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良い

折角の合同練習で他校の生徒から何を学ぶかが問われる機会なのだけど、花奈は先輩の真似に否定的だし、競争の本質を理解していなかった
あの場は仲良しになれる友達を見つける場ではなく、他者を蹴落とす実力を身に着ける場。その意味では巧者から何かを得るのは当然なのだけど、放送部に入って朗読の楽しさを共有できる者達と出会えた花奈にそれは難しかったようで
今回は他者から何を得られるか、という点を軸にしつつ同時に自分は何を持っているかを再確認する話となったような

香玲の向上心は良いし牡丹鉾の指摘も的確。けれど、競争的な朗読に馴染めていない花奈にはしっくり来ない
そのような状況では気遣ってくれる瑞希に自分は頑張れるのだと主張しても納得させられやしない。まず、花奈の場合は朗読を用いて競争する者達に共感できていないのだから
柊谷の指摘も花奈が持つべきものを持っていない点を指摘するもの。花奈は朗読の技量を上げる前に自分は何を持っていないかを知らなければならなかった訳だ

他方で持てない為に他者と分かち合える様子が描かれたのが杏と林か
林は報われない恋、いわば他者から奪い取れない恋をしている。その状況は少し杏に似ている
持ち得ない恋の要素は二人に共感を齎しているね。容易に得られはしない、同じようなもやもやを互いが持っている。自分が何を持っているかを知る二人は相手にどのような共感を与えられるかを判っていた、なんて言えてしまうのかもしれない

良子が花奈にした話もそのような方向性かな
良子の話は直接的に花奈の悩みの回答となるものではない。けれど花奈が抱いている瑞希は凄い、彼女は全国に行けるとか自分は争えないという感覚に共感するもの
良子が抱いた悔しさはいずれ花奈が抱くものかもしれず、良子が焦がれた瑞希への憧れは今の花奈が抱いているもの。だから良子が覚悟した想いは花奈が共感できる、良子から得られる指針となるわけだ
改めて覚悟を固めた花奈、そして神様から合格の力を得た放送部。これから彼女らが厳しい競争をどこまで勝ち抜けられるか楽しみですよ



良い


良い

前回から1年経過してもう5級になっている事が驚きなら、いのりが学ぶルクスに理凰がやってくる事も驚き
雌伏の期間が飛ばされた事は少し勿体なく感じられてしまうけど、その分だけ飛躍を感じさせる内容となっている。あの頃は出来なかった様々な技を使えるようになったいのりの目標はその分だけ高くなる、光に近付いていく
そのような状況だからこそ、同様に光へと手を伸ばした理凰の人柄が描かれる運びとなったのかな

理凰は家庭環境に理由が有ったとしてもかなりふてぶてしいタイプ。大人にも平然と失礼で、友達以外は目に入らない
一方で理凰の実力は折り紙付き、司が手放しで褒める程。けれど彼は褒め言葉の受容を望まなかった。それは涼佳とは別ベクトルの大人への不信であり己への絶望か
父親や光という強大過ぎる選手の傍に身を置き続けた彼は光などと同様の結果を残せない事で一足飛びに己を才能ないなんて決めつけてしまっているね

理凰はいのりを視界に収めず強者ばかりを見る。故にいのりが何を見ているかを計れない
いのりも光を見ているけど、それ以外の選手だって司の頑張りだって見ている。だから司だけでなく間接的に己や多くの選手を馬鹿にするかのような理凰に激しく反発する。慣れない大声で気勢を上げるいのりの姿には驚かされたよ
今のいのりには高すぎるようでいて、実は届く余地がありそうな6級。視野が狭い理凰の目を覚ます成績を収められるのだろうか?



とても良い

猫猫が自分の立場を判らなくなっているという独り言は今回のキーの一つとなっている印象
本当の猫猫はただの下女に過ぎないが、壬氏に利用され玉葉妃に取り立てられ、帝や皇太后の依頼を受ける。何重にも貼り固められた立場は元の姿を判らなくさせてしまうもの
同様に女帝が匿う形で隠された先帝の真実も猫猫が開けるまで誰も知らなかった。そして、猫猫ですら知れないのは物静かな表情に隠された皇太后の想いか

絵を前に佇む皇太后の姿に猫猫は親しみ有る問い掛けを想像したようだけど、実態はもっと憎々しいもの。というより、皇太后の心情変化は容易に理解できないものだね
当初は野心から近付いた。けれど、先帝が自身に興味を覚えず他の娘に目を掛けるようになると憎しみを向けるように。それは憎しみを向ける前には別の感情が隠されていたと示唆している
だからきっと、先帝をいたぶった件にも表に見えるものとは別の感情がその下に隠されていた筈で
けれど、閉じ籠もってしまった先帝と彼との繋がりを断ち切ってしまった皇太后は互いにどのような感情が有ったかを知れなくなってしまった訳だ

その答えの一欠片を提示したのが二人から生まれたであろう壬氏であった点は印象深い
絵に遺された黄色の意味等について皇太后は知らないと答えたけれど、理解できないとは違う返しに彼女の想いが潜んでいるような
貼り固められてきた様々な感情の奥底から、己は先帝を呪ったわけではなく、また先帝も己を呪っていないと悟れたのではないかと思えたよ
でも、それは遅すぎる悔恨。だからこそ自分のお気に入りに対し正直な向き合い方が出来ていない壬氏へとアドバイスをしたのかな
昔話は終わり今の物語へ。と云う前に一風変わった話が差し込まれるようで



良い

死んだ筈のゆりが皆の前に現れ、これはれんげと似たようなパターンなのかな?この世界には死者を蘇らせる何かがあるのかな?と思っていたら、まさか他の者達に関しても同一人物が現れるなんてね
こうなってくると、死者の代替が出現するなんてオカルトではなく、えりか達のコピーが無数に存在しているのではないか、これまで活躍してきた彼女らもコピーなのではないかと、そのようなSF的な疑惑に陥ってしまう
ワイルドハントが突如現れ、人々が消えた世界。そのように思っていただけの物語世界観が突如恐ろしい姿に見えてきたよ…

もう一つの新事実として衝撃的となったれんげとねりねの繋がり
自分を知る為に一歩を踏み出した筈なのに、そうして出会ったのはより己の正体に不安を抱かせる事実
それでも己が何者かを見定める為に前へ進み続けるれんげの勇気は素晴らしいね。彼女が状況を変える発言をするからチームもそれに従って動ける。いつの間にかれんげがチームに中心になっていると判るね
ただ、あのちゃらんぽらんなAIはれんげ達の知りたい真実を何処まで教えてくれるのかな、と信頼性に不安が…(笑)



良い

事前に予想された通り、菖蒲は大喜達の関係を大いに掻き回しそうな印象
恋に軽い彼女は慎重過ぎて奥手な大喜達とは別ベクトルの考え方を持つ。勿論そこでは「付き合ってみたら好きになるかも」なんて大喜が気付いていなかった考え方を提示してくれてはいるが…
大喜達と混ざらない色を持つ彼女の存在はこれまでにない恋の可能性を引き出すもの。けれど可能性である為か彼女とて容易に正しい恋に辿り着けるわけでは無いという点も見えた気がするよ

千夏の好きな人を探る菖蒲は早速勘違い。花恋の嘘を契機に千夏と松岡がお似合いだなんて考え始めてしまう。千夏はそんなシグナル示してないのに
反面、恋多き菖蒲は雛の想いはすぐに見抜いたね。自分の恋をゆっくり育む千夏の恋心は当てられない菖蒲は、自分の恋を自覚する雛の恋心は見事に当ててみせた。そして多くの恋を知る菖蒲は雛という存在がどれだけ貴重かもすぐに判るわけだ
菖蒲の存在は確かに千夏や雛にとって波乱となりえる存在だけど、同時に彼女らでは手の届かない何かを掴み取る可能性を秘めているね

ただ、やはり彼女は全てを当てられる訳ではないという点がネックに成りそうな
王様カードゲームにて必勝法を見抜いたのに、あっさりご破産。だから大喜が引いたのは当たりのようで当たりじゃないカード。ここで好きな人を言うなんて慎重な恋愛をする大喜達らしくない展開
一方で菖蒲が提示した「好きって言ってくれる人が居たら付き合う」という考え方もまだ記憶に新しい筈
大喜が次回に放つ言葉は果たして当たりとなるのか、それとも別の可能性を引き当てるのか。ワクワクしてしまうよ



良い

神話宇宙を訪れた事はこれまで見えなかった様々な事実を提示してくれた…のはその通りなんだけど、自分の理解力が低いためか彼らの主張はよく判らないしサンの台詞も本質が掴めなかったり
それだけに神話宇宙にてサッコ達が一時的に感情を取り戻した単純な事実が際立つような
人の世界では欠けている為に馴染めない事もある彼らが別世界では欠けを埋められた。でも、それはエレメントとして戦う為には間違った埋め方だったようで

事ある毎に怖がるサッコ、ちょっとした触れ合いで顔を赤らめるモモヒメ、仲間と解り合える状況を捨てたくないリミヤ
人の世界では得られなかった欠けた諸々をあのまま育てられれば彼らは代替の難しい貴重な感情を手に入れられる。でも、それは欠けを埋め合う合体をする彼らには不似合いで
欠けという痛みを知りながら、戦う為に改めて感情を欠いたサッコ達がそれでも互いに感情が在った事を覚え続けるという別の形での埋め方をしたのは印象深い展開でしたよ
……まあ、それもイタイ感じの変貌を遂げていたトシの登場で吹き飛んだんだけどさ。トシ、どうしてそっち方面に進んじゃったの…



良い

合同練習の場はまだ見ぬ強敵達と出会う場所に。それは花奈が島で一人朗読していた状態から放送部に入る流れと似ているね。けれど、あの時が放送部という一つの集団に飛び込んだのに対して、今回は複数の学校の部が集う場所に飛び込んだ点はかなり異なるかな
だからか、これまで知らなかった人間関係が露わになるし、花奈も新たな関係を築き上げる
故にその過程で杏が表に出してこなかった問題も出て来てしまうわけだ

牡丹鉾という名前の強烈さが際立つ彼女の実力は確かに一級品だと判るもの。これまで読み上げが披露された花奈や修羅とは異なる読み方だけれど、聴いていて気持ち良いと思えるタイプ
そのような読みが披露されたからこそ、花奈の朗読に指導が入る展開は驚かされつつ納得できるものであるね。花奈の朗読は他者を自分の世界に引き込むタイプ。言い換えれば世界観という演劇的素養で勝負していると言えるかもしれなくて
牡丹鉾の朗読が描かれた事でコンクールで評価される読み方とはどのようなものか?という点が明らかになり、同時に花奈の課題も明確になったように思えるよ

もう一つ表出したのは杏の交友関係と美咲の課題か
杏がアナウンスへと鞍替えする事になった遠因、負けを嫌う杏にとって自分以上の実力を持つ親友なんて向き合うのは難しい。でも、それは杏側の事情でしかないから美咲に杏の理由は伝わらない。そうした不和は美咲の実力を低下されてしまうもの
ただ、それを理由に二人の仲が元通りになるわけではないという点に競技者としての性質を見てしまった気がするよ
互いに相手の実力を尊敬している二人が望むのは昔のように隣り合う事ではなく、競い合える関係に成る事だったのかな。だから杏の拒絶は美咲に実力や上昇志向を取り戻させる
二人の関係は以前とは異なるものになってしまったかもしれない。それでも変わらず二人が持つキーホルダーが二人の今を教えてくれるね



とても良い

前回終盤の流れを見た時は司による「ノーミスなら優勝」との指導がいのりのプレッシャーになるのではないかと不安だったのだけど、あれは別の効能を生み出したようで
演技の中でいのりが実践したのはいわば完成された滑りの再現。司の教えを滑り方に活かし、失敗しそうな局面も司の演技をトレースした
それは現状の最高値から外れない素晴らしい滑り、それがノーミス。故にノーミスより高い景色を目指した絵馬が優勝を掻っ攫うのは当然だったのかもしれない

いのりの演技には何も悪い点なんて無い。いのりと司というバディが作り上げた完成形と判る
対して絵馬の演技はこれまでを超えるもの。いのり・司に対して絵馬・蛇崩間のコミュニケーションが過度に秀でていたとは思わない。けれど、思うように実力を発揮できなかった絵馬を優勝台に立たせようと、不遇なこれまでを卒業させようとする蛇崩の教えや同級の者には難しい構成を組み込む絵馬の気概からは明確に現状以上へ羽ばたこうとする強い意志が感じられた
いのりは絵馬に負けたと云うより、現状の己に負けたと言える

だとしたら、故障から練習中断となった事はいのりに練習以外の時間を与えるものと成るような
練習すれば先行する同年代に追いつけるなんて考えは、これまでの積み重ねから飛翔し優勝を手にした絵馬によって否定された。そもそも他の競技者達だって練習に練習を重ねている
なら、いのりが勝利を手にする為には練習だけじゃきっと足りなくて。銀メダルを前にいのりが新たに掲げた考え方、今回の大会で出会った強者達、またテレビに映り込む高き場所にいる光…
様々を吸収できた今大会、そして練習が制限された時間はいのりに通常の練習では手に入らない何かを手にする期間となりそうだ



良い

猫猫にとってお仕置き部屋がご褒美部屋になってしまうのは上の者からするとドン引きする要素だろうなぁ(笑)
このように通常なら違和感の無い考え方が通じないというのは厄介な話。他の女官からは虫を集めるのなんて猫猫くらいだという発想は猫猫からすると濡れ衣だから何とかせねばと成る。また、子翠の虫って可愛いよね!という盲目的な考えは猫猫を辟易させる
一方で堕胎剤を作る為にわざわざ違和感の有る方法を用いた杏の遣り口は猫猫にとって残された謎となってしまうのか

堕胎剤を用いた杏の発想に違和感はない。けれどキャラバンが持ってきた香を活用する遣り方は堕胎剤の作り方を知る者には違和感ばかり。それは猫猫にまだ見ぬ厄介な黒幕の存在を予感させるもの
同様に皇太后が持ってきた謎掛けは違和感が先走るもの。人は亡くなれば腐り骨と果て土に還る。そうならない存在は通常と異なる死を迎えたのではないかと想像するのは当然というもの
違和感の有る死には違和感の有る呪いを。この謎に違和感の無い真相を猫猫はどのように提示するのだろうね?



普通

前回にて作中の常識や正しさが変容してしまったと感じたけれど、今回は変容した常識が更に捻じ変わってしまった印象ですよ…
怪しさ満点だったサンも新興宗教のような集団も話を聞いてみれば、彼ら彼女らなりの事情があった、背景が有った。それは聞きようによっては彼らの行動にも正義を見ることが出来る。また、神さま扱いされるおじさんも喪失に構わず正義にひた走る人物と改めて知れた
それは視聴者の認識が修正されるような事態であるが為に、作中で進展する修正能力の奪い合いとリンクするかのようだったよ

エレメントを守る修正がされていた状況が弱まり、堕天翅族が知れ渡り始めた。これまで落ち着いていた天秤が一方に揺らぎ始めた状況、完全に天秤が傾けば相手の常識に世界が塗り替わる
逆に言えば、その状況に達していないからエレメント達も揺らぎ続ける事ができると言えるのかな。サッコが持つ好意、戦えなくなるハナ、怪しい目覚めを迎えるトシ…
ここに未だ方向性の見えない前世や、遂に完成したトライアングルが天秤にどう影響するのだろうね?



良い

キスをしたのではないかと思わせる舞台の余波は大きいね。見た者も見てない者も大喜と雛の仲を邪推してしまうのはそれだけあの舞台が恋愛を想起させるものだったからか
大喜は千夏の反応を過剰に気にしてしまうし、雛もこの状況を活かせるだなんて口にする。他の面々も多かれ少なかれ反応する
それだけに渦中に近い場所に居ながら目立った反応を示さない千夏の恋愛観が気になっていたのだけど…
ようやく明かされた千夏の恋愛観、それは彼女という人間性に紐づいたものと感じられたよ

同居人である大喜には読めず、友人の渚も誤解する。そんな千夏の恋愛観を唯一見抜けるのが花恋であるというのは良いな。花恋とて面倒な恋愛をしているタイプだからか、簡単に済ませられない恋愛観を持つ千夏の心を打ち明ける相手と成るのか
花恋が言うように、恋愛なんて個人差が有るもの。千夏の恋愛観が特殊という話ではなく、千夏はそういう人柄であるという話
厄介なのはこの世に存在するのは千夏と大喜だけではないから、千夏がゆったりと花を育てている間にその花を掻っ攫ってしまう者が現れてしまうかもしれない懸念点

そう考えると、突風のように物語に乱入した菖蒲は懸念が現実化した存在か
他者に理解できない脈絡でバド部のマネージャーに就任し、あれよあれよと大喜にボディタッチ。大喜も菖蒲も互いに恋愛感情を向ける事は無さそうだけど、大喜に想いを持つ者が見て気持ちの良い光景ではない
と云うか、軽い恋愛ができる菖蒲はそれこそ何が起きてもおかしくない可能性とてあるかもしれない
雛のように勝ち負けで考えるか、千夏のように見ないフリをしてしまうか。俄に騒がしくなった大喜の周囲で菖蒲はとんだ劇薬と成りそうだ



全体
普通
映像
普通
キャラクター
良い
ストーリー
良い
音楽
普通

TVシリーズにてまことの話がある程度の決着を見ていたとはいえ、ここまでガッツリと咲の話になるとは少し驚き
まこととは違う方向性から自分だけの特別を求めた彼女、そこに至る足掻きは彼女自身の問題に留まらず家族との深い繋がりすら左右するものだから容易な判断を許してくれない。また、そこに咲自身の望みを言えない傾向が拍車を掛けて迷いの打破を難しくしていたね

咲に訪れた難しい進路選択はどちらが正しいという趣旨で選べないもの。父か母か、咲の意志を尊重しているようでいて実態はほぼ無視している二者択一は自分の意志で選ぶ事を不得手とする彼女にとってあまりに難しいもの
また、その選択を容易とさせない要素が彼女は両親の全てを知っている訳では無いという点でもあるね。本当の鯨を知らなかったように、時には父だって仕事よりも自分を優先してくれると知らなかった。母の家を訪れた事が無かったように、現在の母がどのような暮らしをしているかを知らなかった
自分が無知であり、特別と思っていたものが特別ではないと突きつけて来る真実は余計に選択を難しくさせる

そんな咲に対して、これまで寄り添ってきたまことや竜二に何を出来るかと云うと、過度に踏み込んだりしなかったのは印象的。というか、ここでも咲の自分の意志を発揮し辛い素質が助けを求められない状態へと押し固めてしまう
打開策は咲自身が見出すしか無いのか、と危惧していた辺りで彼女の友人である佳奈子や美代が咲の悩みを引き出す展開は想像の外からやって来るような展開だったかも。あの二人って咲の友人として前々から登場していたけど、まことや竜二との接点が無いから物語への絡みがなかった。マイノリティを扱う本作にて、そういった要素も接点もない彼女らがこれまで重要な役どころを担う事もなかっただけに私の中での印象も薄かったのだけど、彼女らって実は咲の祖母に次ぐくらいの距離感で咲を見続けてきた人間と言えるんだよね
だから咲から本心を引き出すには強引にでも踏み込まなければならないと判っていたんだろうなぁ…。ただ、その後の解決策まで強引だったのはすげぇ…となってしまったが

こう書くと、自力で決断できなかった咲に落ち度が有ったように思えてしまうけれど、そもそも体調面に不安のある祖母と二人暮らしをしている少女に突然、父か母か?なんて選択を突きつける周囲の大人の方が可怪しい
母親の無理解に直面していたまことが、親と向き合い直す事で事態打開を図れたのが珍しいくらいの話で
けど、まことだって最初からそのような力が有ったわけじゃなくて、咲と接する中で又は竜二と衝突する中で身につけた力。ならば咲だってまことや竜二と接する中で手に入るかもしれない
その為に必要だったのが恋敵のような竜二と何でもない時間を過ごす事で、まことの告白を受け止める事で。彼女にとって家族の問題を乗り越える事とまことや竜二とどのような関係を築きたいかという将来は繋がった進路選択だったと言えるのだろうね

二者択一の選択肢から自分が望んだ道を選び取った咲の笑顔はとても朗らかなものでしたよ
また、星を見上げに行ったのに曇り空でも何だかんだ楽しい思い出になるし、その後に続く晴れの日を期待できる恋人や友人が隣に居る3人の様子にはこちらまで温かな気持ちとなれるラストでしたよ



良い

冒頭で演じられた修羅の朗読は未熟な花奈や杏が求める完成形に近いものだったのかな。だからか、それまで充分だと無意識下で思っていた己の慢心に気付ける
満足しているなら完成と言える。けれど不満足を覚えるなら、それは少しでも完成していない。花奈が修羅の舞台を見て、冬賀が花奈の演技を見て、直面した完成形はそれぞれに不満足を覚えさせるものとなったようで

花奈の不満足は個人としての向上心が主となるから気持ちが良い。川辺りで決意を叫んだように、その不満足にはどこか美しさがある
対して冬賀の不満足は集団活動において不協和音を齎すものだね。ドラマ作りを始める際に指摘されたように、こだわれば終わりがない。けれど締め切りを目前に控えた中でも、不満足だから作り直したいなんて言うのはとんでもない我儘なわけだ

折衷案は提示されたものの、冬賀の不満足が集団において我儘である点は変わりない
それだけに自己主張が弱い箱山が彼を羨ましがり褒めて、その上で彼の根底を知って向上策を授けるのは少し意外だったかも
箱山にも不満足はある。だからと羨ましい冬賀を完成形と思わずに寄り添う対象としたのは良かったな
箱山がそう接してくれたから、かつては部員と対立した彼も集団の中で満足いく音へと辿り着けた

冬賀が言うピアノは普通、それを物足りないとの意味に解釈すれば、インスピレーションを求めて街を彷徨う時点で間違いだったのかも
彼に必要だったのは集団で得られる完成形、いわばたった一つの楽器から鳴る音ではなく人の声も環境音も奏で合うシンフォニー
それはもしかしたら部活動では当たり前で普通かもしれない遣り方。そうして満足いくものを作り上げられたなら、冬賀にとって、そして放送部にとってもあのドラマは完成形に至ったと言えるのだろうね



良い

バッグ紛失という重大事にどう対処するかと思えば司の体力が無双してた…凄い……
失敗が明確化された今回の事態はいのりだけでなくのぞみにも反省を意識させるものに。けど、そのような後ろ向きな心に飲まれること無く、今自分に出来る事を!と意識し直すのは良いね
失敗への対処を司に一任した形になったからこそ、司に託した二人は自分の役割に集中できた。人は相互に影響するものだからこそ、いのりを出場させる為の司の頑張りがいのり達に返ってきた訳だ

ただ、相互の影響と言えば聞こえは良いけれど、同量の影響を与え合えるとは限らない
いのり個人の失敗に対して司が無理をした為に、いのりは必要以上に気負ってしまったような。勿論、その気負いが勝ちへの執着に繋がっていると感じられる。けど、蛇崩が言うように大人が醸す雰囲気に拠る影響は時に大人が思う以上に子供への影響を生じさせる
だから、スケート選手と褒め称えつつ子供でしか無い彼女らに対してコーチは適切な距離感での指導が求められるのだろうね

だとしたら、23点台が連発する状況で「ノーミスなら優勝」と伝える司の指導はどうなのだろうね……
司の言葉に在るのはいのりへの信頼。だから彼女の指導を始めたわけだし、今回も汗だくになる程に走った。いのりからの影響が司に全幅の信頼により成立する指導を行わせている
ならば、そのような指導をバッグ紛失という失敗の直後に受けたいのりは司からどのよう影響を受けたと言えて、そしてどのように滑りへ反映されるのだろうかと少し不安になってしまう…



良い

選択肢が複数存在しているようで居て特定の者には限られた選択肢しか見えない面白い廟が舞台となった今回。話の方向性も選択肢の多寡に関わるものとなったような
小蘭が通う手習い所も下女に将来の選択肢を増やそうとするものだけど、まずはあそこに通う選択をしなければ将来は増えはしない。そもそも後宮に居る時点で将来の選択肢を増やそうなんて発想は難しい。だから、壬氏は娯楽小説の流布をしたわけだし
そう思えば王の選定に関わる廟は誰を招き寄せようとしていたのかという話になるのか

帝は既に廟を通った事がある人間だから彼が再び選択を行っても結果は変わらない
他の人間に拠る選択が必要とされて、その対象に猫猫が選ばれたのは興味深いね。それで居ながら猫猫が真相を掴んだ際、彼女は壬氏に選ばれて通ったと云う形を取っている
それは帝として選択されるべきは誰なのかを間接的に示しているかのよう

廟の仕掛けは面白いね。自分の意志で選んだ者は正解を掴めない、選ばされた者だけが正解に辿り着く。それは王母等が仕込んだ罠、伝統に従い続ける限りは後継者は誰かが望んだ通りに選ばれ続け、長大な乗っ取り計画を成就させる
他者の選択肢を限る事で望んだ通りに動かす。それは数ある選択肢に己の利に則したものが存在するから
だとしたら、猫猫に自分の正体を明かす選択を取れず、また猫猫の方も壬氏の正体を知る選択をしない現状は誰にとって得と成り得て、損と成り得る可能性を秘めているのだろうね?また、二人が選択を行うのはどのような時となるのだろうか?



普通

初回からほんのりと見えていた現実の変容が此処に至り恐ろしさすら覚える規模となってきたね
エレメント達の前世、オカルトと新興宗教が入り混じる駅前、そして仲間として加えられたサンの異質…
少しずつ広まるからあまり気に留めて居なかったそれらは一旦在ると認識してしまえば存在を無視できなくなる。それこそがサッコ達にとって堕天翅族よりも侵食と呼ぶに相応しいものだったのかもしれない

第一話から登場しつつもやべぇ人としか認識されていなかったビラ配りのおじさん
けれど此処に来て更にヤバそうな集団が現れ、反比例しておじさんが冷静に物事を見つつエレメント達の知る真実の一端を語るものだから彼への信頼が上がる面白い構図
また当初は無機物的な見た目だった堕天翅族が人語を話し人の形を取るものだから、エレメント達の戦いも正体不明の敵を倒すというより生存圏の奪い合いをしているような錯覚に陥る。結果、あのハナが堕天翅族相手に「殺す」なんて表現を使った上で戦えなくなるなんてね……

そして現実の変容が最も起きたのはサッコか
これまでサッコ達に起きる異変は堕天翅族に拠るものばかりだったけれど学内で生徒がサンがしているのは全くの別種。また、正体が見えないだけに彼も彼によって起きる変容も理解が難しい
そのようにサンへの理解を難しくする展開が続いたと思ったら、ラストにサッコはトンデモ発言をしてみせたね!いや、まあアクエリオンシリーズだからこういう要素が有るのは少し納得なんだけど、それにしては唐突!
ただ、気になるのは前世シーンにて彼の前世に相当する人物が見当たらない気がするのだけど、一万二千年前から現在までで彼らにどのような変容が挟まっているのだろうか?



とても良い

大喜は突然の演技で雛相手にキャパオーバー気味。けど、所詮は演技だから何をしようと偽物。そこまで気にする必要はないのかもしれない
ただ、クラスメイト達は少しでも真に迫る舞台にしようと、例えば王子の出番を早める等の演出をしている。素晴らしい美術や装飾も同様
だから見る者や関わる者には偽物の筈が本物を模しているなんて受け止められてしまう。いわば友達を恋人に思いかねない状況であれを見せられた千夏は何を思ったのだろうね……

大喜がテンパってしまうのは突然の代役というのもそうだし、友達相手にキスシーンを演じなければならないから。練習時の雛を思い起こしてしまう大喜は偽と真、友達と恋人の境界が揺らぎそうになる
対して雛は流石だね。大喜相手である為に思う処は有るだろうに舞台の成功や大喜の想いを優先して「親友として」なんて言ってしまう
彼女は大喜に恋しているけれど、友達と恋人の境界は揺らいでいない。だからか、彼女の言葉を受けて大喜も舞台への迷いが消えたのだろうね

けれど、親友として偽のままで居られるのは演技中だからで
事故により表出する大喜と雛の関係。それは真に迫るものだから、実際にキスしていなかったとしても、見た者には付き合っていると認識されてしまう。千夏も見た光景から意味を汲み取ってしまう
でも、大喜も雛も親友としてあの舞台に立ったわけで…。それだけに恋人疑惑を否定するのは当然かもしれないけど、大喜に好かれたいと思っている雛にとっては嫌な問答だったろうな……

大喜なりに不満の残る終わり方となってしまった劇、匡相手だから言える愚痴
だからこそ、匡の側も特別な立場として大喜に突っ込んでくれたのは良かったな。ただ、現段階での大喜の答えは揺らがないが、揺らぎの無い答えを返す事で自分の感情を偽から真へと揺り動かないようにしているようにも感じられたけど…
また、大喜が揺らがなかったとしてもあの劇を経た雛や千夏の中に有る友達・恋人の定義が揺らいでしまう事も有り得るような
3人の関係はより危ういバランスとなった。そう考えるならば、ここに来て恋愛観について一端の意見を持つ菖蒲の登場は3人に何を齎すのかな?



普通

今回は此処にいる理由を問い直すような話となった印象。まあ、それで済ませるにしては途中で明かされた秘密がどデカ過ぎたけど
れんげは自分の事情だからと皆に話さず一人で旅立った。でも、そのような旅ははれんげが望んだ旅や在り方ではないから、寂しさは彼女の空腹をより空虚なものとする
同様に寂しさを覚えたからこそ、えりか達がれんげを追って来る構図は王道的ながら良いものだね

すずらんと再会したれんげは、記憶が戻らないままでも姉としての格好を取り戻すね。けれど、そこで知らされたのは自分が死者である可能性。死者であるならば生者のように此処に居るのは正しくない
だからといって、すずらんの前から去るを良しとせず、妹である彼女を守る為に戦うという記憶を失う前と同じ理由で戦場に立つ彼女は、記憶が無くなっても存在理由が変わっていないのだと感じられたよ

同様に変わっていないのがえりか達だね
れんげが自分の事情だからと突き放しても、彼女らは同じチームだからと追ってきた。彼女達の仲は変わらない、れんげと一緒に居る理由が自分達にはあるのだと主張してくれる
一旦は別れてしまうかと思われた友達の輪が再び一つの枠に収まる様子には安心させられるね
ただ、気になるのは死者が蘇るかもしれない可能性。これ、下手したらゆりも蘇る展開があるんじゃなかろうか……



とても良い

秋山にフォーカスされた今回はドラマ撮影を通して彼の心情を間接的に描きつつ、姉との会話シーンへ集約される良い作りとなっていたね
親の言いなりに成りつつ見えない部分で親の思惑から脱し、花奈と違い好きなものは無いといいつつ花奈と同じように他者に自分を認めさせたいと思っている
幾つもの矛盾を抱える彼はどのような人間なのか、そして彼は何と戦っているのか?容易に本心を明かさない秋山を丁寧に描いた回だと思えたよ

秋山が書き上げたのは己と姉をモデルにした話とすれば印象深いのは、詩人になりたいと言う紬に対する台詞の違いだね
脚本段階では後押ししているようで熱量は曖昧な台詞、けれど真に迫る花奈の詩を聞いて心から生じた感想を発しつつ強く後押しする台詞に。「そう言ってあげたかった」との発言や姉を前にした際の発言からすると、当時は姉の挑戦を応援したい気持ちと姉だけが道を変える選択に納得できない気持ちの矛盾する感情が見えてくる
それを脚本に反映していたのは気持ちの整理が出来ていないからか。姉の通知に反応出来なかったのも同様
そのような脚本を書いたのは、矛盾する感情と戦っていたからなのかな…

傾向を変えられたのは花奈が朗読した事で詩の魅力に改めて気付けたのかな。その瞬間に彼の中で矛盾が氷塊し、純粋に姉を応援したい気持ちが前面に出て、矛盾する感情と戦うのではなく上手く折り合う方針へと舵を切れたのかもしれない
そもそも納得し難い何かがあったとしても、戦う選択ばかりが望ましいとも言えなくて
判り易いシーンは撮影を邪魔する吹奏楽の音か。瑞希は敵だと言っているが、だからと演奏を止めさせようとはしない。冬賀も休憩の合間を縫って撮影しようとする
敵は敵かもしれないが、戦うより折り合う方が良い
今回の秋山は徐々にその傾向が強まる様子が見えるね。主役を宛てられても、演技の挑発をされても戦うのではなく折り合う事でより良いドラマ撮影へと進められた

そうした変化が彼の中で纏まった成長となったからか、矛盾した感情を向けていた姉と再会でき、更には苦手だろう己の心情を吐露する行為へと繋がったのだろうね
主役を宛てられた際や姉を前にした際の仕草からすると、秋山は緊張した瞬間に手が強張ってしまうタイプなのかな?だとすると、以前放送部に入った理由を説明した際の仕草も同傾向のものだったのかもしれない
何はともあれ、秋山は姉や己の感情と和解できた。そのタイミングで現れるのは秋山が天才と褒めた姉が天才と認めた修羅を名に持つ少女
杏は敵だと息巻くけれど、果たして修羅と戦おうとする事は杏や花奈に何を齎すのだろうね?



良い


とても良い

前回に続き、明確に司とへスポットを当てた回となっているね
実際に滑るのはいのりなのだから彼女の挑戦を中心に見たくなってしまうが、前回にて示されたように彼も遅い挑戦から藻掻き続けて初めての担当生徒であるいのりと向き合っている身
いのりからは頼もしく見えても彼の内面は「これで正しいのか?」と疑問が渦巻いている。だからか、いのりが光や涼佳の出会いにより触発されたように、司も夜鷹や蛇崩との出会いが彼を奮起させるわけだ

一度は出来たジャンプが何故か出来なくなってしまう。スランプ気味のいのりに対して司が求めるのはタブレットでの撮影や蛇崩からのアドバイス。それは間接的に彼の自身の無さ、何がいのりに相応しい言葉か見つけられなくなっていると取れる
そんな指導の下ではいのりは益々不安が満ちてしまうし、そんないのりを前に司も袋小路に入ってしまう
ただ、ここで迷って終わりではなく、自分がいのりを育てるように、いのりに自分は育てられていると気付ける彼の着眼点は素晴らしいもの

先輩コーチである蛇崩は司の先を行く人物。いのりが絵馬のジャンプに感心を覚えたように、司は蛇崩の指導に感心を覚えられると思っている。だから彼のアドバイスを求めた
だというのに彼を前にした時に司が口にしたのは適切な改善点。つまり、彼に指導者人生の中で身に付けるべきは正しい指導法というより、自分の指導を信じる力となるのか
これまではシングルを指導する上では足を引っ張る経歴と思っていたアイスダンスで得た経験がシングルを指導する強みと知れたのは良かったね

司が一つの壁を超える見込みを手にした他方でいのりは新たなライバルと邂逅、初級の大会が終わり1級と成った事で見える世界が広がった形だね
出来る事が増える度、成果を積み上げる度にいのりが立ち向かわなければならない課題は増えていく
だとしたら、大会という大事な場面でキャリーバッグを紛失する冷や汗ものの失敗とて彼女の成長に必要な壁と言えるのかもしれないね



良い

医官以外は薬を作ってはならないという掟破りを知られた猫猫は秘密を握られた形。類似の構図で壬氏の命令に従う運びとなったように深緑の頼みは猫猫に行動理由を与えるものとなるね
けれど、下女としての猫猫以前に、薬師としての猫猫の行動原理は病人の救済。深緑の頼みが感染症絡みなら断る理由もない。壬氏という上下関係とは別の構図から猫猫に依頼が入る事で彼女が何を許せないのかという点が改めて描かれた気がするよ

幾ら怪しさ満点とは言え、上級妃の侍女頭を罰するなんて下女には不可能。しらばっくれられたら壬氏でさえも追求は難しいかもしれない
それでも猫猫が踏み込んだのは下女の命を軽んずる杏の言動を許せないからか
けれど、猫猫では杏を罰せられない。出来るのは彼女が軽んじるものを真に大切に想う者だけ。あの梨花妃が自らの手を使って杏を罰する場面からは彼女の成長や変化を感じてしまいましたよ
もう子を害されても何も出来ない母親では無くなったようで

事件そのものは気持ち良く解決されたが杏がどのようにして堕胎剤の事を知ったかは明らかにされず。またもや小さな謎が残ってしまった形
幾ら真相を推理しても後宮に巣食う悪意はなくならず。そう思ってしまうからこそ、同僚の無事を願って小さな抵抗をしていた下女の優しさが目に留まるラストに思えたよ



良い

愛しているから殺したくなる、なんてハナの人間性は突飛が過ぎて彼女を真っ当だと認識するのを難しくさせる
だから一瞬忘れてしまいそうになるのが彼女は姉を亡くしたばかりの女の子であるという点。また、他のエレメントのように欠けた感情に悩んでいると考えれば、彼女もサッコ達と同じく悩む少年少女であるのだと見えてくる
ハナに対してすらそう思える状況な為か、悩みや欠けが全く見えないサンが不気味過ぎるが……

サンの語る内容は意味不明。後々意味を持ってくるような気もするが、現状では彼と対話を繰り返しても見える事はあまり無い
ならばマシと言えるのはハナとの対話。それを真っ先に行っているのはモモヒメか。殺されかけている彼女はそれだけハナから感情を向けられていると言えるからモモヒメが最も彼女を知る最前線に居る、ハナに憎しみが欠けていると知れる
欠けが見えれば、サッコ達も彼女への理解が進むわけだ

次はサッコがハナを理解する番であり、自分が戦う理由を理解し直す番とも言えるのかな
そのような工程はハナにも戦う理由を身に着けさせるものとなったようで
そんなハナが初戦闘でいきなり合体して敵まで倒すなんて流石だね。ただ、一旦は逃げ出してしまったわけだから、彼女が一人で戦える訳じゃない。それはサッコ達も同様
互いに欠けを持つ少年少女がアクエリオンを通して欠けを埋め合い強大な敵を倒す構図がより明確となったように思えるよ
…それにしても、アクエリオンがキスして敵を倒す必殺技って何だよ…って気持ちも芽生えてしまったんだけどさ(笑)



とても良い

文化祭特有の空気感が瑞々しさを以て描かれているね
その中では雛は常とは異なる姿となるし、大喜もいつにない反応を見せる
雛周りで何かが起きそうと思わせるのは、両者が普段と全く異なる事をしているから。いつもの雛とはギャップ有る姿はいつになく大喜を照れさせる。だから何か起きそうと思わせる
けれど、今回は大喜と千夏の方が文化祭特有の空気感を醸していたような

文化祭当日でも自主練をする大喜と千夏は通常営業。その動作に垣間見えるはしゃぎようから2人も今日という日を特別に過ごしたいのだという想いが見えはするが…。これは雛との関係のように何かが起きると安直に思える状況というより、自らの意思で何かを起こせる状況といった印象
文化祭でライブを一緒に見に行こうなんて、さり気なく言えばそりゃさり気ない約束。けど、その瞬間に千夏がシュートを外していた事から彼女の心に小さな動揺が有った点が見て取れる。だからこそ、直後の安心した表情が言葉に現れない多くを物語ってくれる

本人達が何を起こしたいかが鍵になるから、千夏が遅れた状況は起こるべき何かが起きなかったではなく幻や勘違いで大喜は済ませようとしてしまう
でも、千夏は息を切らしてあの場に駆けつけたわけで。そう思えば、彼女が演奏中に大喜を誘った理由を明かそうとしたのも彼女なりに大喜へと伝えたい何かがあったのだろうと推測してしまうね
ただし、言葉は音として伝わることはなく。千夏の勇気が途切れたのか、真相が明かされずに焦らされる結果となったのはもどかしい心境と成ってしまうな

にいなの予想、西田の占い…。そうした前フリを経て発生するのは王子役の代役ですか
大喜ってこういう部分での器用さってあまりイメージに無いし、大喜相手だと雛も何処まで演技できるやら怪しい気もするが…
また、今回アオハルな雰囲気を醸し出していた千夏が大喜と雛のキスシーンを見てどのような反応を示すかもちょっと恐ろしい気がしてしまうよ…



普通

他の生存者との接触はえりか達に過去との繋がりを持たせる事になったようで
生きてるなんて思っていなかった友達や家族との再会は彼女らにとって喜ばしいもの。再会の喜びが大きくなるのは相手を過去から知っているからこそ
逆に言えば、記憶も過去も無いれんげにとって懐かしい相手などそもそも居ないというのは悲しいね…。れんげとえりか達は友達になった、そうなれた筈だった。けど、過去からの連なりが異なる為に両者は完全に分かたれてしまったね

その過程でしとろんと会話量が増えるのは、ちょっと意外だったかも
出会ったばかりの彼女もえりか達との過去を持たない人物だからか誰と誰が再会したという話も彼女には関係ない
彼女は彼女であそこに辿り着くまでの過去を、大量の墓を見詰めている。そのように異なる過去を見ている彼女だから示せるのが、れんげの過去に繋がるかもしれないヒントか
えりか達は既に過去を見つけた。だからこそ巻き込む理由が無いれんげの過去探し。このような独断行動は過去がどうのというのとは別の理由での連なりをれんげとえりか達に持たせるものになりそうな予感



良い

杏と秋山は似たタイプかと思っていたけれど、彼の生活の一端が描かれた事で秋山は杏と全く異なる環境に身を置いているのだと知れたね
杏は勝ちを目指す衝動を持っているが故に適正に沿って希望を変えた。対して秋山はそもそも衝動を持っているかさえあやふや。見えるのは彼が親の指導範囲に囚われているという点。ただ、そうなってくると何故放送部に在籍しているのかが判らなくなってくる
彼の心情を探る上で花奈との対比と相似が見える回だと思えたよ

冬賀の主張に現れるように、花奈の決断に現れるように自分の好きを大切にする2人は衝動に従って道を決めている。また、箱山は人に道を強いられながらも、その中で自分の好きを貫こうと努力しているね
そんな3人の遣り方は未熟な部分があるから指導が必要になる。そう考えると吉祥寺の指導は凄まじいものだったね。正直、彼の事は少々信頼できないと思っていたのだけど、Nコンで勝ち抜く方法を示しつつも部員達が志向する遣り方を尊重する指導法には感銘を受けてしまったよ
まあ、吉祥寺がその様子だからこそ、秋山父の酷さが目に付くのだけど

秋山が花奈を取材しようと思ったのは何故だろうね?前回の台詞を聞く限り、好きが明確な花奈と好きを持たないかのような秋山はタイプが異なるように思える。けど、異なるからこそ彼女を知りたくなったのだろうか?
朗読会を主催する花奈と親の方針で動く秋山、両者は異なる遣り方に身を任せているように見えて、「認められたい」という面では共通項が存在した。それは親の方針に従う秋山とて、花奈のように自らの内から湧き出す衝動を持っているのではないか、それの活かし方さえ判れば花奈のように好きの衝動に従って動けるようになるのではないかと示唆するものだね
だとすれば、花奈が親の望みではなく自分の望みとして続けてきた朗読会を秋山が見た事でどのような欲を呼び覚ますのだろうね?



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