サービス開始日: 2017-07-17 (3375日目)
ローブが欲しいロゼの様子から、紅や頬紅を用意するティエンには、世話焼きな親戚のおばちゃん味を感じる。
ロゼの恋心を察しているのか、単純にロゼの変化を面白がっているのかは分からないが、無理に事情を聞き出そうとせず、そっと支えようとする姿が好印象だった。
夜にしか来なかったハリージュが昼間にロゼのもとを訪れることで、二人の関係にも少しずつ変化が出始めていた。
これまでハリージュに対するロゼの口調は、感情を表に出さず、悪態をつくのも心の声だけだった。しかし、終盤では「これだからお貴族様は」と軽口を叩くようになっていた。
ハリージュに対して、少しずつ素の自分を見せられるようになっているのが興味深かった。
ハリージュが持ってきたパンを幸せそうに食べるロゼ。好きな人が目の前にいて、自分を気にかけてくれるのだから、うれしくなるのも当然だろう。
一方のハリージュは、ロゼの食生活を知り、放っておけずに世話を焼いているように見える。生真面目な彼らしい行動で、恋愛感情からくるものとは感じられなかった。
二人の距離は縮まったように見えるが、恋愛の面では温度差があるように感じる。
そんな二人の温度差が、甘酸っぱさを連想させるリンゴのバターに表れていたのかもしれない。
「友情」と「殺し屋としての仕事」に、昴がどのような決着をつけるのかに注目していたため、ターゲットの病死という結末には物足りなさを感じた。
昴の「ホッとした」というセリフからは、友情に大きく傾いていたことが窺える。しかし、友情を大切に思いながらも、殺し屋として引き金を引くのか、引かないのか。その決断こそ描いてほしかった。
Cパートの花束は、昴が贈ったものだと思う。単に友情を示すための贈り物なら、奏史の父親が用意していたものと同じ種類の花を選ぶ必要はないだろう。父親に関わる何らかの意味が込められているように思うが、暗殺しようとしたことへの罪悪感なのか、それとも父親が奏史に向けていた思いを昴なりの形でつないでいるのか、意図を読み切ることはできなかった。
仮に昴が奏史の父親を殺害していたら、後味の悪い展開になったのは間違いない。しかし、殺し屋としての矜持と友情との葛藤を、より鮮明に描けたのではないだろうか。そうなれば、Cパートの花束にも、友情だけでなく贖罪などの複雑な感情を含ませることができたように思う。
少し厳しい言い方をすれば、結局は「殺し屋が友情にほだされた」というところで終わってしまったように見える。
もう一歩踏み込んだ人間模様が見てみたかった。
自分の気持ちに素直になれなかったこゆんは湊との関係を友達のままにとどめ、
逆に自分の気持ちに素直な桃香は湊との関係を進めることになった。
そういう意味での「停止と進行」なのかもしれない。
湊は自分の気持ちを脇に置き、桃香を傷つけまいという思いから告白を受け入れたように見える。
湊自身、そんな自分を変えなければいけないと考え、一度は桃香の告白を断るものの、結局は受け入れてしまっている。
変わろうと思っても変われなかった湊もまた、停止している側の人間に見えてくる。
自分が傷つくことや関係が壊れることを恐れ、自分の気持ちに蓋をするこゆん。
こゆんと湊の気持ちを察しながらも、自分の気持ちに素直に行動する桃香。
相手を傷つけまいとするあまり、自分の本心に沿った決断ができない湊。
それぞれ異なる思いを抱えた三人の、どこか歪な関係が興味深い。
停止している人間は、いつまでも停止し続けるわけではないだろう。
こゆんや湊が進み始めたとき、三人の関係はどうなっていくのだろうか。
くるみが豪ドル円の取り引きでどんどん追い詰められ、次第に視野が狭くなっていく様子に妙なリアリティがあって、見ているこちらも若干つらくなってくる展開だった。
タンス預金に手を出せば、母親と同じ道をたどることになりそうだが、くるみが冷静さを取り戻せるのか、どんな決断をするのか気になる。
あまり感情移入しすぎると、こちらの胃も痛くなってくる。それは、自分が同じような状況になったら、くるみと同じような思考に陥らないという自信が持てていないからかもしれない。
ロゼが惚れ薬の素材をまとめて教えないのは、何度もハリージュと会う理由を作っているからなのだろう。
「好きになって欲しいなんて考えてもいない。ほんの少しでも覚えてもらえたら、それでいい」というセリフからは、不器用さや卑屈さを感じる。
一方で、来客を知らせる鈴の音にソワソワしたり、「他意はない」と言いつつデートの前に振りかける薬を使ったりと、年相応の女の子らしい一面ものぞかせていた。
こうした、本音を隠そうとしながらも隠しきれず、持て余してしまう姿が初々しく可愛らしかった。
ハリージュと同僚の会話では、ハリージュ自身は恋には無縁の様子だったので、惚れ薬を依頼したのは別の誰かなのかもしれない。
魔女に対する世間の反応が描かれた回想シーンでも、ハリージュはチラッとロゼに視線を送っていたように見えたので、ハリージュ視点での物語も気になる。
友達の父親を殺すことに躊躇を見せなかった昴が、最後に「友達ってムズいな」とポツリ。
奏史と過ごすうちに、友情を意識し始めたように感じるセリフだった。「友情」と「殺し屋としての仕事」をどのように決着させていくのかは気になるところ。
あらすじを知っている程度だが、二人が連弾していたカルメンは、愛や欲望、嫉妬、所有、自由などをめぐる悲劇の物語。今回の物語とカルメンをどのようにリンクさせてくるのかも興味を引かれる。