ラフタリアが奴隷であると知り、尚文に無理やり隷属させられているに違いないと考える元康。これは表面を見たままで判断しているからラフタリアが本当に嫌がっているかどうかを見ようとしない
他にも見たものをそのまま受け取り判断してしまう人ばかり。そもそも尚文が馬鹿にされるのは盾の勇者だからという点から始まっている。
盾の勇者だから尊重されず、マインが襲われたと訴えた際も提示された証拠をそのまま受け止める者ばかり。今回の決闘も尚文の卑怯に見える戦い方をそのまま受け止め、「盾のくせに」などとブーイングする。攻撃手段が盾を介したものしか無い尚文は使えるものは使わないと絶対に槍の勇者の元康には勝てないのに誰も尚文を正しく見ようとしない
マインの横槍で尚文が負けた件ですら誰も正しく見はしない。
だからこそ、ここからのシーンはとても良かった
全てを正しく見ていたラフタリアは元康を糾弾する。それだけでなくラフタリアは尚文でさえ気付いていなかった優しさ、元康より優れた部分を列挙する
ラフタリアが開いた正しさへの道は他の勇者へと繋がっていく。反則行為が明らかにされ、更に観衆は王に黙らされていると判明する
正しく見ることによってそれまで貶められていたものが反転していく
何をしても悪く言われ、正しさの証明が出来ず絶望してしまった尚文
一方で尚文が正しく見ていなかったものもある。解呪のシーンでラフタリアは幼い奴隷姿になっている。これにより前回尚文がラフタリアを子供扱いしていたのは、ラフタリアの姿を正しく見ず、子供のままのイメージを引きずっていたのだと判る
だから、尚文はラフタリアが自分を信じる言葉を投げかけても拒絶する。あまりの絶望に周囲が見えず、ラフタリアも奴隷の姿や心のままだと考える尚文に言葉を届けるのは容易ではない
それでも必死に尚文に言葉を届けて、尚文が忌避する盾でさえ自分を守り救ってくれたものだと訴えるラフタリア。更にこの世界で誰も正しく知ろうとしない尚文の姿を誰よりも知っていると訴える
言って欲しかった言葉を言って貰えた尚文はここに来て大人になったラフタリアを正しく見る。彼の闇が晴れていく
誰も信じられない世界でようやく信じられる存在を手に入れ、落ち着いて眠る事が出来た尚文。生きる辛さや食事の美味しさを共有する相手が出来た彼が今後どのような冒険をしていくのか早く見たくて仕方ない