ローブが欲しいロゼの様子から、紅や頬紅を用意するティエンには、世話焼きな親戚のおばちゃん味を感じる。
ロゼの恋心を察しているのか、単純にロゼの変化を面白がっているのかは分からないが、無理に事情を聞き出そうとせず、そっと支えようとする姿が好印象だった。
夜にしか来なかったハリージュが昼間にロゼのもとを訪れることで、二人の関係にも少しずつ変化が出始めていた。
これまでハリージュに対するロゼの口調は、感情を表に出さず、悪態をつくのも心の声だけだった。しかし、終盤では「これだからお貴族様は」と軽口を叩くようになっていた。
ハリージュに対して、少しずつ素の自分を見せられるようになっているのが興味深かった。
ハリージュが持ってきたパンを幸せそうに食べるロゼ。好きな人が目の前にいて、自分を気にかけてくれるのだから、うれしくなるのも当然だろう。
一方のハリージュは、ロゼの食生活を知り、放っておけずに世話を焼いているように見える。生真面目な彼らしい行動で、恋愛感情からくるものとは感じられなかった。
二人の距離は縮まったように見えるが、恋愛の面では温度差があるように感じる。
そんな二人の温度差が、甘酸っぱさを連想させるリンゴのバターに表れていたのかもしれない。
「友情」と「殺し屋としての仕事」に、昴がどのような決着をつけるのかに注目していたため、ターゲットの病死という結末には物足りなさを感じた。
昴の「ホッとした」というセリフからは、友情に大きく傾いていたことが窺える。しかし、友情を大切に思いながらも、殺し屋として引き金を引くのか、引かないのか。その決断こそ描いてほしかった。
Cパートの花束は、昴が贈ったものだと思う。単に友情を示すための贈り物なら、奏史の父親が用意していたものと同じ種類の花を選ぶ必要はないだろう。父親に関わる何らかの意味が込められているように思うが、暗殺しようとしたことへの罪悪感なのか、それとも父親が奏史に向けていた思いを昴なりの形でつないでいるのか、意図を読み切ることはできなかった。
仮に昴が奏史の父親を殺害していたら、後味の悪い展開になったのは間違いない。しかし、殺し屋としての矜持と友情との葛藤を、より鮮明に描けたのではないだろうか。そうなれば、Cパートの花束にも、友情だけでなく贖罪などの複雑な感情を含ませることができたように思う。
少し厳しい言い方をすれば、結局は「殺し屋が友情にほだされた」というところで終わってしまったように見える。
もう一歩踏み込んだ人間模様が見てみたかった。