であるべきで
復讐を遂げる為ではなく、仲間を救う為に戦場へ戻った真介の涙にこちらまで涙ぐんでしまったよ…



良い

古本屋という旧きモノに出会える場所は北本にとって昔の思い出を探る場所になったようで
曖昧な話だから探し物へは簡単に辿り着けない。それは他者に対する心も同様。だから夏目は珍しく北本が話してくれた昔話を大事に思うし、彼が少しでも関わった場所を守ろうとしたのかな

夏目にとって通り掛かっただけで危険に自ら近づく理由もない。でも、北本がそこで家族の思い出を探そうとしていて、店を必死に守るカエダがいるなら関わる動機になる
また、悪鬼探しは別のものを見つけさせる工程となるね。ぶっきらぼうなカエダは北本の純朴さを尊く思っている様子が感じられる
夏目が危険に関わるように、カエダにも危険に関わる理由があると判る

悪鬼から店を守ったカエダが次に守ろうとしたのは北本の優しさかな
彼女が本を読めたのかは判らない。けれど、目を通そうとしたのは確かな話で
見つかるかは判らないけれど、探そうとする事が一番大事。受け渡した本によって互いの想いを少しだけ探し当てられた北本とカエダの交流には静かな温かさを感じてしまったよ



良い

自宅に居る筈のメイドがクラスメイトとしてやってきた!⋯とかサプライズ要素としては満点だけど、それは人好を驚かせたいと云うより雪が普通の生活に憧れた結果
なのだけれど、肝心の雪が普通を名乗るのがどう見ても難しそうなのはどうなんだろうね(笑)
ただ、傍に人好が居ればまあまあ穏やかな学校生活は過ごせるのかな

早くも雪の普通じゃなさが披露されたパン買い競争。普通なら出遅れたから買うのは無理となるものを大胆なショートカットをして悠々と購入するのは飛び抜けている
むしろ折角の美味しいパンだからと一緒に食べる選択をした雪にとっては、普通に買うよりも人好と普通に食べるという点の方が重要なイベントとなったような

従者としてのメイドではなく共に居る人としてメイドを求めたなら、当然夢想してしまうのは家族になった姿
その点について李恋の方が進んでいるのは納得。ただ、人好が感じているように李恋との接触により普通への憧れを強くする雪の姿が良いのはその通りで
その意味では単純に人好と雪が結婚すれば良いという話ではなく、あの3人が一緒に居られる空間が作られれば良いなと感じてしまう

ひと目見てヤベェと判る保健医ってそりゃヤバいんだけど、それはそれで魅力的⋯
さておき、新田は様々な面で人好の脅威になる人物。人好を誘惑した点も暗殺者だという点も
これは雪が担う領域なんだけど、学校にそのような人物が居ると雪が目指す普通が脅かされているとも受け取れて
新田の排除に務める行為は果たして雪に普通を齎すものになるのだろうかと懸念⋯



普通


普通

魔法使いになろうとしたら普通科に入れられて授業中はお絵描きしてた前々回も凄かったけど、自然に戻るとのテーマで芋煮会をする今回も凄いな
求められるはシステム化された機械的な魔法ではなく、自然に活きる魔法。ミナミが現代魔術と対立しているとの背景が明かされた事でクルミ達に何を求めているかが少し見えてきた気がするよ

マ組が使う手帳魔法は便利だけど、確かにどのような仕組みで魔法を使っているかは曖昧。それは現代文明を生きる私達にも突き刺さる部分があるね
ただ、そうなると魔法陣ではなく地道な遣り方で火熾しをしたユズ達の遣り方も方向性としては間違いではない気もするけど⋯
それだけに古代魔法にこだわるミナミの思惑が気になってくるところ

気になると言えば、クルミの祖母も古代魔法に精通しているらしき点も。その意味では忘れ去られていても古代魔法の叡智は現代に活きていると言える。ミナミがそれでも目指すのは古代魔法使いそのものの復活?
教師の方針によって子供の未来は様変わりする。それだけにミナミの意図は気になるし、ここで離脱する意味も判らない。クルミ達の普通なのか可怪しいのか曖昧な学園生活はどうなるのだろうね



とても良い

当初の緊張感は何処へやら大喜は千夏との共同生活に慣れてきたようで。それは気の緩みとなりジャージの取り違いも発生してしまうと
そんな状態だから千夏に男として見られていないとか、大会を前にした際に過度な緊張に襲われるとかまともな対応が出来ない
その意味で大喜は時間の使い方が未熟なのかもしれない

そんな大喜に適度なリラックスや緊張感を齎すのは千夏となるわけだ
屋上で千夏の笑顔に出会って落ち着いて、着替えを前に緊張して
百会を押して貰いリラックスして、再来年との言葉にやる気を取り戻して
やはり大喜にとって千夏はモチベーションと成り得る存在。だからこそ、彼の次なる課題は千夏を理由にやって来るのだろうね

針生相手の勘違いと違い、自分より凄そうではないけれど同じく千夏狙いな岸は今の大喜を試す良いベンチマーク
その戦いを前に千夏へ自身のモチベーションを宣言できたなら、彼から余計な緩みは消えていく
逆にそんな大喜の姿勢が千夏にとってもモチベーションとなるなら、二人の間には良い相性が有ると言えるのだろうね

試合では時間を使う事によって相手からモチベーションを奪う戦術。短い間に大喜は成長したのだと判るね
だから彼には更なるモチベーションの為に褒美が必要となる
ここで千夏にとって岸が連絡先を知るのに比べたら、嫌な要求とならなそうな感じが割りと大喜に対して脈アリじゃないかと想像させてしまうが、果たして試合の結果や水族館デートはどうなるのだろうね?



良い

遂に訪れた決戦の舞台はいわば旅の総決算のようなもの。これまでに千夜達は何を磨き何を成長させてきたかが試される
だからか、無の民を止める目的よりも自己の望みが優先されてしまうのかな。そうしてバラバラに戦う千夜達の有り様は未熟を示すようなもの

自身の命を狙う闇の大群を前にして千夜が思うは如何に犠牲を少なく出来るか。それは戦場を舐めた考え方だけど、ムドにも同様の傾向が見られるね。人魚を追って戦場離脱なんて
また道錬も女体を見てダウンするなんて修行不足…。いやこっちは修行のし過ぎか?

一方で充分に己を熟達させていても動揺を抑えられない時があるのが戦場の常
颯爽と助けに入ったたまが灼岩を見て戦えなくなり、不安になり千夜に助けを請うのは象徴的
その意味では戦士として熟しているかに関わらず戦場であっても誰かを助けたいと思うのは当然なのかもしれない

ならば戻ってきたムドや道錬が猩々を助ける為に戦場に向き直るのに不思議はなくて
ただ、そう考えると救いを求める無の民に対しては「滅びて当然」と考えてしまう千夜は正しい視点で戦場を俯瞰できているのかと疑問も湧いてしまう
まあ、今は神雲や道錬等の強者が前に出た事で始まるだろう激闘を楽しみたいものですよ



良い

謎の言葉を呟くばかりで何が目的か判らない案山子の在り様が友人帳と繋がってくるとは思わなかったな
必要とされない案山子なんて誰が気にするでもない。でも存在として成立してしまったら、居着く場所を求めてしまうもの
そこが元々別の誰かの居場所なら競ってでも手にしようという話になるのかな⋯

案山子はまともに喋らないから彼らがどのような存在であったかは推測するしか無い
それだけに知らぬ内に繋がってしまったという考え方に着目してしまう。これは友人帳にも言える事
元々はレイコが妖と競う中で出来てしまった繋がりが因縁のように今の夏目へと至っている。でも、夏目はレイコの思惑を知る事は出来やしない

夏目は友人帳を通して妖達と時には衝突したりお願いを聞いたりと関わり続けている。それは押し付けられた呪いのような役目だろうけど、友人帳を持つ事で彼は知れなかった想いの数々との繋がりを紡げた
その意味ではあの屋敷の主人も怖い夢を見続ける事で案山子の想いに触れ、彼らが何を求めているかを知ったのかもしれない
それは呪いであっても繋がりである証拠

だから最後には追い返した案山子の解放を願ってしまったのかな⋯
なら呪いのように突然出来てしまった繋がりであっても、それが繋がりであるならば、相手の想いを汲み取りたくなるもの
夏目にとって良い事もあれば悪い事もある。それでも関わるしか無い。そこへ夏目と様々な繋がりを紡いできた名取が解放を誓うというのは良いラストに思えたよ



普通


良い

穴開けに対して「怖い」ではなく恐れ多くて折檻かと震え出す雪の感性⋯というか人好との関係性はズレている
それもあってか、人好の妹・李恋が登場し、人好の普通の兄貴っぽさが強調、釣られ3人が並んだ姿が家族っぽくなるのは面白い
そうした変化が最終的に暗殺者らしからぬ天誅へと繋がったのかな

人好が雪の暗殺術にビビったのに対し、李恋は雪の顔から入った為か彼女に興味津々。それどころか暗殺術に関しても肯定的に受け入れているのは懐の広さと云うより興味が勝っている感じかな
それはそれで年相応な普通の反応といった印象。⋯ただ、ウィリアム・テルごっこをして目がしいたけになるのは流石にズレている気がしないでもない(笑)

夏祭りは積極的に楽しむ李恋に同調するかのように暗殺者としての前職やメイド姿も年の差も関係なく、3人共にとても楽しそう
それは雪が体験してきた祭とは全く異なるもので有りながら、場違い感を覚えず多幸感を得られる。それは彼女が人好や李恋の居る普通の日常に慣れてきた証かもしれない

だから、かつての雪の日常に近い騒動が起きた時は少し心配になってしまったな
人好の発言は不注意だけど、彼は思うだけで実行できない人間。対して雪は実行できる人間。だからこそ、雪が暗殺術を行使せず普通の日常的な遣り方に近い方法で天誅を下すシーンには驚いたり
彼女は今の普通を本当に大切にしているんだね

そして人好の不注意発言パート2
思った事を悪気なく優しさを伴って言える彼の性質は本当に良いと思うのだけど、雪は暗殺者として実行できる側の人間であるという認識が圧倒的に足りてない⋯⋯!
家でメイドさんしている女性が突然同級生としてやって来る超展開、次回に何が起きてしまうかが手に取るように見えるよ⋯(笑)



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