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良い

比名子の日常は汐莉が訪れるまでは海の檻に閉じ込められたようなものでありつつも平穏だった。どうしてそのように在れたのかという答え合わせが為されたね
他方で新たな疑問として浮かび上がるのは、美胡は何故比名子を食べずに居られるのかという点だね。これまで登場した妖が汐莉を含め比名子を極上の獲物と捉えているのに、ずっと傍に居たという美胡にその様子は無い
美胡の正体は比名子の安全に係る解答であるけれど、新たな疑問と成り得るね

比名子を喰べるつもりの汐莉にすれば、妖でありつつ比名子の傍に居る美胡は競争相手、場合によっては排除が必要な敵
けど、肝心の比名子には美胡は脅威ある相手とは全く見られていないね
「比名子が美味しそうで嬉しい」「食べられる内に食べとかないと」、どちらも日常で聞く分には変哲の無い言葉だけど、汐莉や美胡の正体を思えば特殊な言葉に聞こえる
なのに何の意味も持たずに美胡が言っているから、逆にあの言葉は異常なものとなる。ただし、その異常性によって比名子の日常は守られていたとも言えるのだけど

だから比名子にその異常性が突き付けられてしまえば、二人の日常はあっという間に崩れしまう
美胡がしたのは異常が起きていると気付かせない呪い、気付いてしまえばそれを起こした者こそ異常であると受け止めざるを得ないもの
社美胡とは比名子を喰べるモノか、守る者か。おぞましい正体を前にして比名子はどのような真実に至るのだろうね
……そういう真面目でシリアスな引きだったんだから、間違いなくサブエピソードや特殊エンディングを差し込むタイミングではなかった気がするよ!?いや、良い話だし良い曲では有ったけども!



良い

アキラの旅の目的からすれば、カルクラムやフィーデスと関わるのは寄り道に近い話。けれど、姉弟でありながら言葉にできない想いを抱える姿はかつてのアキラとトワサとは別の関係でありながら近い関係であると感じさせるもの
トワサと添い遂げられなかったアキラとしては、特にエルシーという制度がある為により良い未来を選べる二人の世話をしたくなるのだろうね
また、ここには多人数とのエルシー、一対一の結婚という価値観の違いも見えてくるのは面白い

ユウグレがカルクラムと結託したのはアキラを振り向かせる為。ユウグレはアキラに一途となっている。でも、そうした価値観を同じくするアキラもトワサへの一途な想いを捨てられないからユウグレに応えられない
カルクラムとフィーデスの立場は難しいね。たった1人を明確に想っているけど、ファミリーという多人数との結束を重視する家で生きるしか無いから、たった1人だけを選べない。結果、好きでもない相手とエルシーするなんておかしな話になるし、ダブルデートなんて誰を試しているのかすら曖昧な行為をする羽目になる

この事態を少し俯瞰した立場から見るのがアキラだね
彼とトワサは実の姉弟ではなかったけど、時代的に結婚には難しさが有った。だから許されるエルシーが存在する時代に生きるカルクラムとフィーデスは思いの儘に選べる関係があるではないかと考えてしまう。実際、二人は互いに嫌な想いをさせない為に覚悟を決めているのだから必要なのは一歩を踏み出す勇気だけの筈
アキラがユウグレを庇った行為は踏み出す覚悟の現れだったとも見れるのかな?けど、この行動はかつてトワサにした行為の焼き直しでもある。これを受けてユウグレがどう感じるのかは興味深いね



良い

あの黒歴史世界では誰も彼もがコノハに夢中でそれはイアナも例外ではない
それだけにコノハに目もくれずイアナに夢中なヨミはかなりの異物と言えるね
異物なヨミはかつてのイアナのようにコノハを害する存在と成り得る。そしてコノハが害されれば連鎖的にイアナが疑われると
嫌われ悪女のイアナを好いてくれる貴重な人間なのに、コノハに夢中な今のイアナにとって以前のイメージでイアナを見てしまうヨミはひたすらに厄介な存在となるわけだ

今のイアナは以前と人が違うから、以前のイアナのようにコノハを嫌っているに違いないと決めつけて来るヨミの説得は難しい
ただ、ヨミはイアナの姿を見誤っているとも言い難いのが厄介。ソルに睨まれており、少しのミスで命の危険に繋がるイアナの現状は危うい。ヨミの懸念は丸っ切り無根拠とも言えない。彼がソルの排除すら口にするのは当然
でも、今のイアナはそんなソルすらも大切に想っているんだよね。あの黒歴史世界はコノハを中心とし、自分を愛してはくれないけど佐藤コノハは創造主として誰も彼も大切にしている
イアナは以前とは違う。それをどのようにしてイアナだけを愛するヨミにこれから理解させるのだろうね?



良い

アルマは両親を得て、更には兄や叔母も得て。次は友達を得るというのは納得の流れだけど、その勢いで学校への転入までするなんて勢いが凄いね。しかも自分で転入手続きしちゃうんだ……
アルマが出会ったハナは不良っぽい為か友達が少ないようで。それだけに小さな犬達を家族同然に可愛がる。だからか、ちゃんと犬を見分けて見付けてくれるアルマは彼女の心の壁を容易に突破できたと言えるのだろうね

アルマがハナを手伝ったのは自分が手伝う方が最も効率が良いから。最初から友達に成りたかったわけではない
アルマの中でハナが特別になったのは、彼女が犬達を家族として大切に想っていると知れたから。それは血縁ではないエンジとスズメを家族と呼ぶアルマに通ずるもの。だからアルマはハナに秘密を明かしたのかな
まあ、その後のスピード感が凄かったけども。名前呼びに友達認定に転入とか超展開

学校空間はアルマの友達が増える場所となるね。素直で周りの影響を受けやすいアルマは同じく素直な小学生達に溶け込みやすいようで
ただし、素性がロボットである点はエンジ達の行動に現れるように心配なもの。同様に友達認定されたハナとて知らずしてアルマを心配して落ち着かなくなる。それは言葉以上に彼女もアルマを友達だと捉え始めていると判るね。だからあの動画公開は恥ずかしいけど、それ以上に「重要な人物」と認められた事はかなり嬉しかったんじゃなかろうかと思えるね
アルマがクラスに溶け込めたように、ハナも溶け込む余地が生まれたのは良い話だったと思えるね



とても良い

世界から強豪が集まるジャパンカップ。通常の国内レースならトレセンで共に競うウマ娘達が相手となるのだから情報を敢えて集める必要はない。けれど、走る姿を見た事もないウマ娘が相手なら情報の重要性は上がる
今回のエピソードは海外から集まるウマ娘達の紹介回でありながら、同時にそれぞれの陣営や記者陣がどれだけの情報を集め、それを自分の力と出来ているかを示すかのような話となったね

藤井は体を張ってトニビアンカ達を猛取材。同様に六平はベルノを使って情報の裏とりを実行。それによって見えてくるのは各陣営の意気込みや要注意度
対してタマモは情報を集めず誰が相手でも勝ちを拾うとの意気込み。これは情報に惑わされないとの姿勢であり、海外勢にも見て取れる姿勢だね
ただ、これらの捉え方には穴がある。日本勢は相手を知らないから取材しなければとなっているけど、時には自分達が取材対象となる事だって有り得る
それを示してみせたのがオベイユアマスターか

彼女は空恐ろしい存在だね
記者にもベルノにも情報は渡さないのに、自分は相手をよく調べている。特にオグリ陣営に居るベルノについてまで知っているのは底が知れない
相手を調べていた筈が調べられていた。そのような現象は把握出来ないが故に誰しもの油断を誘う。人の視界が届かない暗い部屋で踊る彼女は早くも全てを支配し始めているかのよう…
それはさておき、悩める髪の問題を解決したくてシチーにシャンプーの取材を敢行するオグリに癒やされたのでした



とても良い

第1話の時点で違和感の有った比名子の内面に突っ込むのが人でなしである汐莉な点が少し面白い
幾つかの発言から見えるように汐莉は普通の人間とかなりズレた感覚の持ち主。そんな彼女をして真っ当に比名子の矛盾を突けるというなら、今の比名子は真っ当ではない
けれど、その真っ当ではない彼女の内面に何が有るのかと言えば、本当に悲惨で人間性を保つのが難しい哀しみであったのは強烈でしたよ……

比名子は汐莉を海みたいだと捉えるけれど、実態としては比名子の内面こそ昏い海のように思える
生き残ったのに幸運と思えず、生きてと言われたのに生きたいと思えず。しかし、死にたいと思っても死ねず。そんな彼女が頼ったのが人ではない存在
生きる気力のない比名子にとって海とは絶望の檻、けれど海みたいな汐莉が自分を食べてくれる暴力こそ救いとなる
ただ、厄介なのは汐莉は暴力的に比名子を食べようとするのではなく、希望を与えた上で絶望の死を齎そうとしている点か

比名子が絶望から抜け出すには一度希望を手にした上で死という絶望に辿り着かなければならない。そんなの倒錯であり欺瞞なのだけど、汐莉の人でなし感が逆に血塗られた約束を心置きなく信頼させるものとなるね
けれど、そんな人でなしの道へ進もうとする比名子をして心残りとなりそうな相手が美胡か。これまでの日常描写から見えるように美胡は比名子の人間性を守ってくれた人物。だから人ではない汐莉との関係を秘密にしたい
それだけに美胡が血塗られた世界へと飛び込んでしまうかもと危惧させるラストには心配させられるが…



良い

アモルはアキラ達を騙した、嘘を吐いた事によって苦しい立場に追い詰められた。そんな彼女を助けに来たアキラは己の感情に正直なお人好しだね。まあ、彼の叫びによってアモルは正直な望みを取り戻せたのだから結果として良かったのだろうね
けれど、彼だって全てに対して正直に過ごせている訳では無いし、アキラを好くユウグレとアモルだって全てに正直に成れている訳では無い
そのような正直な感情と建前としての言い訳じみた嘘が入り乱れた回と思えたよ

そもそも助けに来たユウグレからしていきなり嘘を使うね。行動原理に即さないと独り言を残すのに、アキラには即しているなんて言ってしまう
また、アキラも建前めいた言い訳をするね。好意を向ける二人に対して真実の愛やらトワサが…とか言うけれど、トワサは多分存命ではないしトワサへの感情が二人の好意を否定する理由になりはしない
アキラが二人の好意をあまりに下手な遣り方で否定するものだから、二人も正直に好意を向けられずフィカに参加するなんて怒ってしまうわけだ

剣呑な雰囲気を放つカルクラムとフィーデスは姉弟であると聞いた時点でそれと察してしまうような関係のようだけど、それだけにフィーデスは正直な感情をひた隠し嘘に塗れた生き方をしていると見えてくるね
同様に自らフィカに参加したアモルもユウグレも自分の感情を証明する為に他の人と向き合う事も出来ず何とも言い難い状態。おまけにアキラ自身まで…
アキラは「何でこうなるんだ」と嘆くけれど、正直な感情を保てないから誰もがややこしい関係へと陥っていく
感情を守る為に建前ばかり優先してしまった彼らはフィカを通してどのように自分の感情が正直なものであると証明するのかな?



良い

佐藤コノハは現世に居た頃から好きな人が異世界に居るとか、現実の友達を求めずに妄想の世界に浸ったりと逃避癖が見て取れる。そんな彼女にとって少しの下手でソルに命が狙われるかもしれない状況は逃れたいものの筈
黒歴史世界においてイレギュラーであり、本当に平和に生きたいならそもそもコノハ達と関わらなければ良いイアナがそれでも自分が創作したキャラクター達の傍に居続けようと思う動機が描かれた回となったような

当初こそ自分の理想の姿であるコノハと過ごせる事を喜んでいたようだけど、コノハを主役とする世界ではあらゆる脅威が彼女へ向かう。すると彼女を助けられない罪でイアナの命も危険になると
イアナが自分の身可愛さに走るなら、コノハへの関わりを最小限にして危険にも飛び込まなければ良い。それでも彼女がコノハを守る為に駆け出してしまったのは、それこそ守りたかったからなのだろうね
あの黒歴史世界は佐藤コノハの想いを詰め込んだ世界だから見捨てられない

この傾向は特にコノハに対して強く向けられているね
自分を庇ってくれたという恩もあるのだろうけど、何の力も持たない彼女を我が身に変えても守ろうとする。それはまるで母親かのよう
だから、コノハの平穏が確信できたら自分の命も放棄しそうになってしまう
けど、見捨てないという意味では創作キャラクターから返ってくるものもあるようで。コノハは自分の足を慮ってくれたと感じたイアナの行方を案じるし、イアナを殺すべきか迷うソルは彼女の本性を見極めたいと考えている
黒歴史は絶対でも、そこに生きるキャラクターはイアナの想像を超えてくる。彼女の知らない情景が在る
あの世界を生み出した親だから出来る限り付き合いたいと願う、そのような心を感じられたよ



良くない


良い

アルマは兵器として作られた筈が娘ポジションと成り、連鎖的にエンジとスズメを夫婦として結びつける特異な役割となったのだけど、続く2話は早くもその関係性に変化球が見られたね
料理が全く出来ないスズメに料理指南を行うアルマは彼女こそ母親かのよう。てか、この点に関してはスズメの酷さがギャグとして処理するのも難しいレベルだったのもあるけど
アルマがお世話する事で上出来となったハンバーグ、それはアルマこそ親心を発揮しているようで居て、娘が両親の仲を取り持っているようでも有ったね

物音を立てるロボット掃除機を捕まえようとするアルマの姿はとても猫っぽいけど、関係性的にはロボット掃除機こそアルマの兄ポジション。ならあれは兄が妹と遊んでやった光景なんて捉える事も出来るかもしれないね
妹と言うには世話力の高すぎるトキはまるで母親かのよう。エンジの面倒を見るトキはスズメの立場を奪う存在…かと思いきや、スズメの着替えを片付けようとして反発を食らう光景により、スズメにとっても母親ポジとなるのは面白い
アルマだけでなくトキからもそういう関係と扱われ、二人は続々と外堀を埋められているよ(笑)



とても良い

今回は完全にシンデレラストーリー味のある話となったね
これまではガラスの脚で良い成績を残している訳では無い。世間からの注目が有る訳でも無い。誰からも見向きもされなかったクリークがまるで魔法使いかのような奈瀬文乃と出会った事で舞踏会の切符を手にしたようなお話
文乃は外部から奇跡はやってくる事を信じているようだったけど、クリークにとって彼女と巡り会えた事がもう奇跡という点は良かったな。彼女は勝利を奇跡とするのではなく、出会いを奇跡と定義した訳だ

他方で奇跡が何度も起こらない事も事実。クリークにとって文乃と出会えた時点で奇跡の魔法は既に使用してしまった。だから菊花賞では奇跡に頼らない勝利が求められる
ここでヤエノが行ったのも奇跡に頼らない走法、自分が取るべきポジションを押さえ、その場その場で適切な判断を行っている
対してクリークは冷静な判断を行っているね。六平でさえ驚愕する一瞬だけ存在するルート、それは奇跡でも何でもなく、長距離を走り続ける中で判断を毎瞬行っていないと潜り込めない奇跡のルート。そのような道を辿られたら、他の道を選ぶ判断は全て凡策となる

クリークが辿り着いた勝利は奇跡のようなものであっても奇跡ではなく当然の勝利とまで言えるのかもしれない。だから観客も彼女の勝利に賞賛を送る。文乃という魔法使いと出会った彼女は無事にシンデレラとして花開いたわけだ
他方で敗者であるヤエノの描き方も良かったね。彼女は適切な道を的確に選んだ筈なのに負けてしまった。それは限界という壁に直面してしまったかのよう。それでも師範代の一喝を受けて、戦い続ける道を選んだ彼女は奇跡など関係なく勝利を目指すのだと感じられたよ
そして、世界の強者が集まり始めたラストにもうすぐ訪れるだろうジャパンカップへの期待が高まるのを感じたよ



良い

2クール目がマーチ主役のエピソードから始まるのは特別感が有って良いね
最初期こそオグリのライバルキャラというポジションで登場しながら、オグリがトントン拍子で出世してしまった為に置いてかれてしまった感のある彼女
それはレースに例えれば遥か後方に置き去り、なんて捉える事も出来る。そりゃサウザンもこちらを見ろと罵倒するというもの
マーチは此処に居るようで此処に居ない。そんな走りをしているように思われてしまう

故に彼女が出した結論が良かったな
マーチは此処には居ないけれど此処に居るかのようなオグリの背を今も追っている。どれだけ差を付けられようとライバルを自称する。それは無謀でも不格好でもなくライバルの正しい在り方
だからマーチの好走はオグリに届く。マーチに負けまいと彼女も先頭をひた走り、追いつきたい背中を追い続ける
その構図は何もマーチ、オグリ、タマモだけに留まっていない点が良いね。どのウマ娘も追いつきたい背中目指して奮闘している

故障中のチヨノも、ダービーを負けたアルダンも、戦いたがっているディクタも、焦りを抱えるヤエノも、オグリを意識して藻掻いている。また当のオグリも目指すべきタマモの背をブレずに追い続けているね
ここで面白いのは誰からも注目されていないクリークか。背を追う状態は言うなれば前を向く状態、マーチの目を見たがったサウザンは横を向いていた。だとしたら、自分の背を追う者を見る者なんて普通は居ないから誰が追っているかなんて気付かない
静かな雌伏を続けてきたクリークが遂に油断成らない強敵の1人として名を上げようとしているかのような前フリには次回以降の流れに期待してしまうよ



良い

妖怪に喰べられる事を望む比名子は人でなしの在り方をしていると言える。だというのに比名子を喰べると宣告した汐莉はすぐには比名子を喰べずむしろニコニコと見守るだなんて別の意味で人でなし
前回ラストでは同居可能な望みを抱いた異種であるように思えた二人は、存在だけでなく望みすら異種となってしまったかのよう
けれど、比名子は汐莉に喰べられたいし、汐莉は比名子を喰べたい。相容れないのに共に居なければならない

比名子と汐莉の空気が奇妙に重苦しい為、二人の間に割って入ろうとする美胡が本当に清涼剤となっているね。彼女が登場するだけで作品の空気が明るくなるし、低調な比名子も声が少し明るくなる
でも、美胡がそうした空気で比名子と関われるのは比名子の暗い部分に手を突っ込まないからかも知れず。祭に誘う時の配慮、断られた際の過剰な謝罪は比名子の心にどれだけ気を遣っているかが見えてくる
でも、そのように関わるから二人は相容れる存在になる。だとしたら、比名子の家に踏み込んだ挙げ句に嫌がる彼女を言い包めて祭へ連れ出す汐莉とは余計に相容れない印象が強まるが…



とても良い

アキラの人の良さは凄いね。自分を罠に嵌めた相手に対して、相手の立場を慮った上で快く許している。また、イディ達を巻き込まない為に受け入れてくれた彼らの村から旅立っている
これらの点にはアキラの性質が見て取れるね。そんな彼をして悩まされる相手・ユウグレは特異なアンドロイド。助けてくれたのだから同行者としては信頼は出来るが、素性を教えてくれない点は人として信頼できない
アキラとユウグレの奇妙な距離感が描かれているように思えたよ

ユウグレ自身やトワサに関する質問をしても「禁則事項」と躱す彼女は信頼される事を放棄しているかのよう。通常、人は自分の心を明かす相手を信頼するもの。自分は開かないのに、結婚を迫りズケズケとアキラの心を開こうとする彼女の在り方は少し歪
対して、新たに出会ったアモルはその背景からして心を偽る形でアキラ達に近付いたのだけど、他方でアキラと関わる事で彼の心を少しずつ知る様子が描かれていたね

確かにアキラはアモルの心を何も知らないまま安易に彼女の夢を応援してしまった。それはアモルに裏切る罪悪感を少なくさせるものだったかもしれない
でも、アモルが頼ったマールムこそ人の心が無い人物。むしろレトギアの境遇に反発するアキラ達を助ける為に体を張る彼女の行動に迷いは無かったと判る
だからアキラもアモルを助ける事を迷わないし、助ける事に反対した上で対価としての結婚を再び求めたユウグレに心を見出だせない
アンドロイドに心は宿るのか?改めてSFっぽい問答が示されそうだ



良い

原作既読
原作の時点でも破茶滅茶な要素を持つ作品だったけど、アニメは少し異なるアプローチを用いつつ原作の破茶滅茶さを再現しているね
佐藤コノハが転生したのは自分が妄想した世界。それら全ては本来妄想主の為に在る。けれど佐藤コノハが転生したのは嫌われ者の悪女、世界は彼女に敵対する
都合が良い筈の世界は転生した為に都合の悪いものになるわけだ

思い描いていた世界に転生出来たというのにイアナにそれを楽しむ余裕はないね。自分を世界から排除しようとするフラグに抗う為にあたふたしてる。周囲にイケメンが居るのに見て楽しむよりも自分がどうやって生き延びるかばかり考えてしまう
その行動は仕方ない面もあるけれど、省みれば佐藤コノハは現世にいる頃から自分事ばかり。親の忠告を無視して自分の世界に浸って
イアナの姿勢が代わるのはコノハの優しさが身に沁みてからか

イアナが自分事ばかりにかまけているとしたら、コノハは他人事ばかり思い遣る。特に自分を殺そうとしたイアナを庇う彼女はイアナと対極であり、もしかしたら佐藤コノハにとって理想の姿
だから彼女は妄想であり理想である彼女らを守る為に自分を顧みずに行動できたのかもしれないね。それが結果的にギノフォード達から過剰なまでの好評価を得るきっかけとなるのはおこぼれ感があるけれど
佐藤コノハにとって夢みたいだけど、イアナにとっては罠だらけの黒歴史。彼女はそんな甘くて危険な世界をどう生き延びていくのだろうね?



良い

恋愛でも血縁でもなく結び付いていたエンジとスズメの2人がアルマという存在によって関係が変わっていく様は特徴的かも
2人は科学者でアルマは兵器。アルマはあくまで研究成果でしか無く、制作したのも名誉のため。実態としてそれだけなのに、アルマが2人を親と呼び慕いアルマの見た目が子供である為に3人の関係性が一変し、名実が入れ替わってしまうなんてね
アルマに与えられた名称に二人が引っ張られ変化して行く様は面白いものでしたよ

二人で制作したのも偽家族を継続するのもアルマを完成させるため。そうした実の目的があるのに、何も知らないアルマは両親という名を大事にする
アルマに付き合って夫婦や家族のフリをするのはおままごとのよう。けれどアルマを完成させる、つまりは子供が持ちうる情緒を育てる過程は普通の子供を育てる工程と何ら変わらない。アルマを研究成果として見る二人の目線が早くも親として心配する実態へと移行していく様は一風変わった家族物として楽しめるかもしれないね
その割にはアルマの正体が兵器という物騒な代物であるのは気になるけども…



とても良い

原作既読
登校中の喧騒や教室の賑やかさに反して比名子はひたすらに静か。というより、生きている鼓動を感じられないというか
何度か海のイメージに染められていたように、比名子の意識は陸上より海底に在るようで。音が届かず息は出来ず人は生きられない世界
だとしたら、海の意識に沈む比名子の傍に訪れた海のような汐莉が何を意味するのか、改めて味わえると確信できる第一話でしたよ

表情に明るさはなく、喪われた家族写真を見詰め、海の底に意識を引っ張られている比名子を見て「生きている」と感じ取れる余地は少ない。それこそ比名子を見て汐莉が身投げをイメージするのもやむ無しといった印象
けれど、比名子にも明るさが取り戻される瞬間があるね。美胡と居る時は彼女の声色も明るくなり、美胡に釣られて賑やかになる。美胡が傍に居る時だけは比名子もまるで救われているかのよう
それだけに美胡が去った瞬間から再び海の底に沈む様が強調される

生きている人間ならば海底に引きずり込まれるイメージに抵抗するのに比名子にその様子は無い。これは突如現れた磯女に対しても同様
比名子は汐莉に助けられた。けれど海の印象を持つ彼女とて生きている人間ではないというのは強烈。比名子を助けながら生を授ける者ではない
「食べに来た」という言葉は比名子を救うものとなるようで。ただ、それがまともな約束に成るわけがなく
忌避すべき望みを抱く比名子と忌避すべき存在の汐莉。生のない二人による物語がどのような印象を授けてくれるものになるのか、今後の展開に期待大ですよ



良い

近未来的な要素が溢れていた前回ではその近未来感によって様々な見方が出来た本作だけど、続く今回は超未来を舞台としている筈なのに描かれるのが前時代的で文明発達前のような光景だなんてギャップのある展開
それでいて所々に近未来の残り香が有るというのは不思議な話。一見すると別世界を見せられているかのようなあの光景は現代から全く繋がらない社会の話ではなく、近未来の先にあるが文明が望ましく発展しなかった前時代的な超未来という面白い光景となっていたね

アキラを助けてくれたイディ達の住んでいる集落は植物に侵食されているし、家の作りもコンクリートではないし、床に座って食事をするスタイルという、近未来でアキラが暮らしていた環境とは全く異なるもの
文明的な暮らしがすっかり忘れられている様子は限りなく前時代的。だというのに彼らの結婚様式は超未来的だね。性別に関わらず婚姻を行い更に人数に制限を設けないそれは文明発達前の一夫多妻制の路線を思い起こさせながら、全く異なる未来的な家族形態と思えるね

だから違和感を覚えてしまうのはそんな社会に立脚する前時代的な人々。管理官が幅を利かせ暴力の罷り通る様は文明の匂いを感じさせない
身勝手な暴力により他者を蹂躙する者に文明的な裁決や約束で対抗しようなど不可能、それこそ暴力で対抗しなければ
となった段で登場したユウグレは超未来らしいアンドロイドである上に暴力が罷り通る時代でも上位に立てそうという凄まじい存在。なのに、そんな彼女が求めたのがアキラにすれば現代的な結婚だなんてギャップが効いた話ですよ
0話でもこれからどうなるのか?と思ったけど、続く1話でもその印象は変わらないのは良いね



良い

永い時を生きる甚夜の在り方を体現するかのような、または祝しているかのような最終回
未来からやって来た薫は時の迷い人と言える。ただし、それは帰り方が判らないという意味ではなく、帰れるけど帰って良いかが判らない
これは甚夜にも言える事かな。彼は時の彼方に故郷を置いてきてしまったけど、葛野に帰る事が未来永劫に赦されないとまでは言えない
元居た時に帰れない二人が迷い着いた場所で想うもの。それは迷い人同士である為に安らぎを得られたように感じられたよ

薫の帰り方は案外容易に見つかったね。まあ、発言的には国枝の主人も未来からやって来た人間っぽいけど、彼は帰り方を知っているのに帰らなかった人間か
そこにある心の全てを知る事は出来ない。同様に元居た時にすぐ戻れない薫の心も全てが明かされるわけではない
ただ、心の断片を話せる相手は居た。それが甚夜であり、甚夜は迷っていた幼少期に受け止めてくれた人が居たからそれ以上迷わずに済んだ経験がある
迷っていても受け止め、帰れる場所となってくれる人が居れば迷いから抜け出せる

薫も心を受け止めてくれる甚夜が迷った先にも迷いから帰った先にも居ると知れたから、迷いを終えられたのかな
同様に迷い続けた甚夜も、待っていてくれたちとせと再会できた事は彼の心を癒やすものとなったのではなかろうかと思えるね
これから先も甚夜は時を迷い続ける。明治編では傍に居る野茉莉が現代では傍に居ないように、そこには多くの別れがあるのだろうね。けれど、現代で薫と再会できたように、多くの出会いもあるのだろうね
辿り着いた時の行く先にて幸せを断言できた彼の迷い時に思いを馳せてしまうような最終回でしたよ



良い

最終回は蓮司とリリーの会話を中心とするような形式で異文化交流とそれに紐付く恋愛模様を描くというよりも、2人が生活する異文化を描いた上でその先にある恋に至るかもしれない交流を真摯に描いているように感じられたよ
当初のリリーは確かに言い伝えのある花火に釣られていた。でも、その後には異文化である祭を心の底から楽しんでいるとも感じられた。変わらず彼女は異文化を楽しめる少女だね

家族+リリーの組み合わせで楽しんで居た所にやって来たリリー父は蓮司にとって熊にも等しい恐ろしい存在。けれどリリー父は熊と思われた事を光栄と感じる。娘を守る為なら父は熊にだって成れる
だから彼が問うのは蓮司が娘の害になる存在かどうか。対する答えは少しはっきりしない面はありつつも、リリーを傷つけないというその一点において迷いはなかったね
リリー父はその答えにある程度の納得は得られたようで

あの祭が元は異文化であったように、異なる文化存在であろうと交流を続ける内に自然な姿となっていくもの
だとしたら異文化として出会った蓮司とリリーも関係を積み重ねていく内に二人で居るのが自然な関係となるのかも知れない
花火の下でリリーが思い出したのは出会ったばかりの頃の関係。今回とそれは似ているけれど、あの頃よりも二人の関係が深まっているという意味では大違い。今後、蓮司とリリーが様々な遊びが出来るゲーセンを通して更に交流を深めていった先でどのような関係を築くのか、改めて楽しみに思えるような最終回でしたよ



とても良い

凛太郎が告白を正しく遣り直す為のデートは図らずして、薫子が思わぬ形で始まった自分達の関係を紡ぎ直すものとなったね
凛太郎は薫子との関わりの中で少しずつ彼女を好きになった。でも凛太郎には薫子が自分を好きかなんて判らないから「困らせる」なんて思ってしまう
だから彼にはその告白が間違いではないと伝える為に薫子は自分達の始まりを紡ぎ直すわけだ

薫子は語りの中で全てを明かしているわけではない。何故辛かったかも、凛太郎に何を言われたのかも
でも、そこは凛太郎を好きになった直接の理由ではない。好きになったのはきっと誰にでも優しく出来る彼の性質、薫子にとって最も大切な部分
次いで彼女が思い返すのは凛太郎に恋をして、それが走り出すまでの物語
凛太郎が薫子を好きになったように、薫子が凛太郎を好きになる物語がそこに在ったと知れる。その美しさには何度も悶えてしまったよ…!

二人は確かに千鳥と桔梗の生徒かもしれない。でも、それは対立を示すのではなく、薫子にとって好きな人が近くに居たという奇跡を唄う調べであったのは印象的
薫子が凛太郎を好きになった理由に千鳥は関係ない。改めて自分達は個の人間であると示し、自分とて凛太郎を大好きだと告げる彼女の姿はとても美しいものでしたよ……
原作で続きを読めるとはいえ、アニメはここで終わってしまうというのがあまりに勿体なくてもっと見続けたくて…。そんな身勝手な感情を抑えきれなく成る程のとても良いアニメでしたよ!



とても良い

霧島透子の脅威から麻衣を助ける為に東奔西走する咲太は忙しいね。でも、福山に発したようにまさしく「来た甲斐があったよ」と言えるだけの成果は挙げられたのかな
この回で描かれたのはそれぞれの拠り所は何者かを改めて問うような話と思えたよ
寧々は北海道では上手く行っていた自分の在り方が神奈川に来て麻衣の出現に鉢合わせた事で全てが揺らいでしまった。挙げ句に頼ったのが霧島透子という正体不明のシンガー。そうして無くした岩見沢寧々を寧々も福山もどう取り戻すかが描かれたね

思い出のマフラーを巻いていても寧々を思い出せなかった福山が彼女を取り戻す契機は彼女が本来持っているべき名誉を彼女が持っていないと知ったから
その後に福山が語る寧々の思い出は福山と寧々が紡いで来た拠り所のような人生で、それこそどうして忘れてしまったのかという話になる
自分や大切な人を見失う。そのような特殊な事態を前に赤城や咲太が自分の人生に当て嵌めて考えた上で「何処にでもよくある話」と捉え直せたのは良いね
ならば、自分を無くした寧々という特殊事態に対しても有り触れた自分の在り方で向き合える

福山が寧々に語る言葉も咲太が二人に告げた言葉も何一つ特別なものではない
ただ、特別でないから寧々はその言葉の頼りなさに反発してしまうのだけど、本当の寧々は特別でもないし頼り甲斐があるわけでもない福山と付き合っていて、今も愛されているわけで
それは頼るには不安定だけど、拠り所としては充分過ぎる岩見沢寧々という人間と言えるのだろうね

麻衣のイベントに集ったサンタクロースも自分を見失った人間達。自分が判らなくなり他人から見遣って貰えなくなった
そんな存在に咲太がしたのは偶発的でありながら最も説得力ある声掛け。流血という衝撃的事態を突き付けながら「大丈夫です!」と告げる。それはハプニング時に最も頼ってしまう自分という存在を取り戻さずに居られない状態だね。流石にあの状況で霧島透子を名乗る暇なんてありゃしない
咲太の奮闘が麻衣を守り、皆との再会へと導いた。それは一転して目出度い日だ。これで後は霧島透子の正体さえ判明すれば、というタイミングで待ってましたの劇場予告には震えてしまったよ。今から待ち遠しいね



とても良い

作中でトワサの事を「1人シンギュラリティ」なんて呼称しているけど、この第0話は他にもシンギュラリティ、特異点と呼べそうな瞬間が様々に描かれていたね
アキラがトワサの家に引き取られた瞬間が既に特異点と言えるし、姉となったトワサが世界における特異点であるのもアキラにとって特異点と言える
一方でアキラ自身はトワサが特異点だから特別な存在と感じるようになった訳でもないと描かれていたように思えるね

作品内容は近年の技術開発を反映した近未来物として、見ているだけでもワクワクさせられるものとなっているね
本作でトワサは世界を変え得る存在として描かれている。そのような彼女に対して、アキラは同じくらいの特異点になるのではなく、弟からの脱却を目指そうと奮闘しているね
対してトワサもアキラを弟以上の存在と見始めている。両者共に互いを家族から脱却させようとしている。でも、現状は家族だし姉弟だしという点が恋愛的に面白い状況と思えたよ

作中で見られたトワサへの抵抗はそのまま特異点への抵抗でもあるかな。現状から未来へ向けて大幅に進化する行動はそれこそ変化への準備が出来ていない者にとって脅威でしか無い
その意味ではトワサがアキラの一世一代の決意を一度はスルーしてしまったのも同種の抵抗と言えるかな
でも、トワサ自身も関係を進化させたかったのは事実。だから彼女の方からも一世一代を見せつけると。まあ、このシーンはアキラがその上を行く決意を更に見せつけた為に大変ニヤニヤ出来るシーンと相成りましたが

二人は家族の関係をアップグレードして新たな家族の関係へ。これは互いに諒解が有るから成立するシンギュラリティ
だから、特異点のような存在からお出しされる進化への諒解を持たない者からは強烈な抵抗が示されると……
と、ここまでは話の筋が理解できるのだけど、ラストに提示された光景がシンギュラリティとかそういうのを超越していた気がしますよ?
キャラクター原案きっかけで見ようと考えていた作品だけど、想像していた以上に楽しめる作品となりそうですよ



とても良い

れな子には紫陽花を家へ送り届けた事によって無事に終わったかに思える家出旅行。けれど、紫陽花にとっては行き先を決めずに始まった旅行を経る事に拠って向き合うべき問題が明確化された状態、つまり彼女の家出は終わってもまだハッピーエンドには辿り着いていない
その状態はそれこそ真唯が言うようにれな子が手助け出来る領域ではない。紫陽花が1人で向き合わなければならない問題かと思いきや、恋敵と言える真唯が手助けする流れは驚き

友人達は勘違いしていたけど、彼女らが言うように相手を優先して我慢してしまう紫陽花は自身を顧みない恋が似合ってしまう。その意味で彼女が他から抜きん出るような行動をする事もなかった筈で
今回は真唯が手助けしたかに見える構図だけど、その前に紫陽花が踏み出したから真唯は彼女に手を差し出せたと言えるんだろうね
ほんの少しだけ自分の為に行動できるようになった。それでも自分の恋を優先して他人を出し抜くような行為は難しい。特に真唯が既にれな子への愛情を表明している現状では

けれど、真唯が明かしたのはれな子が自身の愛情を完全には受け付けていない点、紫陽花が勝手な行動をしたからって未来は変わらない点
ここには王塚真唯が見せる深い愛情が有るね。それはれな子に求める愛情とは少し違う親愛による愛情。自分に訪れるかもしれない危機を他所に親友の幸福を求められる強さ
それは真唯から与えられる史上最高のアシストだ。後悔を避けるより行動すべき。そうして思うが儘に思いの丈をれな子に告げた紫陽花の姿は美しかったよ
…これでれな子の対応がもう少しマシだったら様に成るのに。これじゃ真唯が完全に道化になってしまうじゃないか(笑) さてはて続く劇場作はどのような話になるのかな?



良い

現代編で妙な仲の良さを見せた甚夜と薫、その背景には何が有るのかと疑問だったのだけど、これまた妙な話が展開されているね
薫が突然明治時代に飛ばされる展開が奇妙なら、そこに割と馴染んでしまうのも奇妙。というか、甚夜は初対面の少女に対して、また薫は見慣れぬ甚夜の姿に対して馴染むのが早すぎない…?
甚夜は鬼との関わりの中で常とは異なる在り方をする者への慣れがあって、きっと薫は時間遡行に対する慣れがある感じなのだろうか?

だとしても、薫が明治時代の人間で無いなら本質的に馴れ合う事は出来ない。それだけに天女という言い訳が必要となると。まあ、それでも簡単に馴染みすぎている気がするけども
同様に関係に馴染みを作る言い訳を用いていたのが甚夜と野茉莉と判る展開は印象的。親子を名乗る二人は本質的には完全な他人。けれど、父と娘という言い訳を用いて関係を形作った
そこで野茉莉が本質を理解しながら、それでも甚夜を父として求める点に今の二人は本当に親子となっているのだと感じられたよ

一方でこうした言い訳的に関係を形作る言葉の危機に直面しているのも野茉莉と言えて
そうか、傍目には今の甚夜って年頃の娘を養育する父親が突然若い女を傍に二人も作ったように見えるのか
兼臣にその気はないし、薫が明治の時代でそうした関係に成る事もないだろうけど、そうした可能性に対して野茉莉が本当の母親について訪ね甚夜に意識させた上で新しい母は不要と牽制するシーンに幼い嫉妬を見てしまったね



良い


普通

帰省旅行に他所様の子供が付いてくるって凄い状況…
さておき今回は判り易く異文化感が描かれていたね。日本の標準語に慣れてきたリリーにとって容易に理解できない方言を始めとして、普段は都会に暮らす彼女らにとって田舎の光景も異文化であるのは違いない
またリリーと違ってとても積極的に蓮司と触れ合う日葵の姿は恋愛的に異文化。ここまで揃うとリリーは完全にアウェイと思えるが、リリー自身はそういった異文化感を満喫しているように見えたよ

そもそも彼女は英国から日本という異文化へ飛び込んだ少女。だから慣れ親しんでいない文化であっても臆せず飛び込んでいく積極性を元より持っている。完全アウェイな環境であろうと見た事の無いゲームを見つければ、それを楽しんでしまう。彼女は異文化であろうと楽しめる人物と判るね
だから一緒にいる皆にも更文化を楽しんで貰いたいと思ったのかな。日本の田舎に英国風秘密基地を作ってしまうのは彼女ならではの遊びと言えるかも

けれど日葵が起こす異文化はリリーにとって慣れ親しむのは難しいもの。元より蓮司に対して積極的になる時はありつつも、恋愛的な積極性をリリーはこれまで起こせていなかった
それだけに普段とは異なる文化を持つ環境にてお婆さんが教えてくれた言い伝えはリリーの背を押すものになるのかな?まあ、リリーが行動を始める前にリリー父を蓮司がどうやって躱すかが問題となりそうな気もするけども(笑)



とても良い

菓子パから始まった千鳥・桔梗有志の集いは凛太郎の家での遭遇や勉強会を経て一緒に海へ行くまでに。少し前まで壁が有ったのが嘘のよう
ただ、そのような仲の良さをとって全ての蟠りが解かれているというのはもしかしたら大袈裟な話で。凛太郎達と普通に過ごしてくれるから忘れていた昴の男性への恐怖、そこへ改めてフォーカスしつつ昴を仲良しの輪に入れてくれる朔達がただの善意で彼女を受け容れている訳では無いと見える回でもあったな

今回は様々な手法で昴と男子陣との距離を感じさせていたね。遠近感による深度の違い、影などが作る境界線、最も大きな物として波の内側と外側…
それは昴が彼らとは別の場所に居たいと思っているからそうなるのではなく、男子が苦手という深く影を落とす要素が彼女に壁を意識させてしまうだけ
だから男子達に感じていたのは苦手というより怖いに近い感情かな。こんな自分を受け容れてくれるのかという
それだけに朔が境界を蹴飛ばすようにして、「友達だと思ってる」と伝えてくれ、翔平達も同調してくれた事は何よりも良いシーンだったな
また、昴が波に手を突いたシーンは彼らと同じ場所へ行けた象徴に思えたよ

花火は綺麗だけど思いの外に終わりは早く訪れるもの
けど、綺麗なものは他にも在る。薫子は昴が柔らかく変われたのは凛太郎のお陰だと感じる。でも凛太郎は行動できるようになったのは薫子のお陰だと感じる。それらの関係はとても綺麗な情景だね
とても尊い綺麗さは互いに感謝を伝え合わせる。だからもっと綺麗さを続けたいと思う。そこで薫子が発した「会う楽しみを増やせばいい」はそれこそ凛太郎が望む情景で
ふと溢れてしまった本音の言葉、これをすぐ消えてしまう綺麗さとしない為に行動する凛太郎の想いは実を結ぶのだろうか?



とても良い

棺合わせのシーン、紗寿叶と心寿で見ているものが違いすぎてちょっと笑ってしまう
ホラーが苦手な紗寿叶にとって撮影現場はド直球ホラー、全てが作り物で他の何かに混ぜ合わされていると判っていても怖い物は怖い
対して心寿は虚実が混ぜ合わされた作り物のコスプレで原作ゲームだってミラの妄想と知っていても、撮影を通して『棺』やミラの世界を知れたと喜んでいる
紗寿叶のダメージは酷いけど、心寿の願いを叶えられたという満足度は高いのではなかろうか?自分の好きだけで満たされた遣り方でなくてもそれに代わる好きが表現できているなら後悔はない。そのように感じられる最終回だったかな

前々から海夢に壁を作っていた旭の本性が酷かった、本当に酷かった(笑)
彼女は推しに好きを伝え過ぎてしまう懸念から壁を作っていたようで。というより遠くから見守る事で好きを伝えている感じかな。直接に海夢へ好きと言うより、海夢が幸せに過ごしてくれる事が旭の好きに繋がるのだろうね
……まあ、旭のあの過去回想からこういう感じの「良いこと」へ繋げる表現には割と困惑させられる感情が無くもないのだけど。旭的には幸せそうだから全部OK!って感じなのかな…?

合わせが終わったら告白するつもりで居た海夢は結局告白しないまま。ただし、代わりの方法で彼女なりの好きを表現していたね
というより、海夢はこれまで様々な方法で新菜への好きを表現してきた。今回の合わせに同行して貰ったのもその一つ
また、新菜が言う「喜多川さんの家から見える夕日、綺麗ですね」という言葉だって、あの夏目漱石の言葉を想起させる要素を含んでいるようにも思える
今は未だそのままの言葉を伝える勇気がなかったとしても、新菜ともっと過ごしたいと思う、彼への好きを表現したいと思う。そうした諸々が溢れ出るようなツーショや二人の遣り取りは、様々な好きを肯定する本作らしさが感じられ大変満足感の高い最終回でしたよ!



良い

霧島透子を名乗る岩見沢寧々とはどのような人物かを探る話となっているのに、探れば探る程に霧島透子も岩見沢寧々も曖昧となっていくのは恐ろしい構図
寧々が誰からも観測されない状況は、かつての麻衣が咲太に救われずそのままを過ごすIFの姿かに思える。それだけに寧々を救うべきは咲太ではなく、福山であるべきなのだけど、肝心の福山に寧々は観測できない。その手遅れ感が更に状況を悪化させる
寧々も福山も忘れてしまった大切な事。それをどう思い出せるのか。状況解決に必要な一手がむしろ状況を悪化させるというのは如何ともし難い話だね

岩見沢寧々が岩見沢寧々という形を失っていくのと時を同じくして、霧島透子も霧島透子という存在を曖昧にさせるね
最初は特定の誰かが霧島透子を名乗っているのかと思われた。けど、動画を通して察せられるのは多くの人が霧島透子に成り代わる事態。もはやこれじゃ霧島透子は現象だね。そこに人を見る事は出来ない。同様に自分が寧々であると忘れた彼女も人間らしさを置き忘れたかのよう
誰かの悪意ではなく現象が麻衣の命を狙い出したかのような事態に対して、どこまで咲太は麻衣を守れるのか、そしてそんな咲太を麻衣はどう見守ってくれるのか。次回に期待ですよ



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