人間の実在証明を水着動画によって行おうとするとか、こんな光景を哲学者が見たらどう思うのやら(笑)
頓珍漢すぎる状況はさておき、れんげ達がやろうとしたのは自分達が血の通った人間であると証明する事。その為に水着という要素が適切だったかは微妙だけれど、あまりに考えなしな光景だからこそ、自分は此処に居るという証明へと繋がったのかな?
人間と証明する為に彼女らはそれぞれの得意分野を動画に残そうとするね。そこには彼女達らしさが詰まっている
けど、一人一人が撮った動画で決定的な証明と成り得ないのは、それが個別に撮られたものである為かな
実在証明であるならば、自分は此処に居たと証明しなければいけない。単純な動画ならフェイクで作り出せる世の中で実在を示すには、やはり知っている者同士で映り合うのが一番
実在証明には今居る5人だけでなく、ゆりの実在証明も関わってくる
特にれんげがえりか達と仲良く成れたのはゆりが存在したから。れんげ達5人で撮る動画にはゆりがそこに居たのだという間接的な証明にもなるのかな
どうやら次回ではあの世界で生き残った他の少女達に出会う事になるようで。その中でゆりが生きていた証はどのように作用してくるのだろうね
その人がもう一人存在するかのように錯覚させる美しい姿見。けど、実際は別の姿を隠しているだけかも知れず…
今回の話はそれと同じく整った鏡面の裏に何が隠されているかを探るかのような話となったね
高順が持ってきた謎解きは象徴的。表面だけ聞けば密室トリックっぽい話だが、裏面を覗き込めばきな臭さが垣間見える。けれど、面倒事に首を突っ込まない猫猫だから裏に言及しないだろうと信頼され、取り繕った表向きの謎だけを話されたのだろうね
他方で壬氏は厄介な謎解きの最中のようで
遠方から来た女性大使が望むのは無理難題。50年前に美人だった人物を連れて来いなんて無茶にも程が有る。代わりの美人を用立てるのも難しい
ここにも美人を用意する表の難題と何故そんな要求を?という裏の謎が両立している。また、50年前に舞ったやり手婆もどう成功させるかという表の難題、何故そこまで評価されたのかという裏の謎に直面した
大使がどのような思惑を隠しているかは曖昧なままだから姿も映らない。ただ、猫猫に課せられたのは表の謎解きだけな訳で
猫猫ってば、凄まじい解決策を用意しようとしてる…(笑)
そうか、合体によって互いの欠けを補い合う構図と受け取っていたけど、むしろ互いの欠けを補い合えた状態だからこそ、アクエリオンでの合体が意味を持ってくるのか
流れ込んできた気持ち悪さを伴うマナによってギクシャクしてしまったリミヤとモモヒメ。普通ならそこで距離を置こうとしたって可怪しくないのに、二人は互いを求めた。リミヤはモモヒメの名前を手繰り、モモヒメは彼をデートに誘う
欠けた感情という存在しないものを探る工程は己だけでなく相手をも知る工程となったようで
デートの場所に水族館を選んだモモヒメ、理由は自分が来た事がなかったから。対してリミヤは女子と何度か来ている
その点を恋愛的に見れば、どちらも恋愛感情との相性が悪い来た事がないし、来ても発展しなかったと言える。ならば、そんな2人が水族館に来たって得られる感情が恋愛の訳がなくて
だからって「お姉様」は完全に予想外だったけど。おまけにアクエリオンでハートマーク作ってるし。ただ、これによってリミヤもモモヒメも互いの欠けに納得を得られたのかな
色々とトンチキな展開が多くなってきたけど、これこそアクエリオンって感じがするよ
実力は上がっている筈なのに満足できない大喜の焦りを中心として、現状より更に上を目指そうとする者達が描かれたね
その感覚を向上心として無条件に肯定的な描き方をするのではなく、ネガティブな感情さえも醸し出す焦燥感を思春期特有と表現する事は不適切。そこにはライバルに勝ちたいという競技者として業が見えた気がするよ
焦るあまり褒め言葉も正しく届かない大喜を、似たような焦燥感を経験し今も渦中にいる針生が先達らしく見守っているね
ここで物語を複層的に見せてくれるのは針生が大喜の現状を理解していても、彼の蟠りを解消する為に積極的に絡む事は無い点だね
針生とて焦燥感の中に居る。ただ、付き合い方が上手いから大喜のように砂漠を無闇に歩き続けたりしないだけ。彼とて藻掻き続けている。簡単に苦悩から解放される事はないと知っているだけ
一方で気持ち良い心情で上を目指しているのが雛かな
千夏に告白を報告する行為は大喜と千夏が同居している状況への焦燥感に基づくものだろうけど、現状の千夏は大樹と同居していない。それは大喜との関係を進めたい雛にとって道が開かれていると教えるもの
競技者としての業ではなく恋する乙女としての業だからか、雛のそれは大喜達と比べて気持ちが良い。特に目覚めるシーンの練習風景は良かったな
雛としてはどのように演技したら良いか判らないのは事実。だから、どのような心情かと想像を働かせる。そうすれば想い人とのキスを想像してしまう。ここで大喜にも多少の想像をさせたという点において、雛は大きなリードを取れたと言えるのかな
他方で気になるのは千夏か
確信的な恋心を抱いている訳ではないだろうけど、自身の狡さと直面せざるを得ない千夏の現状は大喜と少し距離が出来ている。そこに現れた雛は明らかに恋する乙女の表情をしている
競技者としてバスケとの向き合い方に悩みつつ、恋を予感させる中で大喜や雛と向き合いつつ…
そんな千夏の中にはどのような焦燥感が渦巻いているのだろうね
競技的な朗読との向き合い方に悩む花奈の姿が引き続き描かれるね
杏は自分の声に合う課題を選ぶという吉祥寺と似た正解を手繰り寄せる考え方。瑞希が課題図書を読む内に好きになったのとは対称的
朗読が好きなのであって、課題の内どれかの本が好きというわけではない花奈にとって課題の選び方は難しい
それだけに変態的な趣味によって課題や好きを絞っている良子の在り方は刺激的だったんじゃなかろうか。色々な意味で
今回のメインはお昼の校内放送か。活動初期からNコンの話が出たから色々常識が壊されたけど、放送部と言えばこちらの活動の方が判り易い
ただし、一人で朗読する事は得意でも、誰かとの会話を第三者に聞かせる経験なんて無いだろう花奈にとっては難しい活動。眼の前の瑞希のように喋れなかった経験は失敗として刻み込まれてしまうもの
競技的な朗読を知り拒否感を覚えた時と違い、失敗した校内放送への拒否感を覚えず、むしろ瑞希達のように成りたいと考えられた花奈は早くも良い兆しが見えるね。それは微かでも競技的精神だろうから
ならば、次の競技の際には勝てるようにレベルアップを行う。そのヒントが未唯子との会話の中にあり、そして彼女と友達と成れていたと知れたのは大きいね
喋りのヒントは人との会話の中に在り。だから良子との会話も花奈にとって校内放送と向き合うヒントとなる。また、それだけでなく自分が何を好きかを前提に課題を選ぶ良子の姿勢も花奈には貴重なヒントと成ったような
失敗した校内放送へと頑張って再挑戦して。「学校生活には慣れましたか?」の質問に「はい」と応えられ、今後の楽しみを語れた彼女は確かな成長を遂げられたように思えるよ
壬氏に指示され行ったキノコ採取が意外な事件の真相に結びついていく流れは本作らしくて良いね
おぞましい死体の上で傘を広げる珍しいキノコ。それは猫猫が想起したように、穏やかな後宮の裏では女達の嫉妬や執念が渦巻いている現状を暗喩しているかのよう
それを腕に様々な痕を隠し持つ猫猫が探り当てる構図は、人に見せられない醜さを持つ彼女だからこそ見出だせる真実があると言わんばかり
キノコの特性から普通の死ではないと推理された静妃は後宮の暗い部分を象徴するかのような人物。性格は気難しく、他者を害し、毒を持ったのではないかと疑われる。そんな人物だから自身に痣が出た原因も毒だなんて邪推される
けれど、猫猫はそんな憶測に惑わされずに真相へと至ったね。物証とキノコの症状から正しく隠された静妃の遺骸を見つけ出した
ただし、憶測に惑わされないという事は憶測だけで行動できるタイプでもないとも示していて
その点は壬氏が猫猫の足りない部分を補っているね。彼の指示で動くから猫猫は必要な憶測だけを推理すれば良かった。壬氏と猫猫の組み合わせは後宮の暗部を探り当てるのに最適
だからか、猫猫が隠したいものまで掘り起こされてしまったようで。死体から生えたキノコに心躍らせる猫猫を見る壬氏達の視線がそりゃもうやべぇ奴を見る視線となっていて笑ってしまったよ
サヨは本当に死んでしまい、エレメントは早くも欠けてしまった。合体によって互いの欠けを埋め合うサッコ達の前に新たな仲間として加わるはモモヒメですか
彼女は遅れて真相を知った為か、欠けた自分の認識を埋める為に懸命にサッコ達への接触を繰り返すね
そんな行動がサッコ達に欠けていた認識を手に入れさせる事に繋がり、同時に1万2千年前との繋がりさえ見え始める展開は新機軸を感じさせるね
エレメントは何かしら欠けているらしいけど、優等生でパーフェクトなモモヒメの欠けている面は見当たらない
むしろチームワークやら諸々に欠けているサッコ達の不足すら埋めてくれているかのよう。怖い物知らずなサッコに度々注意するのも彼の欠けを埋めようとしているかのようだし
それもあってか、彼女は誰よりもサヨの死を正統に悲しんでいると受け取れる
現状ではサッコよりもモモヒメの方が主人公属性が強いように思える。練習でも初出撃でも問題なくマシンを操作できてるし。だからこそ彼女の欠けは何なのかが気になってしまう
合体によって互いの欠けを埋め合わせる。ならば合体の影響により不快感を覚えたモモヒメ、それにショックを受けたリミヤそれぞれにはどんな感情が流れ込んできたのだろうね?
それはもしかしてエレメントにとって感情が欠けている状態こそ安定しているなんて可能性もあるのだろうか?
大喜にとって千夏が家に居る状況は異質なものだったはず。でも、いつの間にかそれこそ日常と成っていたのは驚きでありつつ納得
当たり前のように傍に有ったものが無くなってしまうと改めて尊さを感じてしまう。大喜は千夏との同居が一時的に解消された事で現状がどれだけ恵まれたものであり、千夏とお近づきに成れたのかを再認識したようで
一方で雛の方も日常生活と異なる文化祭へ向けた時間が始まった事で大喜への意識に少しの変動が有ったような…
同居解消の少し前、並んで座り同じクラスな自分達を空想する大喜と千夏の姿は微笑ましい
それはもし同じクラスだったならこんなにも楽しい日々を過ごせていたのだと想像する行為。現状の関係も2人は楽しいと思っているだろうけど、もっと楽しい生活も在り得たのだと考えている。そのように捉える時点で大喜だけでなく千夏も、この相手と共に過ごす時間に満足感を覚えているのだと察せられるね
だから同居解消と知れば大喜が驚くのは当然として、千夏も少し驚きを隠せない表情をしてしまう
同居していない状態での大喜と千夏の関係は以前通りにネット越し。また、大喜が考えるようにいずれ同居は完全解消される。やはり今の時間が特異な程に尊いだけ
だからか、家でばったり会えた時に嬉しくなってしまうし、朝練で共に過ごせるようにと大喜も千夏も期待して学校へ向かってしまう
そんな状態だから昼間の学校で普通に会える時間も尊くなって会話も弾んでしまうと
雛は雛で文化祭へ向けた日々の中で別種の頑張りを求められて苦戦中。ただ、同じように別種の頑張りを求められながら問題なくこなしてクラスメイトからの評価も上がる大喜を見て嬉しそうな。彼女は彼女で現状の尊さを感じ入っているのかな
でも、雛のそれは大喜と千夏が結ばれていないから成立するもので
自身を狡いのかと気に掛ける千夏に大きく踏み込んだ雛の言動は現状をどう変えてしまうのだろうね?
制服を身に纏う彼女達だから学校で過ごすの本来は普通の光景。けれども人が居なくなった異常な世界は彼女達を普通からずらしていたような
というか、状況だけでなく彼女らが持つ属性がああして学校で共に居る歪さを教えてくれるね
ひなげしは学校に行っていなかったし、れんげは学校に行った記憶が無い。学校生活に関する記憶を共有しているのはあの面子の中でさざんかとあやめだけだったのかな
それもあって、今回は2人の関係を深掘りする話となったね
どうやらさざんかとあやめは最初から仲良しという訳では無かったようで。普通の学校生活では仲良しになれなかった2人が異常事態になってから仲を深めたというのは奇妙ながらも面白い
また、小学校の頃と中学校の頃の在り方が逆転したというのも面白いね。さざんかはあやめを見習って人と関わるようになった。対してあやめはさざんかに成ったかのように人から遠ざかった
その在り方は逆というより互いを追いかけていたのではないかと思えてしまう。その追いかける行為が異常事態の学校でも再現されたわけだ
また、異常事態にて彼女らに温かみを与えてくれたのが特殊な武器の存在というのは印象的
あの吹雪の中からたった一人を見つけ出すのは本来難しい。けれど、戦闘用途の武器が彼女らに生還の目を与えた
異常事態だから雪中で遭難してしまう。でも異常事態だったから2人は互いを守れた
さざんかとあやめの仲の深さを改めて見せつけられた気になりましたよ
前回が他に朗読をやっている者達との邂逅であるならば、今回は朗読に拠って競争を勝ち抜いた吉祥寺の教えが良くも悪くも花奈に重く響く回となったね
花奈は好きで朗読をしていた。それは時に小演劇の雰囲気すら醸し出すもの。けれど吉祥寺が言うように演技をしたいだけなら居るべきは放送部ではなくて
1話にて勇気を振り絞って放送部に入った花奈だけど、改めて何の為に朗読をしたいのか、放送部に居たいのかという点が問われた気がするよ
吉祥寺が教えてくれるように、どうやら朗読やアナウンスにはある程度の正解が存在するようで
正解を辿れば優勝へ近づく。一方で正解に沿わない朗読は否定されてしまうのか?となれば勝利を目指さない朗読まで否定されてしまうのか
放送部に入って朗読への好きを肯定し始めた花奈の心は競技的な朗読の捉え方に拠って揺らがされてしまうね
象徴的なのは杏が嫌悪する修羅の朗読すら「美しい」との理由で肯定されている点。正解に沿うならば商業的に扱われる事さえ肯定される
花奈にとって朗読の拠り所を失いかねない不自由な状況。それだけに吉祥寺に反発し、一人暮らしをしている瑞希の存在は自由の象徴と見えたのかも
迷いが有り、自信が無い段階では瑞希を名前で呼べない。けれど、朗読に真摯に向き合いつつも己の自由さを尊重し、花奈の想いを少しずつ引き出そうとしてくれる瑞希と言葉を交わし合う中で花奈の好きは再び顔を出すね
瑞希の朗読に声を重ねたのは彼女の目指す朗読の在り方を自分とて目指したかったからかもしれない
花奈だって瑞希と同じように己の朗読で天辺を取りたい気持ちは隠し持っている。でも、まだ競技的な朗読に触れ始めたばかりの花奈ではいきなり優勝なんて口に出来ない。それでも好きな思いがあるならば……
1話と同じく花奈の本音を引き出してくれるのは瑞希による本気の言葉。それによって吹き出した花奈の本音は放送部に残るに相応しいものであり、更に瑞希の名前呼びによって新たな境地への踏み込みが見えてくるようでしたよ
他者のフィギュアを知った次は他者とフィギュアを比べる段階へ
今のいのりじゃ光とは競えない。ならば競えるように自身を高める大会へ参加する。ただし、そうなれば同様に高みを目指して励む者と衝突する。涼佳はそういうポジションのキャラかな
光とは違って友達にはまだ成れそうにない涼佳。この仲違いはいのりが目指す道が誰しもに開かれたものではなく、限られた者だけが他者を蹴落として進むものであると改めて示唆するものとなったような
前回は光の滑りにも感銘を受けていたようだけど、どうやら司の滑りの方がいのり的に響くものが有ったようで
直前まで周囲の視線でカチコチになっていたのが嘘のように司の滑りを自身で再現しようと夢中になって滑る様からは、彼女のように他者との付き合い方に苦しんだ者であっても他者からは時に良い影響を貰えるのだと判るね
対して司とは全く異なる影響を与えたのが涼佳か
涼佳はいのりと違って大人に反抗的。光があくまでも大人の協力を得る為に望みを口にしていたのに対し、涼佳は望みを叶える為に大人を利用している印象を受ける
それは彼女の早熟な精神を示すものかもしれないけど、いのりは司とバディを組んでいる間柄。涼佳とは衝突してしまう
自分を持っている涼佳の姿は勝者に相応しいものと思えてしまう。けれど、「必ず優勝に導く」と力強く言ってくれる司の存在はいのりを勝者へと変身させてくれるね
ただ、司が居ればいのりは自動的に勝者に成れる訳ではないから、いのり自身の決断も必要となるわけか
面白いのはいのりの前ではああ言って彼女の自由な決断を尊重した司だけど、裏では現状の選択は間違いだったのではないかとめっちゃ悩む様子だね
司はいのりに自信を付けさせる為に迷っている姿なんて見せられない。その意味ではまだいのりと司は完璧なバディとは言えないのかもしれない
それでも、いのりの才覚が優勝に繋がりそうな突破口を開いた。果たしていのりの挑戦は成功するのか、敗北した時に涼佳はどう反応するのか?気になるね
キャラバンがやってきて、皆が目を輝かせて買い物に勤しむ。その光景はどう見ても日常に華を添える楽しいイベント事なのだけど、そこに偶然を装った悪意を見出す猫猫の嗅覚は流石だね
また、猫猫が嗅ぎ付けていない方面では水晶宮もきな臭い
日常は何の問題もなく継続されている。しかし、後宮という特殊で閉鎖的な環境は前回の鈴麗に向けられた視線に代表されるように隠された悪意にこそ注意しなければならないわけだ
普通、隊商から買い付けた服の傾向なんて流行りを想像する程度に留めるもの。ここで猫猫の頭によぎるのは傾向に意図があるとすればという想像だね
憶測で確証の無い問題。大事には出来ないけれど、隊商に他の服について聞くくらいであれば罷り通る
相手が日常に潜む偶然にかこつけるなら、こちらも日常的な遣り方で回避すれば良い。翡翠宮に勤める猫猫の行動は賢さに満ちている
だからか、もう一つの流行りである香油にも手早く気付けたわけだ
一つ一つは毒ではないしそこに在る事に不思議は無い。けれど薬を多量に摂れば毒となり、子作りに神経を使う後宮で毒になる代物が多過ぎるのが問題となる話で
優しい人達を危険や悪意から守る為に猫猫は不確定な状況で考え続けなければならない
そんな調子の為か、無邪気に猫猫と同じ茉莉花茶を呑みたがった壬氏に気を遣って、その気遣いが通じなくて苛ついてしまったのかな。まあ、あれでムスッとする壬氏もどうかと思うけども(笑)
アクエリオンに合体してすぐに敵を倒すかと思いきや、逃げられるとは予想外。3人合体すれば何でも倒せるという予定調和はなく、彼らは命懸けで戦わなければならないし、乗り続けるのも本人の意志次第
サッコはそれを大人に誘導された自己責任と憤る。サッコ側にすればこの状況は不条理、何とか打破したくなる
けれど、話を聞いてみれば彼らがアクエリオンを使って倒さなければならない敵も不条理の解消を狙っているというのは少し面白いかも
矛盾のない宇宙へと修正、これを期に襲撃する堕天翅族はいわば自分達に都合の良い宇宙へと修正しようと目論む者達。対抗するには彼らの都合をぶん殴ってこちらの都合を通すしか無い
その意味で肝要となるのはやはり自己責任や自己決定。であるならば他者に強要されて戦うなんて間違いなわけで
それだけに真っ先に力強く「やります!」と言ったサヨは誰よりも自分の運命を自分で決定する責任感も勇気も有ったと言えるのだろうね
前回から不思議だったサヨの状態は宇宙が不確定な為に生じる死の猶予みたいなものでしたか。それは未来の先取りのようなもの。サヨはこの時に避けられぬ未来を理解したのかな…
恐怖心を忘れるサッコの代わりに怖さも死も知っているサヨはそれでも敵の攻撃の前面に立ってサッコを守った。そこには彼女の強さが現れているのだけに、そんな彼女が最後に呟いた言葉が辛い…。サッコ達がこれから立ち向かう不条理を端的に示していて、同時に修正能力の行き着く先を見ているようでしたよ…
ゆりが死に欠けてしまった友達の輪、寂しい筈の時間はけれど賑やかに話を交わす時間となる。それはまるで通夜のように故人を偲んで思い出話に花を咲かせているね。それこそが餞だとでも言うように
寂しいけれど楽しい。賑やかだけど少し足りない
そんな曖昧さからはゆりがこの集まりにおいて、どれだけ大切な存在だったか伝わってくる。だからこそ、彼女の喪失を期にゆりのしたかった事を皆でやろうという決意へと至るのだろうね
回想からはゆりという存在が皆を繋げてくれたキーなのだと判る。彷徨うさざんかを、家に籠もるひなげしを、そして話しかけられずに居たれんげをゆりは繋いでくれた
友達の輪において彼女は無くてはならない存在。ならば、彼女が欠けてしまった今、その繋がりは消失してしまったのかというとそうはならず。彼女の影を探す事によって、むしろ友達の輪が強くなっていると感じられるね
ゆりはもういない。けれど、彼女の武器がれんげの武器と結合したように、彼女の名前がチーム名に残ったように。彼女はこれからもれんげ達と共に在り続けるのだろうね
楽しいけれど寂しくて。賑やかだけれど少し足りない。彼女らがその旅路をどのように歩むのか見守っていきたいね
これまでの花奈は一人で朗読してきた為か、そこに自己分析による理由付けは不要だったのかもしれない
けど、放送部に入り他者の理由を聞いていくと自分の理由を見出していく。まさしく他者紹介はお互いを知る場でありながら、同時に己を知る機会となったようで
でも、それが紹介の形を取る以上は第三者にも己は知られていく。杏との衝突は集団の中に入ったならば必然的に生じる摩擦、花奈がこれまでと異なる活動を始める象徴に思えたよ
初対面の相手を第三者に紹介する。言うは易く行うは難しな試練は自分を把握していないとまず相手に教える事も出来ない。前回、放送部に入りたいとすぐには言えなかった花奈には高いハードル
だからこそ、包み隠さず自分の好きを話してくれる冬賀の言葉は花奈から好きを引き出してくれるね。朗読への好きを強みと思えるようになった花奈の姿は良い
ただ、好きを外部へ向けて露わにすれば、それを好きと思うだなんて気に入らないと考える人間と衝突する事も有る。それが杏になるわけか
杏は恐らく好きよりも向き不向きを介して己を知った人物だね。だから呑気に好きへと進もうとする花奈や冬賀が気に入らない
Nコンに出場してしまえば実力に優劣は付けられてしまう。自分の”好き”を否定されない為には好きじゃないもので実力を伸ばさなければならない時もある
だとしたら、朗読を諦めた杏にとって”好き”だけで相手を引き込む実力を見せつけた花奈は残酷な存在なのかもしれない。おまけに花奈はそれに無自覚だし
早くも人間関係の摩擦が見え始めた集団活動を通して、花奈は朗読とどう向き合っていくのか楽しみだね