Annictサポーターになると広告を非表示にできます。
普通

この世は地獄という言葉がここまで当てはまる世界観は強烈と言う他無い

冒頭からしてその傾向は顕著。
坊主は自分が殺されることに感謝する。それはこのまま生きていればあまりの地獄模様に御仏への疑いが生じてしまうからという理由
また、数多の戦乱でそこかしこに死体が溢れている状況は凄まじい
どろろのような小さな子供でさえ自分が生きていくために商売をしなければならない。しかも元手はないから盗品を売っている
何よりも妖怪に襲われたら一瞬にして喰われてしまう世の中は恐ろしい

そんな世界だから他者に情けをかけても自分に返ってくるとは限らない
死なせるはずだった百鬼丸を生かし船で流すという温情を見せた産婆は直後に喰われてしまう
子犬を哀れんで餌をやろうとしたどろろはその優しさのせいで逃げられなくなり大人たちから袋叩きにあってしまう

そんな地獄模様の中でも百鬼丸は異様な存在
産まれながらにして身体のあちこちが欠けている百鬼丸。母はその在り様を儚く愛おしいと言うがその想いが向けられる間もなく取り上げられ捨てられてしまうし、彼を生かしてくれた産婆も直後に死んでしまう。彼は縁を得られない生まれ方をしている
そして作り物で構成された身体を操り鬼を倒すが、口もきけず眼も見えない彼は感謝を受け取ることも出来ない。

人とまともに関われない彼が鬼を倒す中で何を得て何を失っていくのか、そして彼が得る一方で失っていく故郷の父はどのような行動を起こすのか興味深い



Loading...